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エイシンハドソン(牡 栗東・沖芳夫 父マンハッタンカフェ、母オレゴンガール)
全兄エーシンモアオバーは軽快な逃げ脚を武器にダート重賞路線で活躍しており、名古屋グランプリ(JpnII)、白山大賞典(JpnIII)などを制覇している。母オレゴンガールはカナダ産の外国産馬で、ダート短距離を得意とし、OPクラスまで上り詰めた。父マンハッタンカフェはMr.ProspectorとNijinskyの組み合わせを持つ繁殖牝馬と相性がよく、このパターンからイコピコ、レッドアゲート、サンディエゴシチー、メイショウレガーロ、マンハッタンスカイなど多くの活躍馬が出ている。4分の3兄エーシンポルックスはアグネスタキオン産駒ながらダートを得意とし、準OPまで出世している。母方から強力なパワーを受け継いでおり、全兄と同じくダート中距離タイプに出るだろう。
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ゴットサーガ(牝 栗東・松田博資 父ダンスインザダーク、母ゴールデンサッシュ)
母ゴールデンサッシュは名馬サッカーボーイの全妹で、産駒にステイゴールド(父サンデーサイレンス/01年香港ヴァーズ-G1、01年ドバイシーマクラシック-G2)、レクレドール(父サンデーサイレンス/05年クイーンS-GIII)、メルヴェイユドール(父フジキセキ/12年マーメイドS-GIII・3着)などがいる。母は1988年生まれ。つまり、本馬を産んだとき23歳という高齢だった。驚くべきことに、現1歳に本馬の全妹がいる。ステイゴールドはタフで頑丈な馬だったが、超高齢ながら産駒を送り続ける母のタフさをみると納得がいく。「ダンスインザダーク×ディクタス×ノーザンテースト」の組み合わせはマッキーマックス(06年ダイヤモンドS-GIII)と同じ。母方にディクタスとノーザンテーストを併せ持つダンスインザダーク産駒は成功しており、このほかツルマルボーイ(04年安田記念-GI)、チョウサン(07年毎日王冠-GII)、マイネルディーン(11年東京スポーツ杯2歳S-GIII・3着)などが出ている。芝向きの中距離タイプで、気性的な問題がなければ楽しみだ。
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スパイスシャワー(牝 栗東・矢作芳人 父フジキセキ、母スパイシークラウン)
レオンビスティー(父サクラバクシンオー/12年ファルコンS-GIII・2着)の半妹にあたる。フジキセキ産駒にとって母方にMr.Prospectorを入れるのは基本的な成功パターンだが、Mr.Prospector系のなかでもGone Westは成功しており、アドマイヤサガス(10年デイリー杯2歳S-GII・2着、13年東京盃-JpnII・3着)、カネトシディザイア(02年桜花賞-GI・4着、02年秋華賞-GI・4着)、エイシンオルドス(13年ファンタジーS-GIII・4着)などの活躍馬が出ている。本馬はこのパターンに当てはまる。また、母スパイシークラウンはSecretariat≒Sir Gaylord 4×4・4という素軽いクロスを持つ。芝向きのマイラー配合だが、母方のアメリカ血統が強く主張する場合はダート向きとなりそう。いずれにしてもポテンシャルは高いと思われるので期待したい。
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スペシャルギフト(牡 栗東・須貝尚介 父スペシャルウィーク、母スーヴェニアギフト)
シュプリームギフト(父ディープインパクト/13年函館スプリントS-GIII・2着)、ベステゲシェンク(父ディープインパクト/1000万下)の4分の3妹。母スーヴェニアギフトはランダルースS(米G3・ダ6f)を勝ち、デルマーデビュターントS(米G1・ダ7f)で2着となった活躍馬。Mr.ProspectorとSeattle Slewを併せ持つ繁殖牝馬は前向きな気性とスピードを伝える傾向がある。父がスペシャルウィークで、母がMr.ProspectorとSeattle Slewを併せ持つ馬といえばリーチザクラウンを思い出す。あふれるようなスピードの持ち主で、マイラーズC(GII)やきさらぎ賞(GIII)を勝ったものの、前向きすぎる気性によって大成が阻まれた惜しい馬だった。母スーヴェニアギフトもテンションの上がりやすい気性を伝えるところがあり、シュプリームギフトとベステゲシェンクにはそうした面が垣間見える。このあたりの懸念が表に出なければ楽しみな素材だ。芝向きのマイラーだろう。
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スペーラ(牝 美浦・和田雄二 父ヨハネスブルグ、母アルフレックス)
ジーンハンター(父タバスコキャット/京成杯オータムH-GIII・5着)の半妹にあたる。父ヨハネスブルグは2歳時に愛仏英米のG1を制し、欧・米双方の2歳チャンピオンに輝いた早熟の名馬。種牡馬としても2歳戦に強く、現在新種牡馬リーディングでぶっちぎりの1位、JRA2歳総合でも5位につけている。現在、OP入りを果たしている3頭の産駒(ホウライアキコ、フクノドリーム、タガノブルグ)は、いずれもMr.Prospectorのクロスを持っている。本馬もこのパターン。スピード値の高い配合なので手堅く走ってくるだろう。半兄ジーンハンターが本馬と同じStorm Cat系であるのも心強い。芝・ダート兼用のスプリンター。
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プレジールシチー(牡 美浦・田村康仁 父ゴールドアリュール、母エミネントシチー)
つい先日引退したダート王エスポワールシチーの全弟。父ゴールドアリュールは日本屈指のダート向き種牡馬として活躍中で、母エミネントシチーはブライアンズタイムとブレイヴェストローマンのニックスのほか、Golden Trail≒トラフィック3×3、Flower Bowl≒Cover Up 4×6という相似な血のクロスを持つ。母の父に重厚なブライアンズタイムを据え、それを最大限に活かす形でパワー型の血を繊細に織り上げた配合は高く評価できる。配合的によく出来ているので再現性は高いと思われる。偉大な兄に一歩でも近づくことを期待したい。