※月曜日の府中牝馬Sの展望は
「土曜メインレース展望」(金曜日コラム)で公開中です。
土曜日メイン展望の中でも触れたが、やっぱり秋の芦毛の上がり馬は大仕事をすることが多い。第一回の勝ち馬ファビラスラフインは、たまたま大駆けしたのかと思えたが、あと一歩でジャパンCまで勝つところだった。相手がL.デットーリ騎手でなければ、シングスピールに負けなかったかもしれない。
タマモクロスも、秋から信じ難い上がり馬となった。菊花賞のヒシミラクルも、プレストウコウもそうだった。ビワハヤヒデが本物になったのは、距離ではなく、秋だったからかもしれない。オグリキャップが本当の大物になったのも、ホーリックスと叩き合ったジャパンCからだった。メジロマックイーン親子三代が急上昇してみせたのは、秋の天皇賞や菊花賞のころである。これまで、菊花賞では芦毛馬が6頭も勝っている。ダービーはたった1頭なのに。不思議なほど、秋は芦毛馬が急上昇する季節なのである。春のビッグレースシーズンに、あまり芦毛の上がり馬のイメージがわかないのは、昔の短距離の快速血統ではなく、近年は距離延びてよしの、成長力に富んだ芦毛馬が多いためだろう。
母方から、アメリカの歴史的な芦毛の名馬スペクタキュラービッドの毛色(サンデーサイレンスに4×5の形で入っているマームードの芦毛でもある)を受けついでいる秋の上がり馬スマートレイアー(父ディープインパクト)。この馬の台頭に期待したい。スパートを待って楽勝した前回の1800m1分44秒8は、阪神のコースレコードとわずか0秒3差。余裕を残して上がり34秒1だった。もちろん、ランキングはまだかなり下。ようやく1600万条件に上がったばかりだが、中2週なのに意欲的に追い切って、急速に鋭く、かつパワフルになっている。見方によれば、人気になり過ぎとはいえるが、今年は桜花賞の1-4着馬が出走できず、トップグループの数は限られている。京都内回り向きの自在型で、スピード能力は文句なし。包まれる危険より、この枠順がコースロスなしの理想の枠となる可能性のほうがはるかに高いはずである。凱旋門賞のトレヴではないが、勢いに乗った若い牝馬は能力以上のレースさえ可能にしてしまうことがある。
強敵は、トライアル仕上げをひと叩きして、明らかによくなっているオークス馬メイショウマンボ。過去17回、春の2冠牝馬がいた年は別に、桜花賞の最先着馬と、オークスの最先着馬の対戦成績は、秋華賞がちょうど中間の2000mになるためか、オークス組の[7勝6敗]というまったく互角の成績。しかし、今年は桜花賞の1-4着馬がいないのだから、オークス馬メイショウマンボは、いつもの年よりずっと強気になれる。
デニムアンドルビーは、前回のレース運びから、ふつうは京都内回り向きとはいえないが、位置どりはともかく、ああいう切れ味を前面に出すタイプは、かえって内回り向きのことが珍しくない。評価は下げない方がいいだろう。4頭出走のディープインパクト産駒は、たとえ内回りでも、こと京都では評価は下げられない。
シャトーブランシュ、ウリウリ、エバーブロッサムが連下候補だが、穴馬は、スマートレイアーと同じ芦毛のリボントリコロール。ダイワスカーレットの一族であり、武豊騎手が台頭するレースでは、横山典弘騎手も突っ込んでくるのがいつものパターンだったはずである。
秋華賞らしい候補は、名馬の妹が台頭する伝統的なパターンに乗ってディープインパクトの妹になるトーセンソレイユ。牝馬らしい時の流れに乗った伏兵なら、トレヴと同じトリプティク一族のティアーモ。