【ジャパンC特別企画】当事者が語るGI制覇の舞台裏〜佐々木晶三調教師Part2
◆渾身の仕上げ、生涯最高の状態に
この佐々木の言葉をまさに体現してみせたのが、2002年の有馬記念だろう。好スタートからハナに立ち、スローに落としたところで、武豊騎乗の1番人気ファインモーションが掛かり気味にハナへ。しかし、向こう正面で再びタップがハナを奪い返し、そのまままんまと2着に粘り込んだ一戦だ。ファインモーションは結局、直線で伸びを欠いて5着。このときタップが13番人気という伏兵だったせいか、佐藤の騎乗には『1番人気を潰した』『いや、これが競馬だ』と、賛否両論飛び交った。当の佐藤もレース後、武豊に謝罪したというが、佐々木は実にあっけらかんとこう振り返る。
「あのレースは最高やった。2着だったわけやから、普通は悔しがるんだろうけど、俺にとっては今までで一番おもしろいレースやった。あのレースを見て、“あ、これはGIでやっていけるな”って、初めてGIを意識したね」
明け6歳となった2003年は、4月末の東京競馬場リニューアル記念(OP・ハンデ)から始動。58キロのトップハンデを背負い、道中4番手から2馬身差の楽勝を収めた。
「そのローテこそ、俺の自信の表れ。もし俺が