秋のGI戦線も、いよいよ折り返し地点。シーズンの中盤を盛り上げるのは、中心馬不在の戦国絵巻、マイルCSだ。おそらく、レースのカギを握るのはこの馬、前走スワンSで鮮やかな逃げ切り勝ちを決めたコパノリチャードだろう。秋初戦の惨敗から、見事な変わり身を遂げて迎える大一番。愛馬を送り出す宮徹に、ここまでの軌跡と勝算を聞いた。(取材・文:不破由妃子)
◆スワンS勝利の陰に新たな試み マジンプロスパー、グランプリボスら、歴戦の古馬に支持が集まったスワンS。そんななか、二の脚の速さでスッとハナに立ち、12頭を引き連れて悠々とトップゴールを切ったのは、快速3歳馬コパノリチャードだった。秋初戦となった前走ポートアイランドSは、2番人気の支持を受けるも16着に惨敗。まずは、この鮮やかな一変劇について、指揮官・宮にその過程を聞いた。
「初戦も自信はあったんやけどね。坂路で1番時計が出たし(最終追い切りで4F50.0秒)、ある程度、馬はできていたと思うんやけど、秋初戦というのは、どうしても使っている馬が強いよね。それと、浜中くんに『今後のことを考えて、控えることができたら控えてみて』って指示を出したのが裏目に出たところもあった。ジョッキーと少しケンカをしてしまったからね。展開が厳しかったのもあるけど、やっぱり中身が伴ってなかったんやなぁと思ったね」
と、ポートアイランドSの敗因を分析しつつ、それでも「悲観する内容ではなかった」と語る宮。惨敗を喫してなお、そう言い切れるあたり、この馬の能力への信頼がうかがえる。そのポートアイランドSは、前半こそタイキパーシヴァルにハナを譲ったが、我慢ならないとばかりに3コーナー手前でハナへ。
「相手がいると、ガーッとムキになってしまうからね。その負けん気の強さが吉と出るか凶と出るかは、レースに行ってみないとわからんからね。この仔は控える競馬でも勝ってるんやけど、やっぱりハナに立つと納得するようなところがある。ホンマの逃げ馬やと思うわ」
宮「ホンマの逃げ馬やと思うわ」
そして、中3週でスワンSへ。休み明けを一度使われたことで、馬に明らかな変化があったという。