◆柴田大「アウェーの戦いでは精神的な強さが何より武器」
8日の2歳女王決定戦・阪神JFは、直線大きな見せ場をつくったフォーエバーモア(8番人気)がハナ+クビ差の3着。惜しくも勝利は逃したが、秋9戦目にして関東馬が初めて馬券圏内に食い込み、西の独壇場だったGI戦線で一矢を報いた。レッドセシリアに続く2年連続“銅メダル”でも、鹿戸雄厩舎のアウェーでの戦いぶりはアッパレと言うほかない。
「中山開催の朝日杯FSも今年が最後だからな。せっかくならホームアドバンテージを生かしたいもの」
これはショウナンアチーヴを送り出す国枝栄調教師の言葉。来年以降、牡、牝の2歳チャンピオンがいずれも西の舞台で決まることに、美浦の関係者がさらなる危機感を抱くのは当然のことだろう。
朝日杯は現在、2年連続で関東馬がワンツースリーの上位独占を果たしているが、もしも舞台が阪神なら果たして同じ結果になったかどうか。ひと口にアウェーと言っても、西と東とではトレセンから競馬場への移動距離に大きな隔たりがあるのも事実である。
ゆえに先週、プレイアンドリアルに騎乗する柴田大知が語った言葉。これは今後の関東陣営にとっても、興味深いものとして映るのではないかと思っている。
「前走で感心したのは、長距離輸送でも体がまったく減らなかったこと。盛岡への輸送を経験していたとはいえ、いろいろとのみ込みが早い、賢い馬なのでしょうね。門別から川崎に転厩となった今回も、馬は落ち着いていると聞いています。コスモバルクもそうだったようですが、アウェーの戦いでは精神的な強さが何より武器になるんです」
前走・東スポ杯2着のレース後は、検量室で報道陣の質問を遮るほど珍しく怒りをあらわにした柴田大。改めてその理由を問うと「勝ち馬がスムーズに競馬をできるインをポッカリと開けてしまった。そんな自分に腹が立ったんです。馬は負けていませんよ」。
宴会野郎はもう一度この言葉を信じてみよう。むろん来年以降の関東馬にゲキを飛ばすような快走を期待したいものである。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)