ちょっとした異変と言っていい。週初めの美浦トレセンで、根本康広調教師が珍しく愛弟子・丸山元気を褒め上げた。
「向正面で人気馬がマクってきた時、一緒になって動かなかったろ? そこが勝因。アイツもローカルだと周りを見る競馬ができるもんだな」
振り返ったのは先週日曜の福島9R3歳上500万下(ダ1700メートル)。管理馬ポルスターシャインが測ったような差し切りを収めた一戦だ。デビュー時から「元気なのは名前だけ。もっとガッツを表す競馬を見せなきゃ」などと辛辣エールを送り続けてきた師が相好を崩すのだから、よほど感心したのだろう。デビューから5年、その成長の跡を宴会野郎もテレビ画面越しに感じ取った。
それでも…。後に続いた「このままならローカルの帝王にはなれるよ」という意味深な言葉。おそらくこれが本心だ。根本師自身、ダービージョッキーの肩書を持つ往年の花形騎手。自分の立った華やかなステージまで、弟子も現状に満足せず駆け上がってほしい。そんな思いが日々の辛口エールの源泉でもあるのだ。
「外国人騎手がバンバン来日して結果を出す。腕達者な公営ジョッキーも中央に来る。加えて馬主気質も昔とは違うからね。この環境で這い上がるのはやはり運も必要だよ。シンボリルドルフの岡部さんも、ミスターシービーの吉永さんもそう。騎手は名馬で育つもんだから。いまゲンキもローカルなら確かにいい馬が回ってくるけど、中央では逆に断られる立場。この殻を破れるか、これからが本当の正念場だな」
いかにも人情派トレーナーらしいゲキだが、日々の飲み代が欲しい宴会野郎にはこれに続く言葉がさらにグッときた。
「今週の福島もゲンキがどう乗るか注目してよ。キンショーウズシオ(日曜2歳未勝利ダ1700メートル)は成長期で崩れた体のバランスがようやく良くなってきた。前走2着はフロックじゃない。ユキノアカツキ(土曜2歳未勝利芝1800メートル)もこれまで(柴田)ヨシトミが大事に乗ったおかげで、しっかり競馬を覚えた感じだから」
さて、GIエリザベス女王杯の資金稼ぎは“ローカルの新帝王”に成長する丸山の手綱に託してみようか。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
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