
太が落馬の恐怖とJCダートへの意気込みを語る!
11月9日の京都3Rで落馬し、5R、6Rは騎乗したものの、それ以降と翌日はすべて乗り替わりとなった小牧騎手。ケガの程度が心配されましたが、翌週には無事復帰し、ファンを安心させてくれました。今回はその落馬の詳細な状況と、ジャパンCダートに出走するナイスミーチューへの手応えを語ってくれました。(取材・文/不破由妃子)
◆“ここで落ちたくない!”と必死にしがみついて…──11月9日の落馬(京都3R・2歳未勝利・エイシンスバシリ)について、たくさんの質問とメッセージが届いています。勝負どころでのアクシデントで、すごく危険なシーンでしたが…。
小牧 ホンマやねぇ。前走は芝で行けなかったんやけど、ダートになったら全然行きっぷりが違うわと思いながら乗っていて。下を見たり物見をする馬なので、ギリギリまで前に馬を置いてね。あのレース、故障がなかったら楽勝やったわ。もう、いつ抜け出そうかっていう感じやったから。
──故障をする直前、小牧さん、チラッと後ろを見ましたよね?
小牧 そうそう、後ろを確認して、さあ追い出そうかなと思ったところで故障してしまって、鐙がガサッと抜けた。片一方の鐙が抜けて、バランスが崩れてね。“ここで落ちたくない!”と思って、必死にしがみついとったんですわ。去年骨折したのもちょうど今頃でしょう。だから“またかぁ…”と思いながら。
──最後の直線だけに、怖い思いをされたのではないかと。
小牧 うん、怖かった。
──小牧さんが必死にしがみついて、落ちるまでに数秒間ありましたよね。だから大きな事故にならなかったのかなと思いました。
小牧 うん、それもあるかもね。あそこでいきなり落ちたら、他を巻き込んでしまう場面やからね。僕、落ちる瞬間、ユタカくんにつかまろうとしとったみたいで。検量のところでユタカくんに「小牧さん、僕につかまろうとしてたでしょ」って言われたわ。申し訳ないけど、完全に無意識やね。馬は残念なことになってしまったけど、誰も大きなケガがなかったのは、不幸中の幸いやね。
──本当ですね。小牧さんも打撲で済んで。
小牧 落ちる瞬間に膝を捻ったみたいやね。立ち上がろうとしたら痛みが走って、“あ、アカンわ…”と思って、またバタッと倒れたんやけど。
──折れていないことはすぐにわかりましたか?
小牧 そのときは何とも言えんかった。骨の検査をしたらなんともなかったし、これなら大丈夫やなぁと思ってたんやけど、2つ乗っているうちに膝のあたりが腫れてきて。元バレットの子が整体師やから、一緒に見てもらってたんやけど、みるみる腫れ出してね。「これ、じん帯かなんか、いってるんちゃいますか?」って言われて。それで、次の日の騎乗も含めて止めたんですわ。そのまま救急病院に行って改めて検査をして、月曜日にはMRIをやってね。そこで「大丈夫です。水曜日から乗れますよ」って言われて、ホッとしたんですわ。
──重度の打撲だったんですね。
小牧 うん。膝を外側に開くような動きがまだ痛いね。でも、馬に乗っているときは膝を内側に締めるから、まったく痛くないねん。とりあえず、この程度でホンマに良かった。
──本当ですね。あの日(11月9日)は他場でも落馬が相次いで。小牧さん以外にも、ケガによる乗り替わりが多かったんですよね。
小牧 そうみたいやね。馬の故障はどうしようもないですね。時計も速くなっているし。事前に防げるとしたら、返し馬で察知して(出走を)止めるしかないから。危ないな、と思ったら、僕はすぐに(出走を)止めるよ。今回も、前走からちょっと歩様が硬いなとは思っていたんです。それで、「ダートのほうがいいんじゃないですか?」って提案をして、2戦目はダートにしてもらったんやけどね。でも、しっかりした馬で、故障するような感じではなかった。だから、歩様の硬さが故障につながったのかどうかは、今となっては判断が難しいね。
──先ほど小牧さんもおっしゃってましたけど、昨年骨折したのも11月でしたものね。それで、ジャパンCダートのナイスミーチューは福永さんに乗り替わりになって(11着)。今年もそのジャパンCダートが迫っていますが、「ナイスミーチューの手応えを教えてください」というリクエストがたくさんきています。
小牧 久々にチャンスやと思ってる。僕自身、最近GIではなかなか乗り馬がおらんかったし、大一番やと思っているよ。
──みやこSはなかなかの好メンバーでしたが、そこでコンマ4秒差4着。得意の阪神に替われば…という思いはありますよね。
小牧 そうやね。あとは枠順やねぇ。理想は内枠、あとは良馬場。去年はケガで乗れんかったから、僕自身、今年こそはの気持ちがある。上位にくるだけの力は絶対にあるからね。

理想は内枠、あとは良馬場。僕自身、今年こそはの気持ちがある。
【次回の太論は?】 次回は、サトノルパン、グレイスフルリープなど期待馬の今後についてや、ユーザーからの質問に答えるかたちで、先日亡くなった増本豊調教師、笠松の濱口楠彦騎手との思い出を語ります。