■シンザン記念(G3・京都芝1600m外)フルゲート16頭/登録17頭
【コース基本情報】京都芝1600m外 Aコース使用
・コース回収率
[低め] 単63%・複勝65% 上位人気馬が素直に強く順当決着傾向
・馬連万馬券出現率
[やや高め] 14.3%(平均値↑1.9% 馬連平均配当5282円)
・枠番別成績(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
[1枠~2枠] 勝率14.2% 連対率22.4% 複勝率27.6% 複回率 90% 枠番値+1.2
[3枠~6枠] 勝率11.7% 連対率16.6% 複勝率21.5% 複回率 64% 枠番値-0.2
[7枠~8枠] 勝率12.0% 連対率16.3% 複勝率22.9% 複回率 74% 枠番値-0.1
────────────────────────────────────
[1枠~4枠] 勝率13.6% 連対率21.1% 複勝率26.4% 複回率 82% 枠番値+0.4
[5枠~8枠] 勝率11.3% 連対率15.0% 複勝率20.7% 複回率 66% 枠番値±0
→内枠が飛び抜けて好成績。他を割り引くのではなく内枠をプラス評価で。
・脚質別信頼度
逃げ>先行>差し>>追込 意外なほど前有利で後方に置かれると厳しい
・推定ラップ&タイム
[前傾] 34.8-23.9-35.6=1.34.3 序盤~中盤から流れは速く前傾の流れに
データの集計範囲を改めたのも理由なのだろうが、近年になって意外なほど「内枠有利」の傾向が加速していることが判明した、京都芝1600mの外回りコース。枠番による成績の偏りが見られないフラットなコース──という印象が強く、過去の当コラムでも実際にそう解説しているのだが、現在のトレンドは「内枠を狙え!」であるようだ。
枠番別成績を見ると、連対率でも複勝率でも5%以上、1枠~2枠の「内枠」が高くなっているのが見てとれるはず。回収率や枠番値は、もう圧倒的といえるほど内枠が高い。だからといって外枠がダメというわけではなく、中枠~外枠の成績はほぼ同じ。つまり「外枠が不利ではないが内枠は間違いなく有利」という結論となる。
人気別に見ると全体的に上位人気が強く、ふたケタ人気馬はトータル[3-2-8-378]で勝率0.8%、連対率1.3%と、きわめて不振。穴を狙うとしても、6番人気~9番人気あたりのほうが効率はいいはずだ。当然、コース全体の回収率は低めの数字となるが、馬連万馬券の出現率や平均値以上で、馬連平均配当もまずまずの水準。人気馬が基本的に強いが、ガチガチに堅い配当ばかりではないという点をしっかり頭に入れておきたい。
また、序盤~中盤の流れがそれなりに速いため、上がりだけの勝負にはならないというのも、大きな特徴。前傾の速い流れのなかで、前々のポジションから最後まで踏ん張り通せるようなタイプに向くラップといえる。末脚のキレ一辺倒だと、人気に推されても届かない可能性が大。総合力が問われるコースといえそうだ。
【レース基本情報】シンザン記念(G3) 過去10年
・レース平均配当
単勝947円 馬連4960円 3連複2万1574円
・1番人気馬成績
[4-1-0-5] 勝率40.0% 連対率50.0% 複勝率50.0%
・3番人気以内馬成績
[7-4-3-16] 勝率23.3% 連対率36.7% 複勝率46.7%
・4番人気~9番人気馬成績
[3-5-4-48] 勝率 5.0% 連対率13.3% 複勝率20.0%
・10番人気以下馬成績
[0-1-3-43] 勝率 0% 連対率 2.1% 複勝率 8.5%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 30.0% [先行] 40.0% [差し] 20.0% [追込] 10.0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 13.3% [先行] 46.7% [差し] 36.7% [追込] 3.3%
・性別成績
[牡馬] 9-9-9-99 連対率14.3% 複勝率21.4%
[牝馬] 1-1-1-8 連対率18.2% 複勝率27.3%
・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
[1枠~2枠] 4-4-2-19 連対率27.6% 複勝率34.5% 枠番値+0.7
[3枠~6枠] 4-4-7-54 連対率11.6% 複勝率21.7% 枠番値-0.1
