「やっぱり多いなぁ。出れないかもしれないじゃん。取材の受け答えは確定後じゃダメ?」
週初めの美浦トレセンでアルテミスSの登録馬を確認した手塚貴久調教師が顔を曇らせた。フルゲート18頭をはるかに超える25頭が登録。出走予定のニシノミチシルベ、パシフィックギャルら1勝馬にすれば、抽選突破が重賞挑戦への大きな壁となっている。
実際、前出2頭を含めてこのレースに名前のある14頭が、日曜東京の百日草特別(500万下、芝1800メートル)にもダブル登録。アルテミスS除外への善後策を講じているが、手痛いのは再投票後の出走確率も現状ではかなり低いこと。「百日草特別すらはじかれると、適鞍も番組上しばらくないから本当に参る」と渋い表情を見せたのもうなずける。
むろん手塚師には“飲み仲間”のヨシミでその後すぐ両馬の取材へと移行させてもらったが…。そのやり取りの最中、宴会野郎は以前に国枝栄調教師が漏らしたこんな言葉を思い出していた。
「せっかく時間と手間をかけて仕上げても、投票はガラガラポンで一瞬で終わりだもの。ホント大いなる無駄だよな。施行者が各馬のレーティングを定めてレースにおける足切り基準を設ければ、こちらも対応の仕方があるのに」
JRAにとって競走馬は言うまでもなく売り上げに直結する大事な商品。市場原理に照らせば、需要の多い人気筋を店棚から外すことは本来ならあり得ない。だが、そんな“見えざる手”がなかなか働かないのが、レースの供給先=JRAの現行システムだ。
「賞金を加算するという意味でも、東京コースを経験しておくという意味でも、アルテミスSは2歳牝馬にとって意義深い重賞。出られれば今年もそれなりに勝負になると思うし、何とかならないかなぁ」と最後に繰り返した手塚師。
自身が管理するアユサンは当レースでの賞金加算(2着)を機に桜花賞馬へと上り詰めただけに、その言葉には重みがある。下げ止まりが利かない売り上げを見ても、恒久的に運、不運で片付けていい問題ではないと思うのだが…。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
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