「輸送苦にしない」デリッツァリモーネに期待/トレセン発秘話
◆明け3歳にとっては相当な負担の長距離輸送
振り返れば悪夢のレースだった。雪のため1週順延となった去年の京成杯のことだ。アクションスターとマイネルマエストロの関西馬2頭はいったん栗東に帰ってから1週間もたたないうちに、もう一度中山への長距離輸送を強いられ、関東馬にしても渋滞に巻き込まれ、美浦に帰厩するまで多大な時間を要した。
このレースで2着に入ったアクションスターが、その後に体を減らして体調を戻すのに時間がかかったのはよく知られるところ。先週、準OPの寿Sを勝ったが、これが京成杯2着以来、久々に馬券に絡んだ走りだった。
もう一頭の関西馬マイネルマエストロもまた同じだ。「古馬でもあんなことがあったら厳しいのに、年明けすぐで3歳になったばかりの馬にはなおさらきつかった。マエストロもそれまでは未勝利、エリカ賞を連勝していい形で流れに乗っていたのに、京成杯(5着)以降はレースで変にモタれてしまったりして立て直すのに時間がかかった」とは西園調教師。
今年は今のところ雪の予報もなく、去年の悪夢が再現される恐れはなさそうだが、この事件は明け3歳馬にとって長距離輸送が相当な負担になることを思い知らせた。
逆にいえば、この時期に輸送をクリアしてすんなり結果を出すような馬は2010年の勝ち馬エイシンフラッシュのようにその後スターダムにのし上がる可能性も秘めている?
今年東上する関西馬で面白そうなのはデリッツァリモーネ。和田助手いわく「これまでは舌癖が悪くてハミにモタれて走ることがあったが、この中間に舌を縛ってリングバミに替えたことでバランスよく走れるようになった。前走(ラジオNIKKEI杯2歳S10着)より確実に良化している」とのこと。「キャリアもあるし、輸送も苦にはしない」とあれば、一発の期待をかけてもよさそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)