●アストレア(牝 栗東・牧浦充徳 父フサイチコンコルド、母ホールオブフェーム)
中山記念(GII)2連覇、毎日王冠(GII)レコード勝ちなど7つの重賞を制したバランスオブゲームの全妹。母が高齢で出産(20歳時)したという点は気になる材料で、兄とは12歳違いとなる。ただ、ひとつ上の半兄フェイムゲーム(父ハーツクライ)は京成杯(GIII)を制しており、母は年齢を感じさせない優れた繁殖能力を示している。この点はさほど気にする必要はないかもしれない。2代母ベルベットサッシュはサッカーボーイ(88年マイルCS-GI、87年阪神3歳S-GI)の全妹、ゴールデンサッシュ(ステイゴールド、レクレドールの母、ラウンドワールドの2代母)の全姉にあたる良血。バランスオブゲーム級とはいかないまでも、重賞戦線に乗るような活躍は十分期待できる。
●エイシンスパルタン(牡 栗東・藤岡健一 父Zensational、母Lady Tak)
昨年9月、米キーンランドのセプテンバーイヤリングセールにおいて栄進堂に21万ドル(約1600万円)で落札された。父Zensationalは現役時代、トリプルベンドH(米G1・AW7f)などオールウェザーの6〜7ハロンで3つのG1を制したスピード馬。現2歳世代が初年度産駒で、現時点で米ファーストシーズンサイアーランキングの第8位につけている。ランキング上位馬と大きな差があるわけではないので、今後の活躍次第ではもっと上も狙える。母Lady Takは現役時代、フロリダ産馬ながらテストS(米G1・ダ7f)とバレリーナH(米G1・ダ7f)をいずれもレースレコードで制したスピード馬。繁殖牝馬としても見どころがあり、本馬の4分の3姉にあたるMelody Ladyは3戦2勝でステークス勝ちを果たしている。本馬はMr.Prospector 5・5×4とスピード面をさらに強化しているので確実に走ってきそうだ。父Zensationalの産駒ゼアミは先週の新馬戦(ダ1400m)でクビ差2着。日本の馬場への適性も十分ありそうだ。ダート向きのスプリンター〜マイラー。
●キングラナキラ(牡 美浦・大竹正博 父キングカメハメハ、母クライウィズジョイ)
サトノノブレス(父ディープインパクト/13年菊花賞-GI・2着、13年神戸新聞杯-GII・3着)、ヒカルオオゾラ(父マンハッタンカフェ/09年エプソムCーGIII・2着、09年関屋記念-GIII・2着)の半弟にあたる。「キングカメハメハ×トニービン」は、ルーラーシップ(12年クイーンエリザベス2世C-香G1など重賞5勝)、ソウルフルヴォイス(11年福島牝馬S-GIII・3着)、ソルレヴァンテ(12年弥生賞-GII・4着)などと同じ。この組み合わせは芝1600〜2400mに強く、2歳時からバリバリ走るタイプではないが、3歳時にグンと成長する、という傾向が出ている。父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」という組み合わせから成る血と相性が良好で、本馬の3代母オールドスタッフは「Northern Dancer+Riverman」なので血統構成が近い(SecretariatとRivermanは配合の骨格が同じ)。スピード面の問題もないので芝中距離で楽しめそうだ。
●ショウナンパンドラ(牝 美浦・高野友和 父ディープインパクト、母キューティゴールド)
「ディープインパクト×フレンチデピュティ」は、ボレアス(11年レパードS-GIII)、マウントシャスタ(12年神戸新聞杯-GII・3着)、カミノタサハラ(13年弥生賞-GII)の3兄弟やウリウリ(13年ローズS-GII・3着)など、コンスタントに走っている。2代母ゴールデンサッシュはサッカーボーイ(88年マイルCS-GI、87年阪神3歳S-GI)の全妹にあたる良血で、母キューティゴールドはステイゴールド(01年香港ヴァーズ-G1、01年ドバイシーマクラシック-G2など重賞4勝)やレクレドール(04年ローズS-GII、05年クイーンS-GIII)の半妹にあたる良血。父がディープインパクトで2代母がゴールデンサッシュ、という配合はラウンドワールド(12年札幌2歳S-GIII・2着)と同じ。芝向きのマイラーだろう。
●ポーシア(牝 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母レディオブヴェニス)
アクションスター(13年京成杯-GIII・2着、13年神戸新聞杯-GII・4着)の4分の3妹。母レディオブヴェニスは現役時代に芝マイルの米G2を勝った。母の父Loup Solitaireは仏2歳ナンバーワン決定戦のグランクリテリウム(G1・芝1600m)の勝ち馬。母方に「Mr.Prospector、Lyphard、Northern Dancer+Special血脈から成る血」という3つの血を併せ持つディープインパクト産駒は、ハブルバブル(11年フラワーC-GIII・2着)とディープブリランテ(12年日本ダービー-GI)の姉弟、トーセンラー(13年京都記念-GII)とスピルバーグ(12年共同通信杯-GIII・3着)の兄弟、パッションダンス(13年新潟大賞典-GIII)、アトム(13年デイリー杯2歳S-GII・2着)と、JRAでデビューした7頭のうち新馬戦を走ったばかりのゼウスバローズを除く6頭がすべて重賞級に育っている。この馬の場合、父と相性がいいとはいえないRobertoが入るものの、Lear Fanを経由したラインは芝向きのスピードタイプで、Roberto系にありがちな鈍重さとは無縁なので問題ないだろう。確実性が高く桜花賞向き。
●ラリングクライ(牡 美浦・堀宣行 父ハーツクライ、母エグジジェ)
母方にCapoteを持つハーツクライは成功している。この配合でJRA出走歴のあるわずか4頭から、カポーティスター(13年日経新春杯-GII)、マジェスティハーツ(13年神戸新聞杯-GII・2着)、ダイワズーム(13年中山牝馬S-GIII・3着)と3頭の活躍馬が誕生している。CapoteはNasrullah 5・5×3・4というスピード配合で、パワーを兼ね備えているのでダート短距離に優れた適性を持つ。父ハーツクライは「サンデーサイレンス×トニービン」という上品な芝血統で、長距離の成績が良好。相反する個性だからこそバランスが取れて好結果を生むのだろう。本馬の2代母の父は90年代の世界最強スプリンターDayjur。その影響もあって母エグジジェはダート短距離で3勝を挙げた。父ハーツクライは前述のとおり長距離に強い種牡馬なので、両者の適性を考えるとマイル前後で活躍するのではないか。