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トレクァルティスタら勝ち上がった注目馬たちの近況など(辻三蔵)

  • 2013年10月22日(火) 18時00分
『POGの達人』で毎年楽しみにしているのが私も選者として参加している「赤本オススメ10頭コーナー」である。昨シーズンからドラフト制を廃止して、カテゴリ別に対象馬をあげるシステムになったが、抽選の動向を気にすることなく、推奨馬を選択できるので撰者の意思が色濃く出ているように感じる。撰者の相馬眼が直接問われていることが緊張感を生み、昨年度のハイレベルな戦いに繋がったのだろう。

 昨年度は皐月賞終了時点で29,145万円を獲得した伊吹雅也さんがトップ。2位の須田鷹雄さんも2億円超え(21,805万円)を達成している。11名中6名が期間内で1億円を突破して、残りの内3人も8000万円以上となった。私も昨年度は指名馬が6頭勝ち上がり、自己ベストの8570万円を獲得したが、8位に留まった。例年なら掲示板は確実な獲得賞金でも指名馬全体のレベルが上がったことでAクラス入り(3位以内)も難しくなった。

 今年は指名馬10頭の内、「イチオシ!」のテスタメントを筆頭にリターンラルク、トレクァルティスタ、キミノナハセンター、ハイアーレートが勝ち上がった。昨年よりも勝ち上がり率が高く、牡馬クラシックで戦える布陣が揃ったと自負している。

 10月12日東京5Rメイクデビュー東京(芝2000m)で初勝利を挙げたテスタメント(牡、父ディープインパクト、母キングカメハメハ、小島茂厩舎)はノーザンファーム天栄に放牧に出た。次走は11月30日の葉牡丹賞(500万、中山芝2000m)を予定している。小島茂調教師は「期待しているものが大きい分、コメントはつい慎重になりますが、お母さんのブラックエンブレムの2歳時と比べれば、性格は素直ですし、体はシッカリしていると思います。それでも能力の高さに馬体の成長が追い付いていない感じもするので大事に使っていきたいですね」と話す。

 11年以降、秋の東京開催で行われた芝2000mの新馬戦で上がり3ハロン34秒1以内の末脚で勝った馬は同馬を含めて7頭いるが、フェノーメノ(12年青葉賞1着)、スピルバーグ(12年プリンシパルS1着)、カミノタサハラ(13年弥生賞1着)と翌年のクラシック路線で活躍した馬が名前を連ねている(10月20日現在)。

 葉牡丹賞は過去5年の優勝馬からトーセンジョーダン、コスモオオゾラの重賞ウイナーを輩出している出世レース。来年の皐月賞を見据えても重要な一戦になるだろう。

 リターンラルク(牡、父ディープインパクト、母リターンキャスト、大竹厩舎)は10月27日のきんもくせい特別(500万、新潟芝1600m)に特別登録しているが、11月3日の百日草特別(500万、東京芝1800m)への出走も視野に入れている。新馬戦(東京芝1600m)で破ったウインフェニックスはその後、新潟2歳S(4着)、いちょうS(2着)で好走しており、自慢の瞬発力を生かせる東京なら巻き返しは可能だ。

 放牧で英気を養うトレクァルティスタ(牡、父キングカメハメハ、母ハッピーパス、藤沢和厩舎)、キミノナハセンター(牡、父ディープインパクト、母グレイトサンライズ、藤沢和厩舎)は成長具合を見ながら次走以降のローテーションを決める。10月19日のいちょうS(オープン、東京芝1800m)で5着だったハイアーレート(牡、父ゼンノロブロイ、母スルーレート、大久保洋厩舎)も敗れはしたが、レース運びに進境を見せた。

 未出走馬で注目しているのは主力級で指名した母クライウィズジョイの11(牡、父キングカメハメハ)。兄は今年の菊花賞2着馬のサトノノブレス。10月17日のゲート試験に合格後、放牧に出たが、野性味溢れる走りで僚馬を突き放したロケットスタートには目を見張った。大物感漂う雰囲気に加えて、意外と晩成型だった兄の活躍を見れば、期待は膨らむばかりだ。

▼筆者:辻三蔵
 レーシングライター。元ホースニュース馬」美浦所属トラックマン。

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