◆報知オールスターカップ展望
(1月3日 川崎 サラ4歳以上 別定 地方競馬交流 南関東SIII 2100m)
「報知オールスターカップ」は、恒例の新春重賞。平成15年から施行時期(夏~冬)、距離(1600→2100)、出走条件(南関東→地方交流)が一新され、以後、川崎競馬名物レースの一つとして存在感を持ってきた。各年レベルにバラつきはあるものの、15年エスプリシーズ(川崎記念)、21年アンパサンド(東京ダービー)、23年ボランタス(浦和記念)など大物が勝っており、SIIIながらグレードは低くない。他地区挑戦馬からも16年ウツミジョーダン(1着)、22年グランシュヴァリエ(2着)。はたして今年の目玉オオエライジン(兵庫)、10年ぶりの他地区優勝が成るのかどうか。さまざま見どころが多いレースでもある。
(1)…波乱含み。1人気[4-2-1-3]は悪くないが、2人気は[0-0-1-9]と低調で、過去10年このワンツーは1例もない。3人気[3-0-2-5]。予想紙の印でいえば◎→▲、◎→△あたりがひとまず狙いか。
(2)…各場脈あり。川崎=5勝、2着4とリードだが、船橋=3勝、2着3とほとんど差がない。他では大井1勝、2着2、岩手1勝。ここ2年は連続して船橋→大井→船橋のワンツースリーで、地元川崎が馬券に絡んでいない。
(3)…近年高齢。以前は4歳馬が強いレース(ビービートルネードなど3勝、2着2)だったが、近年は7歳=2勝、8歳=2勝など高齢馬の活躍が目立つ。5~6歳は出走頭数のわりに不振。牝馬も[0-0-0-12]と良績がない。
(4)…好位差し。逃げ=1、先行=6、差し=12、追込=1。純然たる逃げ切りは20年エスプリベン1頭だけ。ただ川崎2100、例年スローペースが多くやはり器用さも要求される。好位~中団から捲り上げる形が主流。
※データ推奨馬 ◎パワーストラグル…このレース、意外なほど強い8歳馬。JRA6勝、白山大賞典(GIII・2100)を制しており、馬の格、中~長距離適性とも申し分ない。前走転入初戦「勝島王冠」4着なら能力健在。ここ数年めっきり腕を上げてきた矢野騎手。
☆ ☆
◎エミーズパラダイス 54石崎駿
○オオエライジン 56下原
▲アウトジェネラル 55御神本
△スターシップ 58吉原
△ヴォルテックス 56本橋
△パワーストラグル 57矢野
△ジャングルスマイル 56平瀬
アドマイヤシャトル 56真島
シーズザゴールド 56柏木
ウインペンタゴン 56和田
ファイヤーベル 54町田
エミーズパラダイスの逃げを狙う。前走船橋「総の国オープン=地方交流」快勝。直線並んできた強敵ウルトラカイザー(佐賀・道営11勝)を二の脚で突き放し、スピード、センス、勝負根性、文字通り完全復活を思わせた。元より川崎2100は「ロジータ記念」完勝、「エンプレス盃」ミラクルレジェンドの2着など絶対の自信がある。遡れば「羽田盃」2着、「東京ダービー」3着の絶対能力。“逃げ馬・牝馬不振”のデータは気になるものの、メンバーを見渡して今回いかにも展開に恵まれそうだ。
オオエライジンは前走「園田金盃」を制し、こちらも完全復活の見方ができる。本来「兵庫ゴールドトロフィー=GIII」3着など全国レベルの実力派。レースぶりにいい意味で枯れてきた印象があり、今回2100でもスムーズに折り合うだろう。4歳アウトジェネラルは正念場。昨春「羽田盃」4馬身差圧勝は世代No.1を予感させ、以後足踏みながら、素質的にこのあたりが天井とも思えない。川崎コースは「全日本2歳優駿=GI」4着。2100も望むところだ。以下、中~長距離の安定株スターシップ、初重賞でも勢い光るヴォルテックス。データ面で強気になれるパワーストラグル、年齢、実績など同様のムードを持つジャングルスマイルにも食指が動く。
◆東京大賞典回顧
(12月29日 大井 サラ3歳以上 定量 JpnI 大井2000m良)
◎(1)ホッコータルマエ 2分06秒6
○(2)ワンダーアキュート 1.1/2
△(3)ニホンピロアワーズ 2.1/2
(4)サトノプリンシパル 1.3/4
(5)カキツバタロイヤル 9
……………
▲(6)ローマンレジェンド
△(7)プレティオラス
単160円 馬複240円 馬単370円 3連複160円 3連単560円
ホッコータルマエが、文字通り究極の末脚で2013年を締めくくった。3歳サトノプリンシパル、1頭大逃げの形になったが、ペース自体はあまり上がらず、離れた第2集団でけん制し合うワンダーアキュート、ニホンピロアワーズ、ホッコータルマエ、さあどう仕掛けるかという瞬発力勝負。馬の強さはもちろん、今日の場合、鞍上の判断も素晴らしく冴えたと思う。ワンダー、ニホンピロ、2頭にプレッシャーをかけながら付かず離れず。そして直線入口、一瞬の躊躇もなく外に出した。「馬の力を信じて、出たなりの競馬をした。行きっぷりも手応えもよかったし、GOサインからイメージ通り伸びてくれた」(幸英明騎手)。最後1.1/2馬身差。見た目派手なパフォーマンスでもなかったが、現実に上がり3F36秒0。内容は王者そのものと言い切れる。
ホッコータルマエはキングカメハメハ×マダムチェロキー(チェロキーラン)の4歳牡馬。今季交流G6勝目。佐賀、名古屋、船橋、大井、さらに金沢で勝利をあげ、敗れた盛岡、阪神も、それぞれ中身の濃い2、3着と踏ん張った。ひとことタフでしたたかなレースぶり。体調に波がないこと、環境の変化に動じないこと。JRA勢の先達というならヴァーミリアンにタイプが似ている。「いい勝ち方ができてホッとした。前走(JCダート)が不本意だったし、今日はなおさら力が入った。心身両面で逞しい」(西浦勝一調教師)。この日のパドックも、堂々と力強く、それでいてまったく力みのない自然体。同馬は今年全国を駆け巡り重賞を10戦している。トータル[7-1-2-0]。この記録自体、空前絶後としか言葉がない。
ワンダーアキュート2着。確かに無念だが、タルマエより1頭分前でレースをした武豊騎手の戦法は的確で、自身も上がり36秒3だから能力は十分示した。終わってみれば4歳と7歳、勢いの差でもあるだろう。3着ニホンピロアワーズの場合は、サトノプリンシパルを3コーナーあたりで捕え、そこから引き離す作戦がよかったかもしれない。同じダート巧者でも、本質的にスピード型。やや重苦しい今の大井馬場状態に、持ち味を減殺された感もある。サトノプリンシパルは結果4着ながら、いったん3頭に呑み込まれ、直線外に立て直して伸びたから収穫があった。こちらは3歳。この経験を来期飛躍へつなげたい。ローマンレジェンドはゲート難をみせて終始リズムが悪かった。パワー、底力を秘める反面、気性面でアテにしづらい。地方勢は見せ場らしい見せ場がなかった。フリオーソの抜けた穴を改めて痛感する。新星待望。それもイキのいい先行馬(中~長距離型)が出てくると、交流G、少し風向きが変わると思うのだが…。