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名繁殖牝馬アイアムザウィナーの息子アイアムナチュラル

  • 2013年11月06日(水) 12時00分
●アイアムナチュラル(牡 栗東・長浜博之 父ゴールドアリュール、母アイアムザウィナー)
 母アイアムザウィナーは「Danzig系×Mr.Prospector系」という組み合わせなのでスピード値が高く、アイアムカミノマゴ(10年阪神牝馬S-GII)、アイアムアクトレス(11年ユニコーンS-GIII)、アイアムツヨシ(01年京王杯2歳S-GII・3着)、アイアムエンジェル(06年ファルコンS-GIII・2着)、アイアムアドーター(準OP)など、繁殖牝馬としてコンスタントに活躍馬を送り出している。本馬を産んだときすでに18歳だが、名繁殖牝馬は年齢など関係なく活躍馬を送り出すので期待できるだろう。母の父Danzig ConnectionはSir Ivorを抱えており、Sir IvorはHalo(サンデーサイレンスの父)とニックスなので、サンデー系のゴールドアリュールは悪くないはず。芝・ダート兼用の中距離馬。

●アルマミーア(牝 栗東・中竹和也 父ディープインパクト、母ライヴ)
 半兄エンリル(父ゼンノロブロイ)は準OP馬。2代母Bint Pashaは米三冠馬Affirmedの代表産駒で、現役時代にヨークシャーオークス(英G1)、ヴェルメイユ賞(仏G1)、コロネーションC(英G1)などを制した。この一族からはニシノエモーション(08年青葉賞-GII・5着)が出ているものの、平地重賞で馬券になった馬は出ていない。ただ、本馬は「ディープインパクト×Storm Cat」なので、日本ダービー馬キズナ、桜花賞馬アユサン、青葉賞(GII)を勝ったヒラボクディープなどと同じ組み合わせ。この配合で重要なのは、残り4分の1の部分にHyperion-Alibhaiのようなブリティッシュトラッドの王道を添えることで、本馬の3代母Icely PoliteはHyperion 4×5でAlibhaiも抱えている。全姉オールウェイズラブは現在8戦1勝ともうひとつの成績だが、配合的には申し分ないので、馬のデキが良ければ違った結果が出ても不思議はない。

●オーバーチュア(牡 栗東・角田晃一 父ディープインパクト、母ドリームカムカム)
 ヒラボクインパクト(準OP)の全弟、ダノンエレガント(父ブライアンズタイム/準OP)の半弟にあたる。母ドリームカムカムはマイル以下で堅実な成績を残し、芝1200mのOP特別を3勝したほか、シルクロードS(GIII)で5着となった。母の父がメジロライアンなのでスピード面の心配がつきまとうが、この配合はHypericum≒Aureole 6×6という4分の3同血クロスが生じるので問題ない。母方にAureoleが入るディープインパクト産駒は成功しており、トーセンラー、カミノタサハラ、レッドオーヴァル、ファタモルガーナ、ボレアス、ダノンジェラートなど多くの活躍馬が出ている。2代母の父LomondはSeattle Slewの半弟で、その母My CharmerにはLa Troienne血脈の凝縮がある。こうした血が入るのも好感が持てる。芝1600〜2000mで本領を発揮するだろう。

●サトノアルバトロス(牡 美浦・萩原清 父ブライアンズタイム、母ホームスイートホーム)
 全兄バーディバーディは、兵庫チャンピオンシップ(JpnII)とユニコーンS(GIII)を勝ち、東京大賞典(JpnI)やフェブラリーS(GI)でも3着と健闘。東京ダ1600mのレコードホルダーでもある。母の父にMr.Prospector系が入るブライアンズタイム産駒はダートのマイラーとして活躍するものが目立つが、本馬はその典型で、Graustark=His Majesty 3×4という重厚な全兄弟クロスが底力の源泉となっている。アメリカの名門フィップス家が生産・所有するPoint of Entry(米芝中距離戦線でG1を5勝)とは“父同士が相似な血で母同士が全姉妹”というきわめてよく似た配合となっている。海の向こうの活躍馬によって優秀な配合パターンであることが遠回りに裏付けられたので期待したい。

●ジーズドリームス(牝 美浦・鹿戸雄一 父キングカメハメハ、母ダイヤモンドピサ)
 福島牝馬S(GIII)を連覇したオールザットジャズの半妹。父はタニノギムレットからキングカメハメハに替わった。キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」の構成を抱えた血と相性がよく、短距離王ロードカナロア、ジャパンCを勝ったローズキングダムをはじめ、ベルシャザール、エオリアンハープ、ビンテージチャートなどがこの配合パターンに当てはまる。キングカメハメハの母の父ラストタイクーンは「Northern Dancer+Mill Reef」。Mill ReefはNasrullah+PrincequilloなのでSecretariatと同じ構成。したがって、ラストタイクーンを母の父に持つキングカメハメハと「Northern Dancer+Secretariat」の構成を持つ血は惹き合うのだろう。本馬の2代母ジョードは「Northern Dancer+Nasrullah+Princequillo」なので成功パターンの配合をなぞっている。いいところがあるのではないかと思う。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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