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「ステゴ×マック」の王道配合、ゴールドシップの全弟トレジャーマップ

  • 2013年10月23日(水) 12時00分
●クイーンラズベリ(牝 美浦・加藤和宏 父ネオユニヴァース、母アグネスラズベリ)
 母アグネスラズベリは現役時代、函館スプリントS(GIII)を勝つなどマイル以下の重賞でたびたび入着を繰り返したスピード馬だった。3代母ベリアーニはこのところ存在感を主張しており、ロゴタイプ(13年皐月賞-GI、12年朝日杯フューチュリティS-GI)やパドトロワ(12年キーンランドC-GIII、12年アイビスサマーダッシュ-GIII、13年函館スプリントS-GIII)もこの一族に属している。母は5歳時から実が入ってきて6歳時が働き盛りだった。アグネスラズベリと同じ「エアジハード×トニービン」のショウワモダンも安田記念(GI)を勝ったのは7歳時だった。このように母方の血は完成が遅い傾向が見られるのでPOG向きではないかもしれないが、芝・ダート兼用の中距離タイプとして楽しみがある。

●サトノブレゲ(牡 栗東・西園正都 父アドマイヤムーン、母スマイルトゥモロー)
 母スマイルトゥモローはオークス(GI)とフラワーC(GIII)の勝ち馬。気難しいところがあり、古馬になると大逃げを打ってスタンドを沸かせることもしばしばだった。本馬はその6番子。半兄スマイルタイム(父ブライアンズタイム)は脚部不安で数は使えなかったものの、ダートで頭角を現し、500万下から3連勝して準OPまで出世した。本馬の父はアドマイヤムーン。スマイルトゥモローにサンデーサイレンスを含んだ種牡馬が交配されるのはこれが初めてのこと。サンデーサイレンスはホワイトマズル(スマイルトゥモローの父)とニックスの関係にあるので期待できる。ここまで母が産んだ産駒を見るとスピードが不足しているので、それを補うことができるアドマイヤムーンは悪くない相手だろう。芝向きのマイラー。

●サトピーオスカル(牡 栗東・森秀行 父ブライアンズタイム、母プリンセスローマン)
 2代母アコニットローマンは現役時代、南関東牝馬クラシックのひとつ東京プリンセス賞(ダ1800m)を勝った。繁殖成績も優秀で、母プリンセスローマンは不出走馬だったが、その兄弟にはオペラハット(99年羽田盃)、スリーローマン(01年府中牝馬S-GIII・3着、菊花賞馬スリーロールスの母)がいる。本馬の父はブライアンズタイムなので、スリーローマンの4分の3同血馬だ。ブライアンズタイムはブレイヴェストローマンと相性が良く、さくらんぼ記念(交流GIII)など地方競馬で43勝(うち重賞17勝)を挙げたブライアンズロマンや、ナイキアースワーク(06年ユニコーンS-GIII)とドラゴンファイヤー(07年シリウスS-GIII)の兄弟などがこの配合パターンから誕生している。基本的にはパワー型なのでダート路線で活躍が期待される。

●スリールドランジュ(牝 栗東・吉田直弘 父ゼンノロブロイ、母アドマイヤハッピー)
 4分の3兄にキタサンアミーゴ(父フジキセキ/11年小倉記念-GIII・2着、11年ダイヤモンドS-GIII・3着)、半兄にウォータクティクス(父ウォーエンブレム/09年アンタレスS-GIIIをレコード勝ち)がいる。母アドマイヤハッピーはエガオヲミセテ(98年阪神牝馬特別-GII、99年マイラーズC-GII)とオレハマッテルゼ(06年高松宮記念-GI、06年京王杯SC-GII)の兄弟で、年度代表馬エアグルーヴとは4分の3同血という良血馬。近親にはルーラーシップ(12年クイーンエリザベス2世C-香G1など重賞5勝)、アドマイヤグルーヴ(03年、04年エリザベス女王杯-GI)など多数の活躍馬がひしめいている。本馬の父はゼンノロブロイ。「ゼンノロブロイ×トニービン」は、ハートビートソング、ギンザボナンザ、モンテエンなど安定して走っている。芝向きのマイラー〜中距離タイプだろう。

●トレジャーマップ(牡 栗東・須貝尚介 父ステイゴールド、母ポイントフラッグ)
 偉大なゴールドシップ(12年皐月賞-GI、12年菊花賞-GI、12年有馬記念-GI、13年宝塚記念-GI)の全弟。「ステイゴールド×メジロマックイーン」は現代を代表するニックスとして有名で、ほかにドリームジャーニー(最優秀2歳牡馬、最優秀4歳以上牡馬)とオルフェーヴル(年度代表馬)の兄弟やフェイトフルウォー(11年セントライト記念-GII)などが出ている。「ステイ×メジロ」なら何でも走るわけではなく、ドリームジャーニーとオルフェーヴルの兄弟はノーザテーストのクロスを持ち、ゴールドシップは母方にThe Minstrelを、フェイトフルウォーはNijinskyを持っている。いずれもNorthern Dancer系の血だ。とくにゴールドシップのThe Minstrelは、ノーザンテーストと同じ「Northern Dancer×Victoria Park」という組み合わせなので、ドリームジャーニーとオルフェーヴルの兄弟と配合の骨格がよく似ている。「ステゴ×マック」のニックスは、二匹目のドジョウどころか四〜五匹もいたという稀なケースであり、さらにいる可能性もある。兄と同じ須貝尚介厩舎なので仕上げ方も手の内に入っているだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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