昨年の菊花賞は春の有力勢が故障や路線変更で回避した。
ダービーの上位4頭の姿はなく同レースで5着に入ったゴールドシップが優勝している。
皐月賞は中山競馬場での消耗戦。ダービーは東京競馬場の高速かつスピードの持続力が要求される舞台での争いだ。
スピードと完成度の高さを持つ春の有力勢が不在となると持久力に富む新興勢力が台頭しやすいのではないだろうか。
昨年の三冠最終章はその典型だろう。
勝ち時計はオルフェーヴルが制した前年の3分2秒8という優秀な数字より0秒1遅いだけ。
シビアなラップが並ぶいい内容だった。
折り合いに課題を有する面々が主力を形成した一昨年と違い昨年はスタミナ色の濃いメンバーが集結。
菊花賞らしさという点においては近年にないレースだったと個人的に思っている。
今年はどうか。
2着のエピファネイアを除けばダービーで掲示板を占めた馬はいない。
夏を越え地力をつけた存在が加わり持久戦で結果を残してきた面々もそろっている。
春のクラシックとは色合いが異なるといっていいだろう。
長丁場への適性を優先して考えてみた。
過去10年で神戸新聞杯組の勝ち馬は実に8頭を数える。
セントライト記念組は2着馬が3頭出ているが勝利には手が届いていない。
劣勢だがメンバー構成や予測される展開から今年は後者の分がいいように思えてならない。
ダービーフィズを推す。
胴長でくっきりとした身体のラインは春当時とは明らかに違う。
長くいい脚を持続できるうえに前肢に軽さがある。
折り合いに難のない点を踏まえても3000m戦への適性は高いと思われる。
夏以降、急速に力をつけている感があるのも頼もしい。
ケイアイチョウサンは1番枠が追い風になる。
当コースは発馬して最初のカーブまでの距離が短い。コースのロスを避けて進むために最内枠はアドバンテージになる。
ナリタパイレーツは先行力があり前走を使われた上積みが大きい。
エピファネイアは身体能力が高く推進力が並ではない。行きたがるというよりスピードとパワーが有り余っているのだろう。
この長丁場でいかに制御して進むことができるか。それに尽きる。
テイエムイナズマの強調材料は2歳秋の段階で京都競馬場の外回りの重賞を勝っていることだ。
2002年の2着馬ファストタテヤマと同じデイリー杯2歳Sの覇者である。心身ともに成長していることで楽しみは増す。
ユールシンギングはレース間隔をあけながら確実に成長。体型やレースのスタイルからいかにも長丁場が合いそうだ。皮膚もいい。
マジェスティハーツは口向きの悪さが少しずつ解消している。極端な競馬になるだろうが末脚は確か。胴は短いがフットワークは大きい。脚質的にこの距離でも良さは出ると思う。