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ジェンティルドンナと似た配合構成のスヴァラッシー

  • 2013年12月25日(水) 12時00分
ウイニングチャンス(牝 栗東・梅田智之 父ダイワメジャー、母テンザンデザート)
 母テンザンデザートはGreen Desertを父に持つ持込馬で、ファンタジーS(GIII)2着、フィリーズレビュー(GII)3着などの成績を持つ。母としては期待ほどの成績ではなく、これまでにJRAで走った6頭中、勝ち上がったのは2頭で、いずれも1勝馬で終わった。しかし、本馬はメジャーアスリート(11年全日本2歳優駿-Jpn1・2着)の4分の3同血(父が同じで母同士が親子)なので期待できる。母の父Green Desertのなかに父と相性がいいSir Ivorが含まれるのもいい。芝・ダート兼用で1200〜1400mがベスト。

ウォーターショパン(牡 栗東・岡田稲男 父ハーツクライ、母ウォーターエナン)
 母ウォーターエナンは芝・ダート兼用のスプリンターで、3勝を挙げて1000万条件まで出世した。繁殖成績も上々で、初子のウォータールルド(父ウォーターリーグ)は13年の阪神最終週にギャラクシーS(OP・ダ1400m)を勝ち、14年は重賞路線での活躍が見込める。父ハーツクライはCapoteを抱えた繁殖牝馬と相性が良好。これまでにこのパターンの配合馬は4頭デビューし、カポーティスター(13年日経新春杯-GII)、マジェスティハーツ(13年神戸新聞杯-GII・2着)、ダイワズーム(13年中山牝馬S-GIII・5着)の3頭が重賞クラスに出世している。ニックスといっていいだろう。「ハーツクライ×ボストンハーバー」の組み合わせは前出のマジェスティハーツと同じ。芝向きの中距離タイプ。

エイシンゴーイング(牡 栗東・松元茂樹 父ゼンノロブロイ、母チケットトゥダンス)
 半兄シビルウォー(父ウォーエンブレム)はダート巧者で、ブリーダーズGC(Jpn2)[2回]、白山大賞典(Jpn3)、マーキュリーC(Jpn3)を制している。いずれも2000m以上の重賞だったのは、母の父Sadler's Wellsの豊かなスタミナを受けているからだろう。本馬の父ゼンノロブロイはSadler's Wellsと相性が良く、2代母の父Rivermanとはニックスといえる関係にある。母チケットトゥダンスがこれまでに産んだ5頭は、1頭として芝向きに出たことがないので本馬もパワー型に出るだろう。ダート1800〜2000mがベスト。

スヴァラッシー(牝 栗東・矢作芳人 父ディープインパクト、母ベユーズラッシー)
 母ベユーズラッシーは現役時代、アメリカでチャーチルディスタフマイルS(米G3・芝8f)など3つの重賞を制した。母の父Outflankerは現役時代に10戦して未勝利に終わったものの、メリーランド州で種牡馬になると意外な成功を収めた。超大物は出していないものの、コンスタントに活躍馬を送り続けた。Outflankerは「Danzig×Alydar」という組み合わせで、これはジェンティルドンナの母の父Bertolini」と同じ。ジェンティルドンナはディープインパクト産駒なので、本馬とジェンティルドンナの配合構成はよく似ている。芝中距離で堅実に走ってきそうだ。

スターアクトレス(牝 栗東・千田輝彦 父フレンチデピュティ、母マザーリーフ)
 半兄ダンスディレクター(父アルデバラン2)は現在2戦1勝(2着1回)と好成績。母マザーリーフの「サンデーサイレンス×トニービン」という組み合わせは、ハーツクライ(05年有馬記念-GI)、アドマイヤベガ(99年日本ダービー-GI)、アドマヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯-GI)と3頭のGI馬を誕生させている。2代母スカラシップはフラワーC(GIII)4着馬で、日本ダービー馬ウイニングチケットの全妹にあたる良血。芝向きの柔らかなスタミナタイプの母に、やや硬さのあるフレンチデピュティという組み合わせは悪くない。芝中距離タイプだろう。

ビービージンガ(牡 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母オールザチャット)
 ビービーガルダン(父チーフベアハート/09年阪急杯-GIII。09年キーンランドC-GIII)の半弟。母オールザチャットはニュージーランド産のスピード血統。もともとノーザンファームが日本に輸入した馬だが、現在は平取町の坂東牧場に繋養されている。母の父の父Grosvenorはリーディングサイアーの経験こそないものの、オーストラリアとニュージーランドの双方で優れた産駒実績を挙げた。近い世代にSir Ivor、Round Table、Aureole を持っており、いかにもディープインパクトに合いそうな血統。オールザチャットがスピードタイプ、というのも好ましい。懸念材料は遅生まれ(5月29日)という点だけ。確実に走ってくるだろう。


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次回の更新は、年明けの1/8(水)になります。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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