ノド鳴り手術で再生したアドマイヤフライト/トレセン発秘話
◆これからがポテンシャルをフルに発揮する本当の戦い
坂路のうどん屋2階には、目はモニター凝視で調教をチェック、耳は開け放たれた窓の外から聞こえる駆け上がってきた馬の息遣いに集中する…そんな聖徳太子?のようなトラックマンが、かつていたという。表に出てこないだけで、たとえばノドが鳴る馬というのは案外少なくないのだ。
かくいう坂路野郎も坂路上のベンチに座って稽古を終えた馬から聞こえる“異音”をチェックすることがある。ただ仕事がないからといって漫然と座っているだけではないのだ。
日曜京都の日経新春杯に出走するアドマイヤフライト(牡5・橋田)もノド鳴りの症状を抱えていたという。それが手術を施した効果で、前走のオリオンSでは満点回答を叩き出した。
「あがってきた(福永)祐一さんの第一声が“次は重賞やな”って。ほとんど追わずにあの勝ちっぷり(2馬身差)ですからね。もともと能力は非凡なものを持っていましたし、余裕のあった前走より、この中間は体も締まってきた。この相手でもヒケを取るところはありません」とは竹之下助手だ。
ノド鳴りの手術といっても、必ずしも成功するわけではないし、リスクもある。トレセン関係者に聞くと、ノド鳴りの手術は一発勝負で、しっかりした技術のある獣医がやらないとうまくいかないとも聞く。その大きな壁を乗り越えてきたのがこのアドマイヤフライトなのだ。
「たぶん早い段階からノドの症状はあったと思います。それでも勝ってきたんですけど、上のクラスに上がって、だんだん成績が出せなくなって…。症状も悪くなっていたんでしょうね。手術をするという先生の決断は素早かったし、それが大正解でした」(同助手)
ノド鳴りから手術で再生した馬といえばダイワメジャーが有名だが、アドマイヤフライトも疾患を乗り越えたこれからが、ポテンシャルをフルに発揮する本当の戦いになる。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
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