タイキシャトル
◆海外遠征の分厚い扉をこじ開け新たな流れをつくった最大の功労者 日本馬の海外遠征史。かつてそれは、屍の山を築く惨敗の繰り返しであった。力の差をまざまざと見せつけられ、そのつど跳ね返され、打ちのめされたものである。
だが、20世紀後半になると日本の血統レベル、調教レベルが向上。遠征ノウハウを身につけるとともに、ようやく好勝負する馬が現れるようになる。そして1998年夏、ついに欧州における惨敗の歴史に終止符を打つ日が訪れた。
8月9日、シーキングザパールが仏GIのモーリスドギース賞を勝ち、その1週間後には、タイキシャトルが伝統の仏マイルGI、ジャックマロワ賞を勝ったのである。トラウマを払拭した日本は、これを契機に海外遠征が活発化。北米、ドバイ、豪州、香港でも次々と成果を上げていく。海外遠征の分厚い扉をこじ開け、新たな流れをつくった最大の功労者こそがタイキシャトルだった。
アメリカのタイキファームで誕生。アイルランドで育成、調教され、その後、日本に輸入されて藤沢和雄厩舎に入ったタイキシャトルだが、デビュー前のゲート試験では3度も不合格の憂き目にあっている。
将来が案じられたが、いざデビューするやダートの未勝利戦、条件戦を2連勝。続く芝の菖蒲Sも勝利して3連勝を飾った。この時代はまだ外国産馬にクラシックの出走権がなく、走ったのはその裏街道。3連勝は決して威張れたものではなかったが、秋になると素質を一気に開花させる。
10月、まずダートのユニコーンSで初重賞勝ちを飾り、続く芝のスワンSも勝利。さらにGI初挑戦のマイルチャンピオンシップも勝って、3連勝で早くも短距離の頂点に登りつめた。続く暮れのGI、スプリンターズSも勝利。この1997年、最優秀短距離馬に選ばれている。
スプリンターズSを制したタイキシャトル
雄大な馬格とパワフルな走法。それが力のいるダートにも強かった理由だが、この資質は雨でぬかるんだ芝や、力のいる欧州の芝にも向くことを意味する。
陣営はすでに欧州遠征のプランを立てていた。半年休養後、5歳初戦の京王杯スプリングCをレコード勝ち。続くGIの安田記念は大雨で、水分をたっぷりと含んだ不良馬場だったが、そのパワフルな走法が苦手とするはずがなく、豪快に突き抜けてGI3勝目を飾った。
これに自信を得た陣営は、宣言どおりフランス遠征を実行する。目標としたのはマイルGIのジャックルマロワ賞だったが、驚いたことにオッズは1番人気。海外に拠点をおく日本の有力オーナーが、大量に単勝馬券を買ったと言われている。1週間前のシーキングザパールの勝利が、大量買いに走らせたのだろう。
その断然人気に臆することなく、タイキシャトルは日本と変わらぬ威風堂々とした走りを見せ、欧州GIの勲章をいとも簡単に手に入れた。歯牙にもかけなかった日本馬が相次いで仏GIを勝ったことで、欧州の競馬界には大きな衝撃が走った。世界の競馬史までも書き替えた激震の1週間だった。
凱旋帰国したタイキシャトルは、マイルチャンピオンシップを5馬身差の圧勝で連覇。この1998年、短距離馬としては異例の年度代表馬に選ばれた。欧米のGI制覇は日本のホースマンの長年の夢だった。その重い扉をこじ開けた史上最強のマイラーとして、タイキシャトルの名は日本競馬史に深く刻まれている。(吉沢譲治)
◆レース詳細
1998年11月22日
第15回 マイルチャンピオンシップ(GI) 京都/芝右 外1600m/天候:晴/芝:良
1着 タイキシャトル 牡5 57 岡部幸雄 1:33.3
2着 ビッグサンデー 牡5 57 高橋亮 5
3着 ヒロデクロス 牡7 57 吉田豊 クビ
◆競走馬のプロフィール
タイキシャトル(牡5)
父:Devil's Bag
母:ウェルシュマフィン
騎 手:岡部 幸雄
調教師:藤沢 和雄(美浦)
馬 主:大樹ファーム
生産牧場:Taiki Farm
※年齢は当時の旧年齢表記
60万DL突破!伝説の名馬に挑め!
●
60万DL突破!伝説の名馬に挑め! 爽快!競馬パズルゲーム「パズルダービー」、60万DL突破!伝説の名馬に挑め!
「パズルダービー」はマッチ3形式(同じ色を3つ揃えるブロック消し)のパズルと競馬が融合し、伝説の名馬のシナリオに挑戦する競馬パズルゲームです。レースでは、ディープインパクトやオルフェーヴルなど名馬のシナリオを完全再現。競馬ファンなら感動再び、競馬を知らない方はパズルを楽しみながら、競馬の魅力を知っていただけます。
登場する名馬は700頭以上。また、週末に開催される中央競馬とのリアル連動イベントや各種キャンペーンも満載です。この機会に是非お楽しみください!