(第39回までの超ざっくりとしたあらすじ)

プロ馬券師に勝負を挑む!
「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブは迷走をはじめ、連敗続きで完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月の日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏に続き、7月は東スポの渡辺薫氏、8月は丹下日出夫氏を招聘し、馬券修行を敢行。予想の何たるかをつかんだオオヤブはその成果を見せるべく、プロ馬券師に勝負を挑むことを決意するのだった――。
秋競馬と同時に馬券100本ノックはいよいよ対決編に突入。夏場の猛特訓で「馬券力」を上げたと自称するオオヤブの初戦の相手は、知る人ぞ知る超実力派プロ馬券師・やなぎ。190万馬券を筆頭に、過去数々の大ホームランをかっとばしてきているやなぎ相手に、オオヤブのみみっちいほどのスモールベースボールは通用するのか!?
◆とにかく馬券の種類がどうなるかがポイントです
バトルスタート!
さて、久々のご対面も済んで、いよいよ二人のバトルがスタート。オオヤブの様子はというと、いきなりの強敵を前にして萎縮するどころか、あわよくば「食ってやるぜ!」という感じで野心ギラギラ、対抗心もメラメラ。というのも、今回の対象レースは中山の1~12Rと阪神メインの神戸新聞杯だが、6Rまでは2歳戦と3歳未勝利戦、そして障害戦と、やなぎの予想のテリトリー外のレース。オオヤブはここでなんとか差をつけて、そのまま逃げ切りを図ろうという腹のようだ。
『やなぎさんが強敵なのは百も承知ですが、大川さんのような神様じゃないんだから、全レースを当てるなんてまず無理。後半は怖いでしょうけど、前半は間違いなく苦戦すると思うんですよね。なんで前半に自分が高配当をバシッと当てて貯金を作ってそのまま逃げ切りが理想の展開っす』
それを聞いたやなぎは、
「自分の予想の武器は、前3走の着差をベースにして弾き出した「着差数値」なんで、2歳新馬や障害、今の時期の2歳未勝利は予想のしようがない。3歳未勝利だって出走全馬に十分なキャリアがあるわけじゃないし。自分としてはハッキリいうとお手上げなんだけど、一応プロとしてはかっこうぐらいつけたいよね。オオヤブくん相手に後手を踏むっていうのも、シャクっしょ。やっぱ」
そして異口同音に話していたのが、馬券の種類を決めるカードがキーポイントだということ。1日に使える軍資金のトータルは、こうしたバトル企画としてかなり少ない10000円だけに、馬券の種類が何かというのは勝敗に大きく直結する要素。というわけで、
1Rの馬券の種類を決めるカード抽選。「何が出るかな~」と二人が引いたカードは、

やなぎは馬連
「うんうん、馬連なら無難だね。」
というやなぎに対して、
『うへえ、複勝!? これだけは勘弁っていうか、丹下さん式の時計比較で10.のライトオブホープが良かったんで、これを軸にっつーか、いきなりこのヒキって、どうかしてるぜ!』
と「複勝」を引いてブツブツとうるさい、ボヤッキー・オオヤブ。でもモノは考えようじゃないの? ホラ、柏木さんの言ってた複勝多点買いをここで試せばいいんじゃね?
『モチのロンですよ。僕を誰だと思ってるんですか。柏木さんの一番弟子ですよ』
つーか自称な。まあ日刊競馬持たずに東スポ持ってるヤツがよく言うわ。それに絶対お前は、柏木さんの複勝のレクチャーのこと忘れてたね。俺が言わんかったら10の複勝1点買いなんてしようと思ってたろ。
『ドキ! いやいやもちろん複勝多点買いで行く気マンマンでしたよ。ここは混戦だし、人気薄を中心にして10を加えた4.7.8.10.12.14.15.16の8点買いの100円流しっつーことで』
一方、新聞と格闘していたやなぎは、
「一応2走くらいしている馬はけっこういるから、全然不十分なんだけど着差数値をベースにして予想はしましたよ。んなもんで2.3.5.9.11の馬連ボックス。ちょっと堅い感じけど、初っ端だしこんなもんじゃないかな」
さてそのレースは、非常に出入りの激しい2歳戦にしてはサバイバルな展開で、勝ったのは後方からマクった11.トゥインクリング。2着は12.ヒムカで3着が3.ダノンミシガン。やなぎは惜しくも1・3着で、オオヤブは!?
『俺って天才、イエ~、俺ってグレイト、イエ~』
と、まるでパペットマンのようなヘンな踊りで喜んでいる。そういえばゴール前、何か叫んでたな。あれって「大野!」って言ってたんだ。「オ~ノ~」でダメだったんじゃないのね?
『10番人気の12の複勝ゲッチューです。配当は1310円。複勝でこの配当なら十分です。ウシシシ。で、やなぎさん、覚えてます? さあ、あの黄金のサーバーにいってらっしゃい。いやあ朝からシュワシュワなんて、余は満足じゃ』
調子に乗るオオヤブだが、複勝を選んでなかったら10から買って撃沈してたくせに何が功を奏するかわからない。
「はい、おまたせしました~」
予想はハズれてもそこはバーテン・やなぎ。不遜なオオヤブ相手でも丁寧な接客。といっても目が笑ってないって、やなぎくん!
◆捨てレースは決して作らないプロ馬券師としてのプライド 続く
2R。やなぎの引いたカードは「3連単」。
「ダメだこりゃ!」
のいかりや節炸裂で、がっくりと肩を落とすその姿はまさに、もしものコーナーのオチそのもの。対するオオヤブは「単勝」。このヒキにはオオヤブも納得で満面の笑み。
『2Rはですね。7月の実戦で東スポの渡辺さん一押しだったマイネパシオーネがまた出てるんですよ。あのときは僕も期待して大勝負をかけたんですが逸走して撃沈。能力があるのは確かですから、ここはリベンジということで単勝1本、1000円ド~~~ン!』

