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国枝師と超良血馬ダイワレジェンドの出会い/トレセン発秘話

  • 2013年10月03日(木) 18時00分
 美浦厩舎地区「北D-5」には樹皮が剥がれ、枝の一部がツルツルになった妙な松の木がある。暇あるごとにぶら下がり、20回の懸垂運動を日課にする国枝栄調教師による“犯行”だ。「これは立派な健康器具だ。続ければ筋力の衰えが防げるし、ストレッチにもなる。これで五十肩知らず。肩回りが柔らか過ぎて、あおむけの寝相が赤ちゃんみたいと女房に言われたくらいだ」と師はニンマリ。確かにこんな元気な58歳は見たことない。

 継続は力なり--この格言を証明するシーンが今週末の東京競馬場でも見られよう。GI・4勝ダイワスカーレットの第2子ダイワレジェンド(牝=父キングカメハメハ)が土曜にデビュー(芝1400メートル)するのだ。

「この血統馬がなぜウチに来たかって? 俺だって知らないよ。何の営業もしてないんだから。ただ、時にはこんなパターンがあってもいいだろ」

 現役時は美浦所属だった名牝の子が関西馬としてデビューすることは多々あるが、逆は極めてレア。そのせいか、社台ファーム・吉田照哉代表から電話で預託依頼があった際、一度は「2歳はもう手一杯なので」と、血統も確認せず断ったというオチもある。何にせよ、継続的に積み上げた実績と信頼が超良血馬との出会いを生んだ。

 5月にゲート試験合格。放牧から8月初旬に再入厩し、さらに2か月かけて仕上げられた。「当初は中山を予定していたが、もうひとつピリッとしなかったので見送った。注目される馬だし、結果を出していかないとまずいだろ? とにかく品があるし、みんながいいと思うだけのものはある」。師の鼻の下がこれだけ伸びるのは、かつて「若いころはマイケル(ジャクソン)と女の子に言われたもんだ」と語った時以来!? 同馬の初陣は大いに注目だ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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