アルゼンチン共和国杯、みやこS、アルテミスSなど追い切り診断
【栗東トラックマン情報】
◆日曜東京11R・アルゼンチン共和国杯(GII)
・アドマイヤラクティ
前走京都大賞典は休み明けとはいえ、坂路とCWでの追い切りを積み重ねて、本数的には十分な仕上がり。最終追い切りの時計が遅い点だけが、好走時と違っていたが、レースは見せ場のある4着だった。今回はダイヤモンドSを勝った時と同じ中3週。中間の追い切り本数は当時と同じ。当時よりも追い切り時計が遅くなっているが、これは気にするほどではない。それよりも、今回は直線に向いて、なかなか手前を替えなかった点が気になる。ダイヤモンドS時は直線に向くと、すぐに手前を替えて、最後まで同じ手前だった。それが今回は直線に入って、しばらくは逆手前での走り。直線で手前を替えるという意味では、目黒記念10着時と同じなので、その点がどうか。
・ムスカテール
もともと休み明けには実績がない上、苦手な右回り。勝負どころで内にもたれると、修正の利かないまま、9着に敗れたのが、前走オールカマー。この中間はノーザンFしがらきへ短期放牧に出されているが、放牧というよりも調整だったので、帰厩してからの始動も早い。中間も坂路で15-15になるところを何本も乗っており、かなり動ける状態。DPでの動きも抜群だが、最終追い切りの坂路4F53.2秒もこの馬にしては、かなり攻めた内容。昨年同レース2着時よりも状態が良いと言ってもよい。
◆日曜京都11R・みやこS(GIII)
・グレープブランデー
骨折明けとなった前走の南部杯。道中の位置取りはこの馬らしいものだったが、勝負どころでは反応が悪く、ある程度、推測できる結果に終わった。そこから中2週、叩いた上積みを期待したいところ。ただ、最終追い切りの動きからも、まだそこまで強調できるものはない。時計自体は4F53.1〜1F12.4秒と、一見すると悪くないが、ラスト1Fが最速になるラップを踏めていない。これは、東海S、フェブラリーS時の最終追い切りに共通する内容なので、好走には必須だろう。ここをひと叩きして、次走予定されているJCD、ここでの最終追い切りの変化に期待したい。
・ケイアイレオーネ
前走は最終追い切り坂路4F51.6秒と速い時計をマーク。レースでは、勝負どころから動いて、前を捕まえ切る強い内容で、距離の克服どころか、古馬との実力差を感じさせないレースぶりとなった。その前走時の中間追い切りと今回を比較すると、やや物足りない。追い切り本数は見劣らないが、1週前に4F53.2秒を出していた前回だが、今回は4F57.2秒。最終追い切りに関しても、今回の時計は前回より遅く、追い切り内容だけ見てしまうと、前走の疲労が抜け切っていないのではないだろうか。
◆土曜東京11R・アルテミスS(重賞)
・プライマリーコード
前走は新馬戦以来の2か月ぶりで重賞。非常に厳しい条件でのレースとなったが、掲示板を確保するあたりは素質の高さ。ただ、佐々木晶三調教師はそれ以上の期待をしているだけに、前走後はすぐにここへの参戦を決めた。中間の追い切り量は標準。最終追い切りの4F時計は、4F57.5秒とかなり遅い。東京競馬場への輸送があるとはいえ、少し手控えすぎた印象もあるが、雄大なフットワークで坂路では時計が出にくいタイプであることは間違いない。強気なレースをして、少々ペースが速くても、直線先頭で押し切るようなレースができれば、本来の能力を存分に発揮できるような気がする。
【美浦トラックマン情報】
◆日曜東京11R・アルゼンチン共和国杯(GII)
・ホッコーブレーヴ
10月30日の最終追い切りは珍しくポリトラックに入り単走追い。23日の1週前追いでキチッと追い切ったためか、今週はやや抑えた内容となったが、それでも5Fからスピード感十分の走りで5F67秒5−3F38秒5−1F12秒5を持ったままでマーク。時計的には目立つものでなかったが、1Fは抜群の推進力で駆け抜けており、今の勢いを示すには十分の動きだった。前走後中3週のレース間隔ながら計4本の追い切りを消化しており、息もちに関しても万全のデキ。今回の距離は初体験だが、2400m戦を数多く使っており、スタミナ面には問題なし。ハンデの54キロも恵量、そして少し上がり時計がかかる馬場状態を考えると、初のOP挑戦へのカベは何らなし。勢いを買って連勝の可能性も十分だ。
◆日曜東京10R・ユートピアS(1600万下)
・ゴールデンナンバー
4か月ぶりで臨んだ前走の府中牝馬S。長めの調教を積まれたが、プラス8キロと明らかに太めの馬体。それでも超スローペースを後方から進み、直線大外に持ち出して上がり最速の脚を見せて6着。内容は重賞でも通用の能力を見せた。今回は中2週のレースのため、折り合いに気を使って5F72秒9−上がり42秒5とセーブしたが、さすがにゴール前は抑えるのに苦労するほど。自己条件の牝馬同士ならパワーの違いの見せ場。
・イチオクノホシ
中1週ということで、多少控えぎみだが、抑え切れない勢いで疲れの心配は皆無。気合がのって好調子をキープしている。乗り役が「道悪は全くだめ」ということで、前走は同馬にとっては全く不得手の馬場。6着といっても、0、2秒差なら上々の内容。準オープンでは能力が一枚上と思える。このレースで昨年は勝ち馬と同タイムの3着。今年の相手関係なら、間違いなく好勝負。
◆日曜福島10R・檜原湖特別(500万下)
・コーラルタワー
まだ全体的に荒削りなので、意識して環境を変えながらの仕上げ。北馬場メインに乗られているが、その直後に坂路で追うことも多くなった。常に担当厩務員が馬場まで付き添っているように、「気性が悪い」というより、むしろ「子供っぽい」という表現が適切。それでも実戦に行けば、モマれても決して怯まずに、最後までしっかりと伸びるしぶとさがセールスポイントといえる。前走の新潟戦は、大外強襲馬の末脚に屈してしまったが、それでもレース上がり(33秒7)はナンバー2の記録。脚の使いどころひとつで500万はいつでも勝てる力がある。
◆土曜東京9R・tvk賞(1000万下)
・ナンヨーケンゴー
1番人気を裏切った前走だが、稽古のペースを緩めることなく、意欲的な乗り込みを消化している。前走後、中一週で調教を再開、3本目となる今週はウッドチップで、長めから84秒8−68秒8−40秒3。3馬身先行していたマイネエポナを馬なりのまま捕まえ、余力たっぷりにゴールイン。動きに硬さが残っていた春とは違い、バネを利かせた鋭い伸び脚を披露。張ち切れんばかりの馬体で、絶好調をアピールしている。スローの瞬発力勝負になった前走は、直線外から被されて仕掛け遅れ。追って追って脚を伸ばすタイプだけに、前走のように好位からの競馬では持ち味が生きない。現時点では広いスペースに出して、末脚勝負が1番の馬。状態はさらに上昇ムード、改めて見直したい。