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大物の相あり、ステイゴールド×チヨダマサコ牝系のヒラボクダービー

  • 2013年11月13日(水) 12時00分
●アンタークティカ(牝 美浦・木村哲也 父コマンズ、母アークティックシルク)
 半姉ゴールデンナンバーはダイワメジャー産駒にしては鋭い決め手の持ち主で、府中牝馬S(GIII)と福島牝馬S(GIII)で6着となっている。本馬はその半妹。父コマンズは現役時代こそG3を勝った程度の競走馬だったが、Danewin(豪G1を5勝し種牡馬としても成功)の全弟にあたる良血で種牡馬として大成功。生まれ故郷のオーストラリアでは09-10年のシーズンからベスト5以内に定着し、直近の12-13年は3位だった。日本における産駒は今年の夏からデビューしている。やや一本調子なところがあるので、母方に由来する切れ味がどれだけ伝わっているかで産駒のタイプは変わってきそう。芝1200〜1600mで本領を発揮する。

●ウイニングフェイス(牡 栗東・松永幹夫 父マンハッタンカフェ、母チアフル)
 半兄ミッキーチアフル(父シンボリクリスエス)は京王杯2歳S(GII)5着など重賞で数回入着経験がある。2代母Kartajanaはアガ・カーン四世殿下の生産馬で、ヨーロッパの伝統的なスタミナ血統で構成され、ガネー賞(仏G1)、バイエリシェスツフトレネン(独G1)などを勝った。母方にCaerleonを持つマンハッタンカフェ産駒には、レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ガルボ、テイエムオーロラ、マッハヴェロシティといった活躍馬がいる。ヨーロッパ的な底力を秘めた好配合馬だ。芝の中距離向き。

●カツジャックポット(牝 栗東・吉村圭司 父ダイワメジャー、母マイネノエル)
 母マイネノエルは1勝馬だが、繁殖牝馬としては優秀で、デスペラード(父ネオユニヴァース/13年阪神大賞典-GII・2着、12年ステイヤーズS-GII・3着)、ロジサンデー(父ダイワメジャー/準OP)などを産んでいる。本馬はロジサンデーの全妹。ダイワメジャー産駒は芝1200〜1800mでスピードを活かすタイプが多い。しかし、全兄ロジサンデーは全4勝をすべて2000m戦で挙げており、ダイワメジャー産駒にしてはスタミナがある。おそらく母の父がトニービンであることに加え、2代母マイネキャロルがGraustark=His Majesty 3×3という重厚な全兄弟クロスを持っているからだろう。本馬も距離が延びて良さが出てくるタイプ。2400mでも問題ない。

●ビジョナリー(牝 栗東・藤岡健一 父ディープインパクト、母ターキー)
 ダノンシャーク(13年京都金杯-GIII、13年富士S-GIII)とは4分の3同血の関係にある。両馬ともディープインパクト産駒で、ダノンシャークの母カーラパワーが本馬の2代母となる。この配合のポイントはカーラパワーの父Caerleon。母方にCaerleonが入るディープインパクト産駒はよく走っており、ダノンシャークのほかにジョワドヴィーヴル、カミノタサハラ、トーセンレーヴ、ボレアス、パララサルー、マウントシャスタなどが出ている。ニックスといえるだろう。母の父Sinndar(00年凱旋門賞-仏G1、00年英ダービー-G1、00年愛ダービー-G1)は戦績を見てのとおりステイヤー。この影響で母ターキーは牝馬ながらダイヤモンドS(GIII・芝3400m)で6着と健闘している。スタミナ面には自信があるので2000m以上で積極的に狙いたい。

●ヒラボクダービー(牡 美浦・国枝栄 父ステイゴールド、母ウィンヒストリー)
 2代母はエリザベス女王杯(GI)の勝ち馬タレンティドガール。その半兄はニッポーテイオー(87年天皇賞・秋-GI、87年マイルCSなど重賞7勝)。5代母ワールドハヤブサ(1967年生)以来、千代田牧場に根付いている名門牝系で、ここ最近もヴィクトリアマイル(GI)を勝ったホエールキャプチャをはじめ、エーシンホワイティ(10年ファルコンS-GIII)、ルルパンブルー(07年フェアリーS-GIII)、ベストクルーズ(09年ファンタジーS-GIII・2着)、シゲルスダチ(12年北九州記念-GIII・2着)など多くの活躍馬が出ている。本馬は「ステイゴールド×ダンシングブレーヴ」なのでサンライズマックス(08年エプソムC-GIIIなど重賞3勝)と同じ組み合わせ。2代母タレンティドガールの父リマンドは、ステイゴールドと相性抜群のメジロマックイーンの母の父でもある。底力があり、なおかつ素軽さも感じさせる好配合馬なので、ステイゴールド産駒の大物となっても不思議はない。芝2000mがベストで、2400mも守備範囲。

●ヤマニンマルキーザ(牡 美浦・栗田徹 父アドマイヤムーン、母ヤマニンメルベイユ)
 母ヤマニンメルベイユはメジロマックイーン産駒の貴重な重賞勝ち牝馬で、現役時代にクイーンS(GIII)と中山牝馬S(GIII)を勝ち、ヴィクトリアマイル(GI)では4着となった。母の父がサンデーサイレンスなので、有名なニックス配合を実現するためにステイゴールドを交配すると、サンデーサイレンス2×3というインブリードが生じる。さすがに付けづらい。本馬の父アドマイヤムーンも母の父がサンデーサイレンスなので、サンデー3×3が生じる。これもクロスは近いものの、許容範囲のうちだろう。父アドマイヤムーンはスタミナの血を抱えた繁殖牝馬と好相性を示しているので、メジロマックイーン牝馬は悪くないはず。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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