◆来春を展望したうえで阪神JFを考える
コースが改修されて以降、今年で8回目を迎える。
06年のウォッカはダービー馬に。07年のトールポピー、08年のブエナビスタ、09年のアパパネはオークス馬となった。
翌春の東京2400m。華やかで過酷なステージにこれほど直結するのだからいかに阪神JFの舞台が厳しいか理解できる。
桜花賞と同じ競馬場であり同じ距離。桜と樫のいずれにもつながる重要な2歳牝馬の頂上決戦だ。
なにしろまぎれが生じにくい設定である。
舞台の阪神競馬場・芝1600mコースは外回りで行われホームストレッチは約473mを誇る。
右回りでは国内で最も長い。最後は勾配の角度が中山競馬場とほぼ同等の急坂が待ち受けるのだ。
タフなコースであることに加えて自然の影響も考慮すべきだろう。
冬の仁川は度々、強風に吹きつけられる。
昨年の同レースは直線が向かい風。さらに外から風を受け密集した状態で4角を迎えている。
勝ったローブティサージュは1番枠で風を遮りながら脚をためている。
枠順を利した秋山騎手の好騎乗が光ったレースだ。
降雨だけでなく当日の風向きにもできれば注意を払いたい。
ただ昨年は力量が接近していた。明確に上位と捉えられる馬がいれば枠順に囚われる必要はないと思われる。
要点としてもうひとつ。
冒頭で記させていただいた内容を逆算する手がある。
当欄において今年の桜花賞でアユサンを推した。
結果に恵まれたが実は昨年の当レースでもアユサンを推している。
重複するが桜花賞、オークスに直結するレースだ。
クラシックを制する力を持っていると判断すれば現段階で狙ってもいいということになる。
昨年、アユサンを推した理由はそこにある。桜花賞馬になったのだから馬の力について自分は把握できていたのだろう。
しかし当レースにおいては結果を出せていない。
ちなみに10着にはのちのオークス、秋華賞、エリザベス女王杯を制するメイショウマンボが入っている。
つまり昨年の阪神JFには今年の3歳牝馬路線の主要レースを勝った2頭が参戦していたのだ。
これをどう捉えるか。
来春に映える馬と評価すれば推すべきだと思えるが昨年のようなケースもある。
一昨年のように翌年の年度代表馬に選出されるジェンティルドンナのような存在が出走していない場合もある。
世代のレベルを推測して現況を判断したうえで対処しなければならない。
ハープスターを推す。
初めての右回りだが左回りよりスムーズな走りができるのではないか。
エンジンが掛かるのは遅いが点火してからの反応の速さ、勢いとも素晴らしい。
パワーも伝えてくるだけに急坂も問題ないだろう。
ホウライアキコは完成度が高い。緩急の利いた先行力も武器になる。
レーヴデトワールは瞬発力とスピードの持続力。双方のバランスがいい。
フォーエバーモアーは過去2戦ともスムーズさを欠く場面がありながら堂々とした対処を見せた。スピードに乗ると身のこなしがよく右回りに変わる点もプラスに働くだろう。
マジックタイムは行きっぷりがよく反応も良好。四肢のスナップがよく利いた走法でまぎれの少ない当コースに合う。
レッドリヴェールは精神的に強い。スマートな肢体。かきこみのある走り方だが繋が長くきれいな芝でより映えるタイプだ。
ダイヤモンドハイは立ち回りが上手で先行力+粘りがある。