●
エイシンヒカリ(牡 栗東・坂口正則 父ディープインパクト、母キャタリナ)
エーシンピーシー(父Fusaichi Pegasus/07年スプリングS-GII・3着)、エーシンクールディ(父Distorted Humor/11年根岸S-GIII・4着)、エーシンシャラク(父タイキシャトル/準OP)の半弟。本馬を産んだとき母はすでに17歳だったが、「ディープインパクト×Storm Cat」という旬のニックス配合で、母方の奥に重厚なKey to the Mintが入るのは好感が持てる。「ディープ×Storm Cat」で重要なのは、残りの部分にHyperion−Alibhaiのようなブリティッシュトラッドの王道を添えること。たとえばキズナの場合、3代母FijiにHyperion≒All Moonshine 3×3という4分の3同血クロスがある。アユサンは4代母の父がYour Host。この馬はAlibhaiの息子で、Hyperionの父Gainsboroughを3×4で持っている。こうした血が入ることで大レース向きの底力を獲得するのだろう。Key to the Mintは底力の塊ともいえる重厚な血で、その父の母Flower Bowlはアユサンに入るYour Hostと4分の3同血。配合的には申し分ない。芝向きの中距離タイプだろう。
●
グランドデイム(牝 栗東・角居勝彦 父ディープスカイ、母ミスアドーラブル)
半姉サマリーズ(父ハードスパン)は全日本2歳優駿(GI)の勝ち馬。母ミスアドーラブルはMr.Prospectorのラストクロップで、旺盛な競走意欲と先行脚質を伝えるSeattle SlewとMr.Prospectorの組み合わせのほか、Raise a Native 2×4というスピード型のクロスを持っている。スピードに秀でた気のいい先行タイプ、といったイメージだ。父ディープスカイはやや鈍重な面が見られ、母方から積極的にスピードを補給したいタイプなので、ミスアドーラブルのような繁殖牝馬は合うだろう。「Mr.Prospector×Housebuster」という血統の母はパワーを帯びているので、7:3でダートのほうが合うかもしれない。
●
グリーナウェイ(牡 美浦・国枝栄 父フジキセキ、母グリーリーランド)
半兄にグリッドマトリクス(父シンボリクリスエス/1000万)、4分の3兄にウインスラッガー(父ダイワメジャー/1000万)がいる。母グリーリーランドは芝短距離でOPクラスまで出世したスピード馬。母の父Mr.Greeleyは仕上がり早のスピード血統で、Gone Westを経てMr.Prospectorにさかのぼる系統。フジキセキとGone West、またフジキセキとMr.Prospectorは基本的に相性良好。「フジキセキ×Mr.Greeley」の組み合わせからは、兵庫チャンピオンシップ(Jpn2)4着のエイシンキンチェム、その全妹でファンタジーS(GIII)4着のエイシンオルドスが出ている。いかにも仕上がりの早いスピードタイプで、出てくれば初戦から狙える。芝1200〜1400mあたりがベストだろう。
●
サトノセレリティ(牡 美浦・国枝栄 父ディープスカイ、母ディアウィンク)
半兄ナカヤマフェスタ(父ステイゴールド)は宝塚記念(GI)など3つの重賞を制覇したほか、凱旋門賞(仏G1)2着という快挙を成し遂げた。半姉ディアアレトゥーサ(父トーセンダンス)は紫苑S(OP)の勝ち馬。母ディアウィンクは抜群の能力を秘めた繁殖牝馬だ。サンデー系を付けて誕生した上記2頭がいずれも走っているので、ディープスカイ(その父アグネスタキオン、その父サンデーサイレンス)を父に持つ本馬にも期待できる。ディープスカイ産駒は現在のところ6頭が勝ち上がり、そのうち半数の3頭がDanzigのクロスを持っている。本馬はDanzig 4×4なので成功パターンに当てはまる。芝中距離がベストで、道悪は鬼。
●
ジュエルプラネット(牡 美浦・藤沢和雄 父ディープインパクト、母ダイヤモンドディーバ)
2012年のセレクトセール1歳せりにおいて1億4000万円(税抜)で落札された。この日上場された242頭の1歳馬のなかで1億円以上の値がついたものは5頭。本馬はそのなかで4番目の高馬だった。母ダイヤモンドディーバはキャッシュコール招待S(米G2・芝8f)など2つの重賞を制した活躍馬。母の父Dansiliは欧州2400m路線に実績のあるスタミナ型だが、2代母Viviannaは「Indian Ridge×El Gran Senor×Auction Ring」というスピードタイプで、母にはBuckpasser 5×5というデインヒルの血を持つ馬としては好ましいクロスを持っているので、スピード不足だったりズブくてどうしようもない、といったタイプではない。芝中距離がベストで、東京でも中山でも走れるタイプ。道悪も苦にしない。
●
フィラデルフィア(牝 栗東・笹田和秀 父ディープインパクト、母レディパステル)
神戸新聞杯(GII)で2着となったロードアクレイムの全妹。母レディパステルは、オークス(GI)、中山牝馬S(GIII)、府中牝馬S(GIII)を勝った名牝で、現役を引退後、ヨーロッパで繁殖生活に入り、ロードバロック(父ロックオブジブラルタル/準OP)、ロードロックスター(父ロックオブジブラルタル/09年京都新聞杯-GII・3着)を出産。その後、日本に帰国している。「ディープインパクト×トニービン」はサトノノブレス(14年日経新春杯-GII)、グルヴェイグ(12年マーメイドS-GIII)などと同じ。コンスタントに走る配合で、とくに新馬戦の成績が抜群。直線の長いコースや外回りコースに向くので、この条件に出てきたらしっかり狙ってみたいところ。芝中距離向きだが、スタミナがあるので長丁場も苦にしない。