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シーザリオの娘、エピファネイアの全妹ロザリンド

  • 2013年10月09日(水) 12時00分
●アレクサンドル(牡 栗東・音無秀孝 父ジャングルポケット、母ブリリアントベリー)
 母ブリリアントベリーが21歳時に産んだ子。同馬の繁殖成績は優秀で、これまでにカンパニー(父ミラクルアドマイヤ/09年天皇賞・秋-GI、09年マイルCS-GIなど重賞9勝)、レニングラード(父トニービン/04年アルゼンチン共和国杯-GII)、ヒストリカル(父ディープインパクト/12年毎日杯-GIII)、ニューベリー(父フジキセキ/06年京都金杯-GII・2着)といった活躍馬を送り出しており、母が高齢出産であることのハンディキャップを差し引いても十分お釣りがくるほどの高いポテンシャルを感じさせる。2代母クラフティワイフのファミリーはトニービン系と好相性を示している。本馬はカンパニー、レニングラード、バトルバニヤン(11年新潟大賞典-GIII・2着)と4分の3同血の関係にあり、トーセンジョーダン(11年天皇賞・秋-GIなど重賞4勝)とは父が同じで母同士が全姉妹であるため、ほぼ同血といえる。基本的には晩成型だが、ゆくゆくは芝中距離で大きなところを狙えるだろう。

●プルママルカ(牡 栗東・角居勝彦 父ゼンノロブロイ、母ポトリザリス)
 ディアデラノビア(05年フローラS-GII、07年京都牝馬特別-GII、07年愛知杯-GIII)、イグアス(11年ステイヤーズS-GII・2着)、マゼラン(OP)、クルサード(OP)の下で、母ポトリザリスは亜ダービー(G1)、亜オークス(G1)を制した女傑。母はGood Manners(≒Gold Digger)とRaise a Nativeを併せ持つので、基本的にMr.Prospector(父Raise a Native、母Gold Digger)を持つ種牡馬は合うだろう。近親のダノンゴーゴーはMr.Prospector系のアルデバランIIの子で重賞を勝った。Mr.Prospector系のキングカメハメハを父に持つ姪のディアデラマドレ、甥のディアデルレイはまだキャリアは浅いものの優れた資質を示している。本馬の2代母の父Banner Sportは、父ゼンノロブロイに含まれるマイニングと同じくRaise a Native+La Troienneなので好ましい。そして、父ゼンノロブロイの代表産駒の1頭ペルーサと同じく母がアルゼンチン血統である点も強調材料。芝向きの中距離タイプとして期待十分。

●リバーソウル(牡 栗東・浅見秀一 父ネオユニヴァース、母ソニンク)
 母ソニンクは不出走馬だが、全欧3歳牝馬チャンピオンとなったSonic Ladyを母に持つ良血馬。繁殖成績も優秀で、ランフォルセ(父シンボリクリスエス/12年ダイオライト記念-Jpn2、11年エルムS-GIII)、ノーザンリバー(父アグネスタキオン/11年アーリントンC-GIII)、モンローブロンド(父アドマイヤベガ/04年ファンタジーS-GIII・2着)、ノットアローン(父アグネスタキオン/08年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)、ルミナスポイント(父アグネスタキオン/OP)を送り出している。また、長女アコースティクスはダービー馬ロジユニヴァースの母となった。活力のあるファミリーなので今後まだまだ一流馬を送り出せるだろう。本馬はネオユニヴァースが父。母方にMachiavellianを持つネオユニヴァース産駒は、ヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、ヘミングウェイなど活躍馬が続出している。本馬はロジユニヴァースと4分の3同血なので信頼性が高い。

●レッドロンメル(牡 栗東・石坂正 父スペシャルウィーク、母シェアザストーリー)
 Charming Storyにさかのぼる牝系は優秀で、アルーリングボイス(05年ファンタジーS-GIII、05年小倉2歳S-GIII)を筆頭にコンスタントに活躍馬を送り出している。やや一本調子で底力は欠くものの、パワー型の手堅いスピードを伝えているので、とくにダート短距離では確実性が高い。本馬の母シェアザストーリーはコマンダーインチーフ産駒なのでスタミナ面の補強がなされ、その産駒、つまり本馬の4分の3姉にあたるレッドクラウディア(父アグネスタキオン)はクイーン賞(Jpn3・ダ1600m)を4馬身差で圧勝するなど1600〜1800mのダートグレード競走で活躍している。本馬の父はスペシャルウィーク。ローマンレジェンドやゴルトブリッツなど砂でも実績がある種牡馬なので、姉レッドクラウディアと同じくダート中距離路線で大きな花を咲かせてくれるはずだ。

●ロザリンド(牝 栗東・角居勝彦 父シンボリクリスエス、母シーザリオ)
 エピファネイア(13年神戸新聞杯-GII、12年ラジオNIKKEI杯2歳S-GIII)の全妹。母シーザリオは現役時代にオークス(GI)を勝ち、米遠征してアメリカンオークス(G1)を楽勝した名牝。しかし、繋靭帯炎を患ったため、米遠征から帰国後は一度も出走することなく引退。同じスペシャルウィーク産駒のブエナビスタと比べても見劣らないほどの名牝だった。初子のトゥエルフスナイト(父キングカメハメハ)は3歳秋にデビューし、経験馬相手に勝利を挙げたものの、1戦1勝の成績で引退。2番子の牝馬(父キングカメハメハ)はデビューできずに死亡と、体質の弱さがつきまとった。3番子エピファネイアは頑丈なシンボリクリスエスが父で、この血統の弱点を補うことができたのか、体質面の弱さを見せることなく競走生活を送っている。本馬はその全妹なのでエピファネイアと同じく健康であることを期待したい。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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