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近親に活躍馬多数、マンカフェのニックス配合オースミフブキ

  • 2013年12月04日(水) 12時00分


エイシンコクーン(牝 栗東・松元茂樹 父Unbridled's Song、母Class On Class)
 昨年9月、米キーンランドのセプテンバーイヤリングセールにおいて15万ドル(約1200万円)で落札された。インディアナダービー(米G2・ダ8.5f)、ノーザンダンサーS(米G3・ダ8.5f)を勝ったDon't Get Mad(父Stephen Got Even)の半妹にあたる。父Unbridled's Songは現役時代にブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)、フロリダダービー(米G1)を勝ち、種牡馬としても成功。ラヴェリータ(11年エンプレス杯-JpnIIなど重賞7勝)、アグネスソニック(02年NHKマイルC-GI・2着)、ブライドルアップ(OP)など、日本における産駒の活躍ぶりも華やかだ。芝・ダート兼用タイプで、距離はマイルあたりが合っている。

オースミフブキ(牝 栗東・荒川義之 父マンハッタンカフェ、母オースミハルカ)
 母オースミハルカはクイーンS(GIII)[2回]、府中牝馬S(GIII)を勝ったほか、エリザベス女王杯(GI)でも2年連続で2着となった名牝。繁殖牝馬としても優秀で、アグネスタキオンとの間にもうけたオースミイチバンはダイオライト記念(JpnII)と兵庫チャンピオンシップ(JpnII)を勝ち、ユニコーンS(GIII)で2着と健闘した。「マンハッタンカフェ×フサイチコンコルド」といえばジョーカプチーノ(09年NHKマイルC-GIなど重賞3勝)と同じ。母方にCaerleonを持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、ジョーカプチーノのほかにレッドディザイア、ガルボ、テイエムオーロラなど多くの活躍馬が誕生している。兄弟のなかには気性的な問題で実力を発揮できなかったものもいるので、本馬はこの点さえ問題なければ期待できる。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

キスオブザビーナス(牝 栗東・矢作芳人 父メイショウサムソン、母ロージーミスト)
 NHKマイルC(GI)、朝日杯FS(GI)など5つの重賞を制したグランプリボス(父サクラバクシンオー)の半妹。「メイショウサムソン×サンデーサイレンス」という組み合わせは、期待ほど成功しているわけではないが、グランプリボスの半妹にあたる良血で、母方の奥には父の鈍重さを解消するようなアメリカ血統が含まれているので期待できる。芝向きの中距離タイプ。

ケルヴィンサイド(牡 栗東・藤岡健一 父コマンズ、母オータムメロディー)
 モハメド殿下の所有馬。半姉ピクシープリンセス(父ディープインパクト)はエリザベス女王杯(GI)で3着となり、半兄ジョヴァンニ(父アドマイヤムーン)はダートでOP入りを果たしている。母オータムメロディーは「Kingmambo×Sadler's Wells」なのでエルコンドルパサーと同じ組み合わせで、Nureyev≒Sadler's Wells 3×2という大胆な4分の3同血クロスを持っている。ヨーロッパの香り漂う重厚な繁殖牝馬だ。本馬の父コマンズはDanewin(現役時代に豪G1を5勝し種牡馬としても成功)の全弟で、オーストラリアの歴史的名馬Octagonalの甥でもある良血。現役時代はG3を勝った程度だったが、種牡馬としては兄Danewinを上回っている。09-10年のシーズンからベスト5以内に定着し、直近の12-13年は3位だった。日本における産駒は今年の夏からデビューし、現在のところ4頭が勝ち上がっている。これといった大物はいないものの、芝1200mの成績は素晴らしく、連対率38.1%、単勝回収率210%、複勝回収率118%と優秀だ。この馬もやはり芝向きのスプリンターだろう。

ファンタジックアイ(牝 栗東・今野貞一 父ネオユニヴァース、母ファンジカ)
 全兄にアサクサショパン(準OP)、半兄にハイアーゲーム(父サンデーサイレンス/04年青葉賞-GII)、ダイワマッジョーレ(父ダイワメジャー/13年京王杯スプリングC-GII)、ファイトクラブ(父Halling/06年中京記念-GIII・5着)、サトノキングリー(父ダイワメジャー/13年毎日杯-GIII・6着)がいる良血。母ファンジカは、サンデー系と相性のいいHeliopolisとSir Ivorを持っている。父ネオユニヴァースはやや鈍重なところがあり、全兄アサクサショパンはAlleged、Vaguely Nobleといった母方にある重めの血と反応してダート向きに出たのかもしれない。本馬は牝なので、もう少し素軽いタイプとなるはず。芝もOKだろう。

ムタード(牡 栗東・吉村圭司 父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー)
 全姉にトールポピー(08年オークス-GI、07年阪神JF-GI)とアヴェンチュラ(11年秋華賞-GI)、全兄にフサイチホウオー(重賞3勝)がいる超良血。Hornbeam≒Sunset 4×5が非凡な競走能力の鍵だ。「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」は相性がよく、ほかにジャガーメイル、ダイワファルコン、アプリコットフィズ、トーセンキャプテンといった活躍馬が出ている。父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデーは上記のとおり活躍馬が連続して出ていたが、ここ2年はエンジェルフォール(1戦0勝)、エルミラドール(不出走)と結果が出ていない。この血統の牡馬はフサイチホウオー以来となる。あくまでも馬次第だが、当たれば大きいのでデビューを楽しみに待ちたい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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