[7枠~8枠] 2-2-1-34 連対率10.3% 複勝率12.8% 枠番値-0.3
──────────────────────────────
[1枠~4枠] 7-7-6-42 連対率22.6% 複勝率32.3% 枠番値+0.1
[5枠~8枠] 3-3-4-65 連対率 8.0% 複勝率13.3% 枠番値-0.1
・厩舎所属別成績
[美浦] 1-1-0-10 連対率16.7% 複勝率16.7%
[栗東] 9-9-10-97 連対率14.4% 複勝率22.4%
・前走距離別成績
[芝1200m] 0-1-0-14 連対率 6.7% 複勝率 6.7%
[芝1400m] 2-2-4-12 連対率20.0% 複勝率40.0%
[芝1600m] 7-4-5-49 連対率16.9% 複勝率24.6%
[芝1800m] 1-2-0-13 連対率18.8% 複勝率18.8%
[芝2000m] 0-1-1-7 連対率11.1% 複勝率22.2%
[ダート戦] 0-0-0-12 連対率 0% 複勝率 0%
・前走クラス別成績
[中央G1] 5-2-2-29 連対率18.4% 複勝率23.7%
[中央G2] 0-1-0-0 連対率 100% 複勝率 100%
[中央G3] 0-1-1-7 連対率11.1% 複勝率22.2%
[OP特別] 1-2-3-16 連対率13.6% 複勝率27.3%
[500万下] 2-3-3-25 連対率15.2% 複勝率24.2%
[未勝利] 2-1-0-21 連対率12.5% 複勝率12.5%
[新馬戦] 0-0-1-6 連対率 0% 複勝率14.3%
・注目出走パターン
[絶好] 前走500万下~重賞で上がり3F順位4位以下かつ4着以内(複勝率36.8%、複勝回収率196%)
[買い] 前走500万下~重賞で4着以内(複勝率33.3%)
[買い] 前走500万下~重賞で3番人気以内(複勝率40.6%)
平均配当は単勝947円、馬連4960円、3連複2万1574円と、おおむね標準的な数値。ここ6年は連続して馬連4ケタ配当であり、一昔前と比べると波乱傾向が強まってきている。1番人気馬の連対率50.0%、3番人気以内馬トータル[7-4-3-16]と、上位人気馬の信頼度はソコソコといったところ。かといってふたケタ人気馬の激走が目立っているワケでもないので、中穴配当あたりを狙って獲るのが最も効率がいい。
脚質についても、コースデータと同様の傾向にある。勝ち馬の7割が逃げ・先行脚質であり、馬券に絡んだ馬も全体の6割が先行勢、残り4割が中団待機組。後方から追い込んで馬券に絡んだ例はほとんどない。「逃げ→先行」や「先行→先行」といった前残りの展開か、もしくは「先行→差し」での決着パターンを想定しておこう。
そして枠番だが、こちらはコースデータ以上に「内有利」の結果に。単純に1枠~4枠と5枠~8枠で比較しても、連対率や複勝率には3倍近くもの大差が見受けられる。なかでも飛び抜けて好成績なのが1枠~2枠に入った馬で、よほどの人気薄でもないかぎりは、押さえておくのが正解。本命視していた馬が内枠を引き当てたら、その時点でガッツポーズしてもいいほど。その馬が先行力のあるタイプなら、期待はがぜん高まる。
前走クラスや前走距離については、ダート戦や新馬・未勝利でもないかぎり「どんなローテや条件からでも来る」印象。最も馬券絡みが多いのは朝日杯FSからの出走だが、複勝率で比較すると飛び抜けて優秀というほどではない。前走でオープン特別や500万下に出走していた馬でも、問題なく勝ち負けになると考えていい。
注目出走パターンの筆頭に長ったらしい条件をあげたが、要は「前走500万下~重賞で先行して4着以内に粘った馬」が狙い目という話。というのも、シンザン記念は「前走上がりが速かった馬」が、コロッと負けやすいレースだからである。前走上がりが優秀な馬のほうが人気になるものだが、ここは末脚のキレだけでは好走できない条件。先行して粘れる馬のほうが、格段に信頼できるのである。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
引き続きAコース。先週は先行勢&内枠のほうが優勢だった印象を受ける。
・天候予測
週の半ばに少し降雨があるも週末は好天。良馬場前提でオーケー。
・勝利数トップ種牡馬
ディープインパクト 勝率12.5% 連対率22.5% 複勝率35.0%
・著者の注目血統
ディープインパクト産駒○、サクラバクシンオー産駒▲、母父Danzig系△
