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パワー勝負に強し

  • 2003年09月08日(月) 12時56分
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 9月3日、川崎「戸塚記念」。ティーケーツヨシが息の長い末脚で競り勝った。道中中団をじっくり進み、3~4コーナー外からスパート。一歩早めに抜け出したスギノワンダーをゴール寸前力強くねじ伏せた。切れ味よりパワー優先、そんな追い込み。「追い出して最初意外に伸びないのでヒヤッとした。それでもいい脚を長く使う」と、久々にコンビを組んだ野崎騎手。2000m2分10秒3、自身の上がり39.8秒、なるほどそれだけのレベルともいえるが、ゴールを過ぎて自身まだまだバテていない。実戦向きの長距離走者。ひとまずそういう評価でいいだろう。デビューから17戦、ようやく2勝目。勝ち味の遅さは、しぶとさ、したたかさの裏返し。むしろそれが個性でもありそうだ。

戸塚記念(サラ3歳 ハンデ 南関東G3 2000m良)

◎(1)ティーケーツヨシ  (54・野崎) 2分10秒3
△(2)スギノワンダー   (52・今野) 頭
 (3)トライアンフトーチ (55・久保勇) 2
△(4)チョウサンタイガー (54・酒井) 1/2
▲(5)ハギオモン     (54・桑島) 3/4
………………………………………………………
△(6)イシノファミリー  (56・森下)
○(7)ステルステクニック (55・石崎隆)

単500円 馬複2070円 馬単3700円
3連複40240円 3連単160510円

 ティーケーツヨシの父タヤスツヨシ。サンデーツヨシ、ナスダックパワー、ティーエスサンダー、さまざまなタイプの産駒を出し、イメージを固定しづらいが、自身サンデーの仔としては苦労人とでもいうべき努力型。あるいはそのあたりが、ダート向き、地方向きにつながっているかもしれない。JRAではあまり見かけず、しかし地方では隠れた名サイヤーになっているサマーサスピション、サンデーウェル、エイシンサンディなど。改めてサンデーの懐の広さと深さを痛感する。ティーケーツヨシの今後は未定。岩手ダービーGP挑戦なども距離的に面白いが、統一Gレベルに届くには、スピードと競馬センスを磨く必要があるだろう。

 スギノワンダーは先行馬ペースにうまく乗り、軽量52キロを生かしきった。逃げたトライアンフトーチも同様で、むしろ折り合いに苦労しながら善戦したチョウサンタイガー、久々のわりに形をつけたハギオモンに今後の期待が大きいか。イシノファミリーは出遅れ、ステルステクニックは道中ちぐはぐ。いずれにせよ現時点でナイキアディライトの背中はますます遠くなった感がある。

   ☆      ☆      ☆

トゥインクルレディー賞(9月9日大井 サラ3歳以上牝馬 ハンデ 南関東G2 1590m)

◎ホウザングラマー (54.5・的場文)
○アオバコリン   (57・内田博)
▲ブルーマドンナ  (52.5・石崎駿)
△ネイルアート   (54・山田信)
△ドリームサラ   (54・酒井)
△ケージーローズ  (51・納谷)
△アートブライアン (52.5・石崎隆)

 ホウザングラマーは目下6連勝中の4歳馬。デビューが3歳秋、ちょうど丸1年のキャリアだが、条件戦を順風満帆に勝ち進み、前走ついに準重賞「クリスタルC=A2下」を制している。父ダンスインザダーク。スピード、瞬発力、兼ね備えたタイプで、競馬センス、勝負根性も一戦ごとに磨かれてきた。そのクリスタルCはアオバコリンに4馬身差をつけたもの。アオバコリンはТCK女王盃、マリーンCいずれも3着、牝馬とすると統一Gレベルだから、いきおいホウザングラマー自身への夢も高まる。勝ちっぷりしだいではネームヴァリューを筆頭とする牝馬3強の牙城に迫る可能性。ぜひ1度肉眼で見ていただきたい馬だ。このハンデならまず死角はないだろう。

 アオバコリンは実績断然ながら、今回逆にチャレンジャーの立場になった。腹を据えた直線勝負で切れ味を生かし切るか。ただ気性面、脚質から取りこぼしが常に心配なタイプではある。穴は徐々に自分のリズムを取り戻しつつあるブルーマドンナ。昨秋ロジータ記念でラヴァリーフリッグの鼻差2着。右回りも悪くないだけに展開ひとつで大駆けが浮かぶ。3歳ネイルアート、ケージーローズはまだ少し線が細く、それなら前走久々に勝って波に乗りそうなドリームサラ。岩手の怪物・トウケイニセイの希少な産駒で、ハイペースのサバイバル戦に強い。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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