スマートフォン版へ

父キングカメハメハ、母エアメサイアの良血エアカページ

  • 2014年01月08日(水) 12時00分


ウエスタンゼウス(牡 美浦・大竹正博 父Pulpit、母Boom Town Girl)
 母Boom Town Girlはモンマスオークス(米G2・ダ8.5f)2着馬。父PulpitはTale of the Catの従兄弟、ヨハネスブルグの近親にあたる良血で、種牡馬としても多くの活躍馬を送り出して成功を収めた。日本ではピットファイター(04年武蔵野S-GIIIなど重賞3勝)やパイロ(本邦輸入種牡馬)の父として知られている。Pulpitの父A.P.Indyは現在アメリカで最も勢いのある父系のひとつ。Mr.Prospectorとの相性の良さには定評があるが、このところFappiano(父Mr.Prospector)と組み合わせたケースの成功が目に付く。アメリカで注目を集める若手種牡馬Tapit、Bernardini、名牝Royal Deltaなどなど。本馬はこのパターンにあてはまる。母がこれまでに産んだ最も優れた産駒はやはりA.P.Indy系だった。ダート向きの中距離タイプ。

エアカページ(牡 栗東・笹田和秀 父キングカメハメハ、母エアメサイア)
 秋華賞(GI)とローズS(GII)を勝ったエアメサイアの息子。伯父にエアシェイディ(08年アメリカJCC-GII)がいる。2代母エアデジャヴーはクイーンC(GIII)を勝ってオークス(GI)でも2着となった活躍馬。その全弟には二冠馬エアシャカール(00年皐月賞-GI、00年菊花賞-GI)がいる。このような絢爛たるファミリーの出身で、半姉エアワンピース(父ロックオブジブラルタル)は500万下から3連勝で準OP入りを果たし、「いずれ重賞でも」と期待を抱かせたものの、残念ながら引退してしまった。本馬はキングカメハメハの息子。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス×ノーザンテースト」の組み合わせは、ソリタリーキング、アドマイヤロイヤル、コンノートなどダート馬が出やすい傾向がある。ただ、この馬が属するアイドリームドアドリームのファミリーからはダート馬がほとんど出たことがないので、芝も問題ないだろう。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

クレイジージョー(牡 栗東・藤岡健一 父ブライアンズタイム、母ラヴリージョー)
 母ラブリージョウは繁殖牝馬として優秀で、これまで競走年齢に達した3頭の息子のうち、ワンモアジョーとハコダテナイトがいずれも準OPまで出世している。それぞれの父は決して種牡馬として成功しているとはいえないツルマルボーイとアルカセットなので、ブライアンズタイムに父が替わった本馬は大いに期待できる。「ブライアンズタイム×フレンチデピュティ」という組み合わせはパワーが前面に出ているのでダート向きだろう。母方の奥には76年の東京大賞典(ダ3000m)を3分08秒6という驚異の大レコードで圧勝したファインポートの名も見える。ダート中距離で非凡な能力を発揮しそうだ。

サクラアンプルール(牡 美浦・尾関知人 父キングカメハメハ、母サクラメガ)
 半兄サクラメガワンダー(父グラスワンダー)は、金鯱賞(GII)、鳴尾記念(GIII)[2回]、ラジオたんぱ杯2歳S(GIII)の勝ち馬。母サクラメガは、GIを勝ったサクラチトセオー、サクラキャンドルの半妹にあたる良血。サクラメガの半姉の子にはフラワーC(GIII)を勝ったサクラプレジールがいる。勢いのある一族だ。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス×ノーザンテースト」はダート向きに出やすい配合だが、本馬は7:3の確率で芝向きだろう。どちらかといえば小回りコースに強そうなタイプ。

ビジュートウショウ(牝 栗東・今野貞一 父ディープスカイ、母スイープトウショウ)
 母スイープトウショウは宝塚記念(GI)、エリザベス女王杯(GI)、秋華賞(GI)など6つの重賞を制した女傑で、その2番子が本馬。初子のジュエルトウショウ(父アグネスタキオン)はデビュー前に大怪我を負ったせいもあったのか、4戦未勝利といいところなく引退した。本馬の父はダービー馬ディープスカイ(父アグネスタキオン)なのでその4分の3妹となる。ダンシングブレーヴとアグネスタキオンのニックスからはリトルアマポーラ(08年エリザベス女王杯-GI)、リディル(11年スワンS-GII)、レッドクラウディア(12年クイーン賞-Jpn2)などが出ており成功している。父の産駒は期待ほど走ってはいないが、重厚なところが見受けられるので、ハマれば一発おもしろいところがありそうだ。芝向きの中距離タイプ。

モクレン(牝 栗東・藤原英昭 父Galileo、母Mauralakana)
 2012年のタタソールズオクトーバーイヤリングセールにおいて34万ギニー(当時の邦貨で約4100万円)で落札された。母MauralakanaはビヴァリーD.S(米G1・芝9.5f)をはじめ米仏で6つの重賞を制した名牝で、その父Muhtathirはジャックルマロワ賞(仏G1)を勝ったマイラー。この母にヨーロッパナンバーワン種牡馬Galileoを交配して誕生したのが本馬。母はアメリカの芝に適応したものの、血統を見ると素軽いタイプとはいえず、これに重厚なGalileoを掛けた配合なので、素軽さという点で一抹の不安がある。ただ、底力は抜群なので、軽いスピードが備わっているようならビッグレースでも期待できる。芝向きの中長距離タイプで、やや時計の掛かる芝が合うだろう。ダートもこなす。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング