競馬サークルには「トレ子」たる隠語がある。意味するところはトレセン育ち。父にならいこの世界に身を投じた競馬関係者の子息を指す言葉だが、時にはそのエリート感覚をやゆしてネガティブに用いられることもあるようだ。
その意味では、ハナズゴールのパートナーたる加藤士津八助手は「トレ子」の異端者だ。父は元花形ジョッキーの加藤和調教師。自身もかつては騎手という派手な職種に身を置きながら嫌みな要素は皆無。それどころか非常識な当方の深夜の呼び出し(酒席)にも嫌な顔せず“併せ馬”。こちらがG前バタバタなら宿泊先までタクシーで“併入”してくれる心優しき男なのだが…。
「山村さんが馬券を取らないこと。それが一番のポイントですかね」
叩き2戦目=府中牝馬Sでの逆襲の可能性を問うと、その彼から何ともふざけた返し。とはいえこの言葉、あながち間違いではないから困ったものだ。
実は当方と加藤和厩舎との“馬券相性”は最悪。買わなきゃ来るの典型で、この厩舎の馬に限ってマークシートの塗り間違えや締め切り時間に間に合わないことが頻発する。それが往々にして超万券だから始末が悪い。だが、こんな言葉が出ること自体、愛馬が顕著な良化を示す証しでもある。
まずは前走を振り返り「オールカマーはずっと言っていた通り六、七分のデキ。牡馬相手のGIIで6着に来たことにむしろ驚きましたよ。最後は息が持たなかったけど、もし息ができていれば差し切っていたかもしれません」。続けて期待感あらわに「今回の体調は5割増し。気持ちが入ってきた分、逆に折り合いがどうかですが、鞍上は凱旋門賞(キズナ4着)でも素晴らしいハンドルさばきを見せた武豊さんですからね。先が悩ましい結果を出してほしい」。
もしうまく折り合って今回結果を出せば、マイルCSの賞金ボーダーに届くと同時に、エリザベス女王杯の距離対応にもメドが立つ。
二者択一の“うれしい悩み”をもたらす走りに期待して、月曜(14日)の府中では馬券でしっかり応援し、相性最悪のジンクスもろとも吹き飛ばす腹積もりだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
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