◆国枝栄調教師が主張する登録料の問題
「ややテンションが上がった感じもあったが、まさかの大敗。直線はまったく反応しなかった。1週で大きく変わってしまうんだから牝馬は難しい」
これは先週の3歳500万下(牝)、菜の花賞(中山芝外1600メートル)で7着に沈んだニシノミチシルベ陣営の言葉である。同馬は13日のGIIIフェアリーS(中山芝外1600メートル)にも登録したが、抽選の末にあえなく除外。仕方なく1週スライドで自己条件へ歩を進めたが、結果は1番人気を大きく裏切る形となってしまった。“牝馬の仕上げ”に関しては別の機会に記すとして、今回は2〜3歳馬の重賞における出走馬決定の問題点に触れてみる。
ご存じの読者も多いだろうが、特別競走は平場と異なり事前の登録料(重賞は第1回+第2回で計10万円、GIは計30万円など)が必要。その総額が1、2、3着馬の付加賞(7・2・1の割合)となるゆえに出走対価も高く、フルゲートの何倍もの登録というケースも時に発生する。
とはいえ、本賞金の比較で出否が読みやすい古馬重賞は登録過多はさほど問題ではない。大きく明暗が分かれるのは、賞金が横並びとなりやすい2〜3歳の重賞だ。そこは一生に一度のクラシック出走に関わる舞台。その貴重な出走枠をガラガラポンの抽選で埋めるのは、さすがに繊細さに欠けないかと思うのだ。
「登録料が安すぎるのが問題。料金を上げれば必然的に勝負度合いの薄い馬は登録しづらくなる。ハイリスク&ハイリターンでいいじゃないか。入着に飽き足らず勝ちを狙う馬が集まってこそ競馬も面白い」
“美浦のご意見番”国枝栄調教師は常々こう語るが、現状は非当選馬にすべて返還されている登録料を賞金に組み込むのも一案だろう。例えば出走頭数(除外率)がすでに明白な最終投票に限って、その登録料は除外でも返還しない。投票自体にリスクを加えることで、本気度をより鮮明にする方法だ。いずれにせよ「幻の○○馬」というフレーズは、死語にしなければならないのでは、と思っている。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)