スマートフォン版へ

横山和生騎手(4)『人気馬に騎乗して緊張している和生騎手に、ノリさんが一言』

  • 2014年01月27日(月) 12時00分
おじゃ馬します!
更なる高みを目指す和生騎手にとって、とても大切なノリさんという大先輩の存在。ノリさんからのアドバイスで、最も心掛けていることとは。そして、昨年の活躍で大きな弾みをつけ、さらなる飛躍を目指す2014年。その意気込みに迫ります。(1/20公開Part4の続き、聞き手:赤見千尋)


◆レースの後は親子で競馬談義

赤見 :平日の過ごし方はどんな感じですか?

和生 :朝起きて仕事をして、終わったらご飯を食べて、昼寝をして。午後は厩舎を回って、ご飯を食べて、寝てます(笑)。

赤見 :まじめですよね。

和生 :まじめっていうか、自分がやりたいと思わないと、行動できないんですよ。要は、面倒くさがりなんですよね。しかも気分屋ですし。自分が何かやりたいと思ったら、それこそ午後の厩舎作業が終わってから、着替えて電車に乗って、東京でカレーを食べちゃうくらい行動するときも。

赤見 :ええ!? 思い立ったらやっちゃう。

和生 :そうですね。でも、行きたくないと思ったら、嶋田とか杉原が「カラオケ行こう」とか結構誘ってくれるんですけど、「あ、今日パス。早く寝るわ」みたいな。で、怒られます。付き合いが悪いって。

赤見 :その時々なんですね(笑)。ところで、和生君って背が高いですよね。っていうか、伸びましたよね?

和生 :そうですね。なんだかんだで170cmになってしまって。

赤見 :それは減量が大変そうですね。

和生 :はい。調整ルームでもいつも「体重が重いな〜」って思います。

赤見 :でも、カレーも食べたいし…。何が好きですか?

和生 :やっぱり肉であったり。魚も好きです。ただ、好き嫌いが結構あるので、その辺がちょっと。すごい子供っぽいんですけど、わさびと梅干しとチーズが…。だからお寿司はさび抜き。回転寿司に行った時に「さび抜き」って言ってると、笑われますよね。

赤見 :あはは(笑)。競馬が終わった後は、お家に帰って、ノリさんと競馬の話をするんですか?

和生 :そうですね。一緒に競馬を見て、怒られています。

赤見 :まだ怒られます?

和生 :え? 逆にいつほめられます?

赤見 :愛知杯はほめられたんじゃないかなって。

和生 :まぁ、あの時は。でも、「まあまあだな」って言ってもらったくらいですね。でもそう言ってもらえれば、及第点かなとは思います。基本的にはほめてくれない人なのでね。怒られなければ十分です。

赤見 :本当にいいお手本が身近にいらっしゃるという。

和生 :そうですね。本当に恵まれた環境だと思います。

おじゃ馬します!

親子対決、横山典(左)和生(右)は息子に軍配


◆ノリさんの話は深すぎて…

赤見 :和生君がレースで大切にしていることってどんなことですか? 馬によってもあると思うんですけど。

和生 :やっぱり、平常心。人間は平常心でいて、馬とはリズム良くかなと思っていますね。

赤見 :中にはなかなか言うこと聞いてくれない馬もいますよね。

和生 :そうですね。まあでも、そういう馬とでも最低限のいくつかの約束事を上手く作れれば、多少なりともね、すごくケンカしてしまうっていうことはなくなると思いますので。だから、返し馬はすごく大事にしていますね。

赤見 :さすが! ノリさんの息子!

和生 :ほとんど受け売りなんですけど(笑)。

赤見 :そうだったんだ(笑)。ノリさんの返し馬って、他のジョッキーとはちょっと違うじゃないですか。それがすごく興味があって、ノリさんに詳しいお話を聞かせてもらったんです。実は、そのお話を元にnetkeibaで競馬マンガを連載中(ノリさんの登場は3月を予定しています)なので、ぜひ読んでください!

和生 :そうなんですか。それは読みたいです。

赤見 :ノリさんの競馬のお話は、本当に深いですよね。

おじゃ馬します!