勝利数が最も多いのはディープインパクト産駒。しかし、アグネスタキオン産駒がそれと差のない成績を残していることや、ステイゴールド産駒とオペラハウス産駒の好成績などから、持久力も相応に要求される馬場と考えられる。末脚のキレに特化した血統よりも、持久力をそれなりに備えているような血統のほうがベターといえそうである。
それを象徴しているのが、サクラバクシンオー産駒の好成績だ。スピードと先行力、持久力に秀でたスプリンターを送り出すことでよく知られる種牡馬だが、その産駒が[4-3-2-22]で複勝率29.0%、複勝回収率110%をマーク。また、母父にDanzig系種牡馬を持つ配合馬も好調で、このあたりにも持久力要求度の高さが見え隠れしている。
★総論×各論
登録が17頭で、ワイレアワヒネのようにフェアリーSにも登録がある馬が3頭。抽選を気にせず前予想を進められるのは、非常にありがたい。ここは人気・実力ともに、ひいらぎ賞を圧勝したミッキーアイルと、朝日杯FSの3着馬ウインフルブルーム、万両賞を制したモーリスの「三強対決」という図式となりそうだ。
その三強のなかで、最も高く評価したのがウインフルブルーム。朝日杯FS組が好成績をあげているのは前述した通りで、しかも同馬はそこで「上がり3F順位4位以下かつ4着以内」の成績をあげており、その臨戦過程は非常に高く評価できる。また、2走前に芝1600m戦を制しているのもプラス材料で、データ的には「断然」といっても過言ではないほど。これは文句なしに「買い」である。
二番手評価はミッキーアイルで、三番手評価がモーリスと、このあたりは順当に高評価。そして、人気薄での好走が期待できそうなのが、四番手評価のシゲルカガだ。1200m戦からの距離延長となるが、過去にも一応は連対例があることや「この組み合わせだと同馬がハナを取り切れる可能性が高い」といった材料を含めて考えると、意外にアリではないか──というのが現時点での見立て。直線平坦のこのコースなら、最後の最後まで粘りきれるケースも考えられる。
以下はアグネスドリーム、セセリ、タガノグランパという評価順。三強がそのまま上位評価なので「順当」という読みにはなるが、ミッキーアイルが想像以上の人気を集めた場合には、組み合わせ次第で妙味あふれる配当が期待できるかも。シンザン記念がこのところ波乱傾向というのもあり、馬券的には「三強の一角崩し」での中穴狙いをオススメしておきたい。
■フェアリーS(G3・中山芝1600m)フルゲート16頭/登録28頭
地方からの転入初戦であるカクシアジを除いて、登録馬すべてが1勝馬。つまり、登録馬のほぼすべてが抽選対象であり、出走馬がまったく読めない状況である。しかもコースは、「内枠有利」の代名詞的存在である、中山芝1600m。正直なところ、出走馬と枠番が決まってから予想したい気持ちでいっぱいである。
と、ひとしきり愚痴ったところで本編に。もともと「荒れる」イメージのあるフェアリーSだが、現在の開催条件となった2009年以降は、以前にも増して荒れるレースへとクラスチェンジ。昨年も10番人気のクラウンロゼが1着に激走し、馬単10万馬券、3連単51万馬券が飛び出している。もちろん今年も、順当になど決まるまい。
そこで、昨年も指針として掲げた「前走1400m以下戦出走組を徹底的に軽視」するスタンスを、今年も貫きたい。前走1400m以下戦出走馬はトータル[0-1-1-23]で連対率4.0%、複勝率8.0%と大不振。距離延長がネックとなっているのは間違いなく、買う価値はまったくないと断言する。また、今年は何頭も該当する「前走ダート戦出走馬」も、過去に好走例ナシ。1200m戦だった時分ならともかく、現在のフェアリーSで前走ダート組が好走する余地はない。こちらもノータイムで切り捨てたいところだ。
また、好走馬が「前走新馬・未勝利組」か「前走G1出走馬」と二極化しているのも、このレースの特徴。前走500万下~G2出走組はトータル[0-1-4-37]と大不振であり、ここを狙うくらいなら、新馬や未勝利を勝ち上がったばかりの馬を狙うほうがスジがいい。
となると、買えそうなのはエクセレントビュー、オメガハードロック、グリサージュ、シーロア、スイートガーデン、ペイシャフェリス、ホットランナー、ムードスウィングス、リラヴァティ、ルナレディ、ワイレアワヒネの合計11頭。このうち何頭が出走できるかは抽選待ちだが、荒れる前提で高配当になる組み合わせを中心にチョイスしたいところ。人気を集めそうなニシノミチシルベやマユキは、出走できても「消し」評価で。
※コース&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。