いまだ“祭りの後”のようなわびしさが残るのは当方だけだろうか。今年オルフェーヴルが2着、キズナが4着に終わった凱旋門賞のことだ。
ディープインパクト(3位入線→失格)の06年も似た感情にとらわれたが、期待が大きいほど失望も深い。むろん欧州の厚い壁を打ち破るには池江調教師が語るように「勝つまで挑戦し続ける」しかないのだろうが…。
改めて思うのは「個」の力の限界。“重い歴史の扉”に最初に手をかけた99年のエルコンドルパサーは春先からフランスに滞在。半年の遠征期間(計4戦)を糧に半馬身差2着の熱戦を演じた。ただ、それには億単位の経費を要したと聞く。名誉を求めたアウェーの地で、金銭的にも孤軍奮闘を強いられたのだ。
「エルコンのように長期滞在した方が有利なのは明らか。でも簡単にいかない事情があるんだよ」と語るのは美浦のご意見番こと国枝栄調教師。
GI馬の海外遠征には補助金1000万円(招待レースで主催者が金額を負担する場合は別)がJRAから支給されるが、この金額は馬の輸送費でほぼ消える数字。滞在期間が長くなればなるほど、膨大な個人負担が発生することに変わりはないのである。
「もし今年の凱旋門賞の馬券を国内で発売していたら、並のGIよりよっぽど売れたろう。その売り上げの1割を海外遠征のサポートに充てれば経費の問題も一気に解決するんだろうな」(国枝師)
むろん法改正の手続きを踏まなければ実現不能な“夢物語”なのは確か。だが、母体のJRAが日本馬の凱旋門賞制覇にどれだけの価値を見ているか、サポートへの本気度はどうなのか、との問いかけがこの発言には垣間見える。
ワールドカップでサッカーが、WBCで野球が大きな関心を集めるように、もし日本馬が世界最高峰のレースを制することがあれば…。世間の競馬への認知度もガラリと変わる。JRAがそのための手間を惜しむ理由は何ひとつないはずだ。
「個」ではなく、日本「全体」で挑む凱旋門賞が訪れるようなら…。日曜夜半、テレビを見ながらフランス産ワインで当方が祝杯を挙げる日も遠くはあるまい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
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