JCダート、ステイヤーズS、金鯱賞など追い切り診断
【栗東トラックマン情報】
◆日曜阪神11R・JCダート(GI)
・ベルシャザール
前走後はJCDをスキップするような発言も出ていたが、その後、すぐに出走意思を表明。この中間も緩めることなく、乗られている印象で、調整過程に問題はない。
最終追い切りはいつも通り坂路馬場。単走だったが、可もなく不可もなくといった時計と動き。もともと追い切りで見栄えするタイプではないだけに、仕方ないところだろう。阪神競馬場自体は、芝コースで実績があるので問題ないと思うが、ダートコースは初めて。3コーナーから4コーナーがおむすび型になっている、ある意味、特殊なコースだけに、勝負どころでの戸惑いがなければというところ。
・ニホンピロアワーズ
昨年の同レース覇者で、今年も春シーズンは堅実な走り。ただ、帝王賞以降は長い休みを挟んでおり、JBCを使う予定が使えなかったという経緯もある。
それだけに、この中間の追い切りは今までと違う過程。オープン入りしてから、中間に併せ馬を挟むことはなかったが、今回は併せ馬を2本。その動きは相手に見劣っており、いかにも久しぶりという感じ。最終追い切りは負荷の軽いポリトラック馬場だったということもあり、見栄えのよい動きとなったが、本質的な中身が出来ているかは疑問。力は認めても、仕上がりは良くないというのが正直な感想。
・ワンダーアキュート
二桁の馬体重増減の多い馬で、昨年同レース2着時も+21キロだった。前走も+17キロでレースをしており、馬体重に関しては、どのように見るべきか、非常に難しいところがある馬。
追い切りも同じく、昨年の同レースはCコースを単走で追われているが、6F時計が遅かった。今回は6F時計が速かったものの、昨年と違うのは、ラスト1Fの伸び。かなり時計を要しており、加えて、今年は併せ馬を行ってきたということは、前走よりも更に体重が増えている可能性がある。体重や追い切りだけは判断の難しい馬ではあるが、高い評価ができない追い切り内容であることは確か。
◆土曜中山11R・ステイヤーズS(GII)
・デスペラード
前走アルゼンチン共和国杯は最終追い切りで速い時計をマークし、本気の仕上げでの出走だったが、レース展開から6着に差すのがやっと。しかし、最終追い切りで速い時計を出せば、レースでもきっちり走れるところを見せた。
今回も最終追い切りの時計が問題だが、Dコースのポリトラック馬場を単走で追い切って、6F82.6秒。ラスト1F11.8秒は悪くないが、全体の時計は遅い。1週前追い切りがそれなりに速い時計を出しているので、そのあたりから、今週は手控えられたのだろうが、そこは不安材料として残る。
◆土曜中京11R・金鯱賞(GII)
・メイショウナルト
5月に長期休養明けから復帰して、すでに7戦。適度な間隔はあるが、休みなく使い続けており、単純なローテーションという意味でも、上積みよりも現状維持が重要になってくる使い方。最終追い切りを見ると、その感が一層強くなった。
前走時はCコースを単走で追い切り、馬なりながら、6F80秒を切ろうかという時計をマーク。今回は6F84.3秒と前走時と比較するとかなり遅く、ラスト1Fの動きもひと息。また、中3週のローテーションだが、追い切り本数は2本。このあたりも、前走を使ってからの回復が懸念されるような仕上げとなっている。そろそろ、ひと息入れた方が良い印象が拭えない。
【美浦トラックマン情報】
◆土曜中山11R・ステイヤーズS(GII)
・クリールカイザー
久々を叩かれた前走の甲斐路Sだったが、太めが絞れず+2キロの体重。それでも好位でスムーズに折り合って先着した2頭には距離適性の差で水は開けられたが、しぶとく粘って3着と力は示した。今回は太め解消と末脚のパワーアップを図り1週前に終い目一杯追って5F68秒3。さらに直前は終い激しく追って5F65秒5〜上がり37秒9の好時計を叩き出した。2週続けてこれだけハードに追ったのは初めて。重賞でも抜けた馬は見当たらず意欲的な稽古を買う。
◆土曜中山8R・イルミネーションジャンプS(OP)
・コスモソユーズ
「牧場から戻ってきたばかりで、もうひと追い欲しい仕上げ。まだ馬体にも余裕があるから、叩けば良くなる」が前走の東京戦使う直前の陣営のコメント。レースでは一瞬見せ場もあったが、やはり息がもたずに後半失速。それでも、叩き台とすれば決して悪くはない内容だった。1週前には五十嵐騎手が手綱をとって、67秒5〜52秒1〜38秒9をマーク(直線一杯に追う)し、直前にもキチンと併せ馬。派手に動くタイプではないので、時計的にはこんなもので十分。確実に状態は上向いている。スタミナで勝負したい馬に、バンケットのある中山も魅力的なコース。目標は大障害という馬が多く、本気度ではこちらが断然上回る。
◆土曜中山9R・葉牡丹賞(500万)
・ウインフェニックス
ここまでキャリア5千、2歳馬にしては使っているほうだが、疲れは一切見せずに元気一杯。今週はウッドチップで古馬に半馬身遅れる形で、53秒7-39秒3。稽古駆けするタイプではないが、今回は今までとは気迫が一変。軽くうながすだけで馬にスイッチが入り、グンと加速。最後まで余力を残した走りで、遅れも全く気にならない内容だった。馬込みをさばくのに手間取り、完全に仕掛けが遅れた前走も2着は確保。それよりも好位から競馬ができたのは大収穫。中山コースに不安もなくなり、今回はキッチリと勝つ。
・ロジテースト
前走時から仕上がった馬体だったが、使った後も反動、馬体減りの不安なくコースも含めて入念な乗り込み。好調子を持続している。調教時からキレのある動きを見せていたが、出遅れ→直線半ばまで後方待機から、上がり34秒台の競馬を一気に差し切った瞬発力が圧巻。まだ若さが残っていただけに、レース慣れも十分見込める。小回りコースになるが、この馬のキレなら、坂上からでも差しきれるはずだ。
◆日曜中山9R・霞ヶ浦特別(1000万)
・ヒラボクマジック
6月の函館戦以来で5ヶ月ぶりの実戦。美浦に帰厩後は11月初旬に時計が出始め、追い日ごとに坂路と南ウッドを交え入念に乗り込んだ。1週前追いの20日に格下馬を7馬身追走から、一気に突き抜けて逆に2馬身先着の好内容を消化してからは、気合い、息もち、素軽さと、すべての面でブランクを感じさせないものとなり、9分通りにまで仕上がった。そのため27日の最終追いは単走で抑えた内容となり、時計も5F67秒7〜3F38秒2〜1F13秒4と目立つものではなかったが、手応えの良さとスピード感十分の走りを見る限り万全の状態といえる仕上がり。追い込み脚質のわりには中山コースは安定感があり、終い確実に押し上げてくる得意条件。久々といえ少しでもペースが乱れれば直一気での台頭可。