9月9日、大井「トゥインクルレディー賞」。伏兵アートブライアンが接戦を制して初タイトルをつかんだ。夏を境に地力をつけていたこと、軽量52.5キロがフルに生きたこと。それにしても石崎隆之騎手の手綱は相変わらず冴えわたっている。道中好位の外で流れに乗り、直線あと1ハロン、内からアオバコリンが迫ってくるまでひと呼吸仕掛けを待った。最後の最後、渾身のステッキ。「勝てる手応えでしたよ。状態がよかったしハンデも軽い。まあ今日は馬がよく頑張った」。
トゥインクルレディー賞(サラ3歳上牝馬 ハンデ 南関東G2 1590m良)
△(1)アートブライアン (52.5・石崎隆) 1分38秒6
○(2)アオバコリン (57・内田博) 頭
◎(3)ホウザングラマー (54.5・的場文) 1
▲(4)ブルーマドンナ (52.5・石崎駿) 1.1/2
(5)メイプルスプリング (51・桑島) 頭
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△(8)ドリームサラ (54・酒井)
△(9)ネイルアート (54・山田信)
△(10)ケージーローズ (51・納谷)
単1390円 馬複3250円 馬単7760円
3連複650円 3連単13770円
アートブライアンはラヴァリーフリッグと同じ出川克己厩舎。2歳秋、北海道から転入。いきなりオープン特別を勝ち、当時はラヴァリーとそう遜色ない評価を得ていた。ライバルに差をつけられたのは、馬体減り、輸送によるイレ込みなど、ひ弱さが目立ったため。スピード優先のサニーブライアン産駒ながら、もともと差す競馬で味があり、心身とも実が入ったとなれば今日の快走も不思議ではない。1590m1分38秒6、ノンタイトル馬同士にしては時計が速く、流れそのものも濃密だった。素直にニューヒロイン誕生でいいだろう。今後順調なら10月2日「クイーン賞」(船橋1800m)へ。統一Gでも流れひとつで脈がある。
アオバコリンは、トップハンデ57キロを考えると力通り、時計的にはむしろそれ以上に走っている。問題は単1.2倍のホウザングラマー3着。当日8キロ減、それでも馬の雰囲気はよかったし、道中包まれ気味の展開で4コーナー9番手、最後猛然と伸びただけに調子落ちとは考えにくい。「外めの枠順で好位につけるまで脚を使った。キャリア不足かな」と的場文騎手。条件戦を6連勝して初重賞、道中の運びにロスがあってはやはり辛いということか。ひと息入れて仕切り直し。そろそろ充電が必要な時期ではあっただろう。
ブルーマドンナは中団から直線しぶとく伸びてきたが、結果時計が速過ぎた。本質的にもう少し距離がほしい。むしろ3~4コーナー、一瞬あわやの脚を使ったメイプルスプリングがマイル向き。ドリームサラは依然ジリ脚の弱みがつきまとう。3歳ネイルアート、ケージーローズは古馬の前にスピード負け。いずれにせよまだまだ経験が不足している。
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2歳馬情報。9月12日船橋、ダーレー・ジャパン所有のドバイ馬、ゼレンカ(川島正行厩舎・父シーキングザゴールド)が2勝目を飾った。7月3日のデビュー戦こそ落としたものの、8月6日初勝利に続く横綱相撲。1200m1分14秒8(前走13秒2)と時計は速くなかったが、道中2番手から危なげなく抜け出し、後続に4馬身差をつけている。当日16キロ増。牝馬とは思えない堂々たる馬っぷりで、いよいよ期待通り、思惑通りの軌道に乗った。これでJRA認定取得。体型、走法からは、距離延長もむしろプラスか。父の産駒にご存じシーキングザパール(NHKマイルC)。あとは芝の適性にかかってくる。
南関東の2歳馬。今年も今のところ船橋優勢に流れている。3勝馬が1頭、2勝馬が3頭。うちエーピーライデン(父ワカオライデン)が大井の特別を勝ち、ニンジャ(父ロイヤルタッチ)が川崎の特別を勝った。ゼレンカと同じ9日、2勝目をあげたピーエムドヌール(父トーヨーリファール)もなかなか大物感がある。エーピーライデンは、今週18日川崎「若武者賞」に出走予定。昨年はこのレース、パレガルニエが制し、続く鎌倉記念→東京2歳優駿牝馬と勝ち進んだ。ちなみに翌19日の新馬戦では、オーシャネット(父パンチョヴィラ)がデビューする。ビワシンセイキの半妹。むろんこちらも注目馬だ。