苦手の2歳未勝利…
「くそぉ、オオヤブくんノッてるなあ。こっちの身にもなってくれよ。2歳未勝利だし、3連単だし、捨てレースにしてもいいんだけど、少額にしろ馬券を買うなら無抵抗で捨てるわけにはいかない。買うならやっぱり当てたいし、自分が最低限納得できるような目で買います」
自信もないのに3連単の1点、2点買いで100円、200円と買うより、なんとか当てようとしたやなぎは、フォーメーションで16点買いを敢行。たとえハズれたとしても当てるために最善の努力をするのがプロの矜持だろう。
『やなぎさん、2Rでそんなに使っちゃっていいのぉ?』
やなぎの爪の垢をカクテルに入れてオオヤブに飲ませてやりたいくらいだが、結局、この2Rはオオヤブもやなぎも不的中で痛み分けとなった。
◆好調のオオヤブを尻目にやなぎはたまらず「見」発動! 3Rはオオヤブが馬連で、やなぎはまたもや3連単。オオヤブは丹下さん直伝の時計比較でガチガチながらも540円を400円的中。やなぎはチョイ穴目を狙ったフォーメーションでまたもや不的中。
『ウハハハハ、作戦通り、作戦通り。ツインターボのように逃げまくりますよって、あっ、マスター、おかわりちょうだいねえ』
「ハイ、喜んでえ」
たいした大逃げでもないんで、やなぎもすぐに追いつける差だが、いかんせん、
次のレースは障害で、その次が新馬。やなぎには苦行だ。その障害はオオヤブ、やなぎ共に3連複。オオヤブは12を軸にした6頭流し。そしてやなぎは、ついに「見」。一度だけ使えるこのカードを障害で切った。
「障害は着差数値では無理。ふだんはまったく買わないしね」
で、結果はオオヤブの軸馬12が2着。オオヤブの買い目には3着に入った1はあるものの、勝った5が無い。5は単勝47倍の馬なんで仕方ないところもあるが、このレースをオオヤブが的中していたら、ホントにツインターボ並の逃げになるところだった。なんだよオオヤブ、やけに調子がいいじゃないのよ?
『そりゃあね、春の僕とは違いますよ。夏を境に実が入ったというか。このトモの具合もいいでしょ。パンとして!』
ここまで2勝してビール×2。脾腹の感じは弛み切っているオオヤブだが、やなぎに対してとりあえずアドバンテージを得た。だが、やなぎだっておそらく黙っちゃいない。
『やなぎさん、何かツマミある?』
カチーン! こりゃ、やなぎも別の意味で黙っちゃいられないわなあ。
現在の馬券的中数
77本ゴールまで残り
23本
バトルは中盤戦へ…
【次回予告】オオヤブの大健闘で終わった序盤戦。中盤戦はやなぎの逆襲が見たいものの、いきなりの新馬戦で四苦八苦。オオヤブも序盤の勢いはどこへやら、二人のバトルはサバイバルの様相を呈していく。
【馬券100本ノック 対決編のルール】
・資金は1人10,000円(設定としては自腹)。資金が尽きた場合、追加するのはOK(ただし、金額は1レース1,000円まで)。
・勝負は、最終レース終了後の残高で勝敗を決める。
・予想の方法は問わない。
・1レースごとにくじを引き、券種を決める(決定した券種以外を買うのはダメ)。ただし、指定した勝負レースのみは好きな券種で買える。なお、勝負レースは1レースしか指定できない。
・レースは、1競馬場の1~12R。ただし、他場で重賞がある場合は買わなければならない。
・「見」は一度だけ認められる(ただし、重賞は「見」できない)。