◆父はマイナー血統でも母系が優秀なショウナン二騎
近年、クラシックを意識する馬は1800-2000m戦でデビューし、多くがその後もマイルは使わない。まだ学習段階の馬ばかり。短距離戦を使い、そこでスピード対応の走りを習得してしまうと、皐月賞、ダービーに対応できなくなる危険性がある。
今春のコディーノがそのいい例かもしれない。中距離の札幌2歳S、東京スポーツ杯2歳Sを勝ち、クラシックの有力候補の呼び声が高かったが、朝日杯FSを使ってから走るリズムがおかしくなった。
賞金的においしいレースだし、勝てばまず最優秀2歳牡馬に選ばれる。しかし、皐月賞やダービーを見据えた馬、とくに良血のディープインパクト産駒は、2000mのラジオNIKKEI杯2歳SやホープフルSに照準を合わせるのが一般的だ。
そのためか、近年の朝日杯FSは地味な血統の馬が目立つ。今年は大量の33頭が登録してきたが、優先出走権を持つ馬にやはりマイナー血統の馬が目立っている。
優先出走権を持つ馬で、血統の総合点トップはアトム。ディープインパクト産駒のGIの底力は、誰もが認めるところ。母の父ラーイもアメリカの名種牡馬だ。前走のデイリー杯2歳Sの内容も、デビュー2戦目としては悪くない。軸はこの馬だろうか。
ただ、父がマイナー血統でも母系が侮れない馬が何頭かいる。ショウナンアチーヴ、ショウナンワダチの2頭は、いずれもショウナンカンプ産駒。本来ならGIIIさえも買うのは危険な父だが、ショウナンアチーヴの母ショウナンパントルは阪神JFの優勝馬。近親にはディープブリランテ(ダービー)、ザッツザプレンティ(菊花賞)、バブルガムフロー(天皇賞・秋)がいる。
オーナーの愛馬配合で誕生したものだが、サラブレッドはこの手の商売を抜きにした配合から、意外な大物が誕生し、血統の活性化に寄与してきた歴史がある。三冠馬オルフェーヴルの母の父メジロマックイーンが、そのいい例だ。もう1頭のショウナンワダチも、ショウナンカンプを配合するのがもったいない母系。愛馬にかけるオーナーの心意気が、そろそろ実を結んでも不思議はない。