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「もっと勝って目立ちたい!」〜川須栄彦騎手編(2)

  • 2013年10月09日(水) 18時00分
この夏、フル参戦した函館で改めて競馬の難しさを感じ、ここにきてより一層、騎乗に対する探求心が芽生えてきたという川須騎手。今回は、そんな自身の変化についてと、浜中騎手との「ご指名対談」でも話題に上った『騎乗がおとなしくなった』という周囲の評価について、現在の苦悩を語ります。
(取材・文/不破由妃子)

■もう一度、2年目のように流れを引き寄せたい

──この夏は、岩田さんの騎乗に興味を持ったり、いろいろな面で収穫があったようですが、ご自分でもご自分の変化を感じますか?

川須 はい。やっと周りが見えるようになってきたかなって思います。今までは、先輩の技を盗むといっても、直線での追い方だったりしたんですけど、今はどういう風に馬群を捌いてくるのかとか、馬場によってどういうコース取りをしているのかとか、レース全体というか、組み立て方を見るようになりました。

──お話をうかがっていると、今の川須騎手は探求心に溢れている感じですね。

川須 そうですか? 僕、そういうのないほうだと思いますよ、ホントに(笑)。上のジョッキーの方たちは、当然ながら、もっと考えて乗ってらっしゃるだろうし、同世代を見渡しても、僕よりもっと貪欲にいろいろ考えていると思います。そういう面で、僕はまだまだ足りないなっていう自覚もありますし。

──以前から、『僕はどちらかというと感覚派です』っておっしゃってましたものね。

川須 実際は、そんないいものじゃないですよ(笑)。もちろん、いろいろ考えて、頭のなかでレースを組み立てたりもしますが、以前から考え過ぎるといい結果が出ないんですよね。

──いろいろと研究して騎乗される方もいれば、その場で感じた感覚を大事にされる方もいる。どちらがいいというわけではなく、人それぞれの持ち味が生かせればいいと思いますよ。

川須 そうなんですけどね。でもやっぱり、レース中に何かが起きたときに、何十通り、何百通りと引き出しがあれば、瞬時に反応できますし、そうなるためにはもっとレースを見て、いろんなレースに乗って、もっともっと考えて乗らないといけないなと思うんです。

──ここにきて、そういった探求心が強くなってきたということですね。

川須 そうですね。とくに、今年の函館のような馬場状態、しかも小回りのスローとなると、考えて乗らないとダメだなって思いました。逆に小倉は、考えて乗ってどうこうしづらいんですよね。もちろん、だからこその難しさもあるんですが。

──なるほど。いずれにしても、この夏は、いろいろ収穫があったようですね。

川須 そうですね。でも成績については、自分自身、全然納得がいかないです。ただ、流れって絶対にありますからね。勝っている人、目立っている人に、いい馬がいくのは当然ですし、逆に僕がいい成績を残せていないのは、結果を出せていないから。だから、流れを引き寄せるためにも、またどこかでビシッと目立たなくちゃ!とは思っています。でもこの夏は、本当にいろいろ考えたことで、ジョッキーとして視点が変わった気がしますね。

──精悍な顔つきになったように思うのは、そういう変化が表れているのでは!?

川須 ありがとうございます。そうだといいですけどね。それまでの僕って、よっぽどチャランポランな顔をしていたんですね(笑)。

よっぽどチャランポランな顔をしていたんですね(笑)

よっぽどチャランポランな顔をしていたんですね(笑)


──いえいえ、決してそうじゃないですよ。今日お会いして、しみじみ大人になったなぁと感じたんです。では続いて、浜中さんとのご指名対談を振り返りつつ、川須騎手の今をお聞きしたいんですが、「“積極性がなくなった”と周りから言われるようになった」とおっしゃっていましたが、最近はいかがですか?

川須 いい意味でも悪い意味でも、『おとなしくなったな』とは、今も言われますね。そんなつもりはないんですけど…。やっぱり、ポンポン勝たせてもらっていたころに比べ、目立たなくなったということなんでしょうね。

──ファンもそうだと思いますが、関係者にとっても2年目の印象が強いんでしょうね。

川須 そうだと思います。当時は確かに、どんな馬でも前を取りに行って“勝ってやる!”っていう競馬をしていたと思いますし、そのぶん周りに迷惑をかけたり、実際、制裁も多かったですけど、減量もあったし、いい馬にもたくさん乗せていただいていたので、勝って目立って勝って目立って…という感じで、すごくいい流れだったとは思います。でも今は、能力に応じてこういう競馬をしようとか、攻めるところは攻めつつも、馬のリズムを守ってあげようとか、自分なりに進化している自覚はあるんですけどね。

──2年目は確かに目立ってはいましたけど、そこからの変化を『おとなしくなった』というのは、ちょっと違う気がしますけどね。

川須 ん〜、でも仕方がないのかなと思ってますけどね。自分では、決して技術が落ちたとは思わないし2年目に乗っていた馬たちに、今もう一度、同じ条件で乗せてもらえるのなら、技術がついて周りが見えるようになったぶん、絶対にもっと勝てる自信がありますからね。

(2年目より)絶対にもっと勝てる自信がありますからね

もう一度、同じ条件で乗せてもらえるのなら、(2年目より)絶対にもっと勝てる自信がありますからね


【次回のキシュトーークは!?】
川須騎手インタビュー第3弾。「ご指名対談」でもテーマとなった“中央で乗るか、ローカルで乗るか”。川須騎手はこの秋、ある決断を下しました。そこに至るまでの迷いや苦悩を冷静に振り返るとともに、メイケイペガスターやレッドアリオンなど、自身にとってターニングポイントになったという馬たちについて語ります。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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