赤見「ノリさんの競馬のお話は深い」


和生 :そうですね。でも、何を考えているか分からないときもありますけどね(笑)。たぶん父もね、直感で生きてきたと思うので。

僕がデビューした1年目とか2年目の時に、僕が人気する馬に乗っていてちょっとドキドキしてると「簡単だよ、そんなの。ゲートを出たらピューっと行って、シュッと抑えたら、サーっと行って、最後ギュッとやればいい」って。何言ってるんだって(笑)。

赤見 :全部擬音で(笑)。

和生 :そうなんです。「シュッと行って」とか言われると、シュッってどう? 抑えるの? それともちょっと行かせるの? って。「シュッと行くんだ、シュッと」「はい」みたいな(笑)。

赤見 :最近は分かります?

和生 :なんとなく分かりますね。それでもね、まだちょっと通訳が欲しい時が。もっと分かりやすく言って欲しいなっていう時があります。

赤見 :なかなか言葉で伝えるのは難しいですよね。

和生 :そうですね。馬乗りってそういうところだと思うんですよね。実際に僕がどう乗ってるのって言われても、たぶん僕もそう言うふうになっちゃうと思うので。「シュッと行って」って。

赤見 :「だから、シュッと」って(笑)。和生君はゲートが上手いですよね。追ってっていうよりも、ポーンっとスタートを出て先行するイメージが強いです。

和生 :そうですかね。まぁ、1年目がひどすぎましたからね(苦笑)。でも、スタートのことは菊沢先生に話を聞かせていただいて。そこはちょっと、コツを得たかなとは思うんですけど。

赤見 :え、どんな!?

和生 :そこはちょっとね、企業秘密で(笑)。言えないです。でも、やっぱり前に行くのは意識しています。馬の前半のリズムにもよりますけど、やっぱりある程度は前に行った方がね、有利なことには違いないと思いますので。まぁ、あとは展開とかを見ながら。まだ自分は減量もありますし、「和生は前に行く」っていうスタイルを作っていければ、皆さんもそういうところを見てくれると思いますので。意識的に前に行くようにはしていますね。

赤見 :昨年は大きく飛躍した年でしたけけど、今年はどんな年にしたいですか?

和生 :今年は去年以上に勝てればなとは思います。まずはね、本当にここまでの3年間怪我なくやってこられましたし、今年も人馬共に無事に回ってこられればと思いますね。

赤見 :やっぱり、怪我をしちゃうと大きいですよね。

和生 :そうですね。大きいですし、自分が落ちないっていうのも大切ですけど、相手を落とさない、相手の邪魔をしないっていうのもすごく大事なことだと思いますので。邪魔もしないし、邪魔もされないようにしたいなと思います。

赤見 :じゃあ、今年のプライベートな目標は?

和生 :ん? プライベート?? びっくりしたー!! このままイイ感じに終わるのかなと思ったら(笑)。

赤見 :何にしましょう(笑)?

和生 :どうしましょう。魚を飼いたいですね。

赤見 :え〜。皆の前で歌う!

和生 :それは止めましょう。ダメです。それはダメです。それはもう、公開処刑です(笑)。(了)


■次回予告
「おじゃ馬します!」2月のゲストは、厩舎開業目前の石橋守調教師をお迎えします。騎手時代は“いぶし銀”として、広くファンに愛された石橋調教師。開業を間近に控えての今の本音や、調教師への転身のきっかけとなったエピソード、そして、メイショウサムソンと共につかんだ“悲願のダービー”を振り返ります。


【横山和生】
1993年3月23日生まれ、茨城県出身。父はJRA騎手の横山典弘、祖父は元JRA騎手の横山富雄、元JRA騎手の横山賀一とJRA調教師の菊沢隆徳が伯父という競馬一族。2011年に競馬学校第27期生として、美浦・勢司和浩厩舎からデビュー。JRA史上初、親子3代での騎手デビューとなった。同期は嶋田純次や杉原誠人ら。同年4月30日、新潟7Rで初勝利。2013年、エーデルワイス賞をフクノドリームで制し、交流重賞初勝利を挙げた。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング