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年間無敗記録の偉業― 和田騎手とテイエムオペラオーを語る

  • 2013年12月24日(火) 18時00分
競馬の職人


◆超豪華有馬記念で堂々のレース

“黄金の怪物”オルフェーヴルのぶっちぎり! 直線310mの引退の花道を自ら演出。最後まで衝撃を残し、「これぞオルフェーヴルだ!」とインパクトを残した引退レースでしたね。最後の最後まで自己アピールして、強さを持ったオルフェに拍手(パチパチ)。

 池添騎手の、相当なプッレシャーに打ち克つ真の強さに感動しました。ファンへの「オルフェーヴルという、人を魅了した馬がいたことを語り継いでいってください」と残したメッセージにも感服。

 皆さんにとってはどんな有馬記念でしたか? 僕にとっては、もうひとつ思い残る有馬記念があります。今年の有馬記念のコマーシャルにも使われていたテイエムオペラオーです。

 同期の和田騎手が一番に重賞を制覇して、1999年の皐月賞では、オペラオーでGI初制覇。それからも止まらなかったオペラオーと和田騎手。早速そのあたりの秘話も踏まえて、和田騎手につっこんできました。

常石:今日はよろしくお願いします。

和田:あいよ〜。だけど、俺に何を聞くんや(笑)?

常石:いろいろ・・・・まずはオペラオーで有馬記念を勝った時のエピソードをお願いします。

和田:ん〜、古い話やから、もう忘れたわ(笑)。1999年に皐月賞を獲ってから、2冠目を目指してダービーへ行ったけど、ナリタトップロードとアドマイヤベガに追い越されてしまったわ。まだまだ甘かったな。その後のレースも2着が多かったな。今やったらもう少し乗り方も変わってたかも知れん。

 この年の有馬記念は、勝った(翌年の)レースよりも厳しかったという強い印象が残っています。疲労のために回避する予定だったけども、有馬記念に出走することになって、グランプリ3連覇がかかるグラスワンダーとスペシャルウィークが出走。その中でもまれて3着に食い込むことができた。今思うと凄いメンバーの中に飛び込んだなぁ。

常石:凄い馬の中へ飛び込んで、真っ向勝負を仕掛けて食らいついたオペラオーに、勝負根性がある馬やなと感動したわ。2着が続く悔しいレースを経験したからこそ、2000年には重賞8連勝という大記録が生まれたんではないですか?

和田:こんな過酷なレースを経験したことで、オペラオーも僕自身も、大先輩から競馬の難しさと醍醐味を教えてもらったように思う。古馬になってからよく走ってくれたな。

競馬の職人
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◆外国人騎手に見習いたいことがいっぱい

常石:今だったら凱旋門賞とか行けたんじゃないんですか?。

和田:そんな話まったく無かったな? でも、いつかは行ってみたいな。ダービーと凱旋門賞は馬人間として最高峰だと思う。でも、今はまだまだやな。俺の技術が付いていかないし、通用しないと思ってる。自分の技術と体力をもっと鍛えたいと思ってる。

 外国人騎手には見習いたいことがいっぱいありますよ。まずは体力があるよね。技術の高さも凄いよ。時々海外のレースもネットで見るようにしている。見ていても面白いよ。お前も見たらいいよ。乗馬が上手くなると思うで。

常石:そうなんですよ。乗馬がなかなか上手くならなくて。

和田:俺が教えたろか(爆笑)? 前にペリエ騎手と握手した時に、スピードとパワーに次元が違うなって感じた。今はいろんな騎手が来てくれて、その技術を間近で見られるのはすごく勉強になるわ。今の僕にできるのは、一つでも多く乗せてもらい、技術を磨くことだと思う。

常石:はい、コーチ! よろしくお願いします。競馬学校時代からよくトレーニングしたよな。わっくんは、トレーニングが好きだったもんね。騎手になってからもジムに行ってたし。今も続けているんですか?

和田:少々サボり気味やな。お前と2人でまた始めるか?

常石:ハイ。よろしくお願いします! 騎乗数が多いから忙しいでしょう。1日10鞍くらい乗ってることもあるでしょう。

和田:沢山乗ってる方が安心感はある。1鞍乗るのに苦労する時代になってきているからね。競走馬のレベルも僕の中のモチベーションも上がってくれば、面白くなってくるからね。

 俺は、走らない馬はいないと思う。基本、馬は走る動物だから。1着の結果を出すのが一番良いことだけど、取れなくてもその馬の持ち味を発揮できるように見つけていくのも僕らの仕事かな。だから、どんな馬でも地方でもどんどん乗せてもらいたいと思っています。乗せてもらえる馬がいるのはありがたいです。

常石:やっぱり体力が凄いな。

和田:ちゃうわ! 上手いなって言うてや(爆笑)。

常石:あっ、それは失礼しました。でもやっぱり、学校時代からムチ持って木馬に乗って、時間が空けばランニングをして鍛えてたもんね。体力だけではなく、裏芸もしっかりやってたな(笑)。

和田:最近ネタがなくなってきたなぁ。着ぐるみも、くまもんやふなっしーに負けてきたし。なんかないか?

常石:あるわ。ホウライアキコ。この馬強いね。まだまだ若いから、2014年は楽しみですね。長い時間ありがとうございました。

和田:何を話たか、分からんようになってきたな(笑)。これで大丈夫か?

常石:はい。またブレイクしたらお願いします。

和田:あいよ〜。乗馬がんばれよ。俺がダービー獲るか、つねちゃんが本気でパラリンピックを目指すか競争やな。本気やったら応援するでー。

常石:はい、チャレンジします。


 同期の和田騎手からいろんなメッセージを聞くことができて、競馬だけではなく、積極的にイベントにも参加したり養護施設にも騎手仲間との訪問を欠かさずしています。騎乗技術だけではなく人間性も高めている和田騎手に、僕も感化され、頑張るパワーをもらいました。

 ホウライアキコのほかにも、タマモベストプレイも活躍楽しみです。オペラオーも4歳になってから大活躍だったから、来年は南井厩舎から目が離せないですね。僕のコラムも南井厩舎に注目したいです。よろしくお願いします。

 新年の(僕の初回は)2014年1月14日です。皆さん良いお年を! 午年に乾杯! つねかつこと常石勝義でした。[取材:常石勝義/栗東]


■お知らせ■
次回は、年明け1/7(火)に赤見千尋さんが、翌週14(火)に常石勝義さんがそれぞれ担当します。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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