9月24日、浦和「さきたま杯」は、ノボトゥルーの鮮やかな差し切りだった。5歳ディバインシルバー=7歳ノボトゥルー、57キロ対59キロからも、前者断然有利と予想したが、結果は違った。3~4コーナー、フジノテンビーを馬なりで捕え先頭に立ったディバインシルバー。しかしさらにその外をノボトゥルーが放たれた矢のように迫っていく。並んで叩き合った、という感じではない。あと1ハロン、フワッと気を抜いてしまったディバインに対し、ノボトゥルーはあくまで力強く、そして真っすぐに伸び切った。最後クビ差。年齢とキャリアに培われた精神力、熟成された瞬発力、そんなところか。「勢いをつけて直線に向けた。馬は初コース、僕も浦和はほとんど乗っていないんで途中まで半信半疑。だけどやはり力がある。それとこの距離(1400m)がいいんでしょう」と武豊騎手。ノボトゥルーはこれで統一重賞5勝目。7歳とはかつての8歳だからイメージは高齢に近い。が、当代の短~マイルのスペシャリストとは、衰えどころかキャリアを重ね、むしろそのスピード、切れ味に磨きがかかる。陣営は次走を11月3日、寮馬ノボジャックとともに、大井「JBCスプリント」2頭で挑戦を明言した。
さきたま杯(サラ3歳以上 別定 統一G2 1400m良)
▲(1)ノボトゥルー (59・武豊) 1分25秒5
◎(2)ディバインシルバー(57・安藤勝) 首
(3)ツルマルザムライ (56・岩田) 1.1/2
○(4)ノボジャック (59・蛯名) 首
△(5)ゴールドプルーフ (58・丸野) 2
………………………………………………………
△(6)ヤマタイセイ (56石崎隆)
(8)フジノテンビー (56佐藤太)
単240円 馬複230円 馬単650円
3連複3600円 3連単10440円
「新旧交代」を果たせなかったディバインシルバー。「スタートの一歩目でつまずき終始リズムに乗れなかった。気性面に難しいところがある」と安藤勝己騎手。なるほど一瞬座り込むようなスタートで、やむなく直後気合をつけると、今度はかかるような走りになった。前走盛岡・クラスターCはスターキングマン相手に独走の7馬身差。コース形態も含め1F延長が敗因ではないだろう。現状は仮に最後の直線が長くとも、広々とした新潟、東京あたりがむしろベターか。ツルマルザムライは道中ソツのないレースぶりで、直線インをしぶとく伸びてきた。園田・岩田康成騎手の快プレー。彼自身についていうなら、もうJRAの新舞台で真価を問うほかないだろう。年齢を考えると、安藤勝己以上のパフォーマンス、アピールさえ期待できる。ノボジャックは太めながら3番手追走から直線先頭をうかがい、ひとまず次につながるレースをした。ゴールドプルーフは本質的にスピード競馬向きではない。ひと息入れたステップ、昨年より相手強化とあっては状況が厳しかった。フジノテンビーは改めて統一重賞の壁を知らされたというしかない。むしろ最後方から6着まで追い上げたヤマタイセイ。自己条件をすっきり勝ち、再びオープン挑戦ならそれなりに脈が出てくる。
☆ ☆ ☆
東京記念(9月30日大井 サラ3歳上 別定 2400m)
◎ネームヴァリュー (57・石崎隆)
○ベルモントシーザー(56・見沢)
▲オンユアマーク (58・鷹見)
△シャイニングボス (56・今野)
△カイジンクン (56・内田博)
△エーブマックイーン(56・山田信)
△ジエネスアリダー (57・桑島)
ネームヴァリューは、前走帝王賞圧勝で、「最強牝馬」、「女傑」の域をすでに大きく超えてしまった。ビワシンセイキを4馬身ちぎり、例年恥じない2000m2分04秒6。確かにゴールドアリュール(ノド鳴り発症)の破綻はあったが、ゴール前の脚いろ、余裕から、仮にアリュールがまともでも十分名勝負になっただろう。転入後重賞5勝。展開を問わず、馬場も選ばず、タイプは違うが、ホクトベガ、あるいはロジータに、肩を並べた印象がある。前々走大井記念2600mを勝ち、長距離適性もきわめて高い。いい形でクリアすれば、JBCクラシック、東京大賞典、さらに夢が大きくなる。
相手探し。生粋のステイヤーという点では昨年の勝ち馬オンユアマークだが、不器用さゆえ信頼度はもうひとつ。格下でも息の長い末脚があるベルモントシーザー、シャイニングボスに食指が動く。とりわけ4走前2000mスプリングCの追い込みが強烈だったベルモントシーザー。今回乗り替わりで(的場文騎手・落馬負傷)意外なほど人気が薄い。他ではうまく逃げてカイジンクン。一本調子のイメージが強いが、父カコイーシーズ、案外中~長距離向きの可能性もある。