セイウンスカイ
◆日本におけるハイペリオン系“最後の大物” 盛者必衰。人の世の繁栄は未来永劫ではない。サラブレッドの父系血統も同じだ。どんなに栄耀栄華を誇っても、いつか必ず幕を引くときがやってくる。
第2次世界大戦が終わり、世界が復興に向かうなかで一世を風靡した父系血統に、ハイペリオン系がある。
1933年の英ダービー馬に輝いたハイペリオンは、ギリシャ神話に出てくる「太陽の神」の名をもらっていた。この連想から「天空の支配者」のニックネームをつけられて人気を博したが、種牡馬となっても偉大な足跡を発揮した。
その血はまたたく間に世界へ拡がり、それぞれの国で大成功して、サラブレッドの父系血統をハイペリオン系一色に塗り替えたのだ。日本も例外ではなく、1960年代から80年にかけて隆盛を誇った。その代表産駒に国民的ヒーローとなり、空前の競馬ブームを巻き起こしたハイセイコーがいる。
しかし、新たな父系血統の台頭とともにハイペリオン系はしだいに勢力を弱め、1990年代に入ると生き残っているのはごくわずかとなった。セイウンスカイの父シェリフズスターが、その支流父系の一つだった。
ハイペリオン系はスピードとスタミナに優れていたが、一方でスピードにも非凡なものがあった。長距離を走り抜くスピードの持続力と、それを支える豊かなスタミナこそが、ハイペリオン系の持ち味であった。
消えゆくなかで、最後のエネルギーを振り絞り、その持ち味を発揮して「さすがはハイペリオン系」と、ファンを唸らせたのがセイウンスカイだったのである。
舞台は牡馬クラシック第3弾の長距離レース、菊花賞。その春、第1弾の皐月賞を制したセイウンスカイだったが、第2弾の日本ダービーは4着に敗れ、三冠馬の夢は絶たれていた。
スタートするや、セイウンスカイはまるで短距離でも走るかのような猛スピードで逃げた。前半1000mの通過タイムは59秒6。まだ2000mを残してのこのタイムは、当時の常識では明らかに暴走だった。過去にこのラップで勝った馬は1頭もいなかった。
ところが、逃げるセイウンスカイのスピードは、どこまでも衰えない。途中でやや鈍り、もはやこれまでかと思えたが、後続が近づくと再びトップスピードにギアチェンジ。最後の1000mをそのまま駆け抜け、2着に3馬身半もの差をつけて勝利した。
長距離の菊花賞をハイペースで逃げまくり、バテることなく戴冠のゴールを駆け抜けたのである。優勝タイムの3分3秒2はレコード。それどころか当時の3000mの世界レコードでもあった。
だが、セイウンスカイは種牡馬としては不振に終わり、“御家再興”を果たすことはできなかった。その生きざまは、消えゆく最後に一瞬大きく光を放つ、あのろうそくの炎にも似ていた。
日本におけるハイペリオン系最後の大物セイウンスカイは、それが持って生まれた運命であるかのごとく、一瞬の光を残し、足早に血統史から消えたのだった。(吉沢譲治)
◆レース詳細
1998年11月08日
第59回 菊花賞(GI) 京都/芝右 外3000m/天候:晴/芝:良
1着 セイウンスカイ 牡4 57 横山典弘 3:03.2
2着 スペシャルウィーク 牡4 57 武豊 3.1/2
3着 エモシオン 牡4 57 松永幹夫 クビ
◆競走馬のプロフィール
セイウンスカイ(牡4)
父:シェリフズスター
母:シスターミル
騎 手:横山典弘
調教師:保田 一隆(美浦)
馬 主:西山牧場(※菊花賞時は西山正行氏名義)
生産牧場:西山牧場
※年齢は当時の旧年齢表記
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