◆競走馬の「復活」 今年に入り、7歳バシレウス(父キングヘイロー)が約3年の長期休養を経てカムバックを果たした。2年前のクラシック戦線で活躍した5歳のアダムスピーク(21ヶ月)、アルフレード(20ヶ月)、グランデッツァ(20ヶ月)がそろって戦列に戻った。
脚部難、骨折、のど鳴り…などの疾病に対する治療技術の進歩だけでなく、それに携わる人びとの熱意と献身の努力が実った「復活」は、競馬ファンにとって最高のニュースである。それが連続しているから素晴らしい。
時を同じくして、12月21日の中山大障害で落馬競走中止となった当時11歳のメルシーエイタイムが、栗東にもどることができたという。落馬したメルシーエイタイムの明らかに非常事態発生の動きに、それでも障害を飛んでしまったことが重なり、悲しい結果も予測されたが、手術も可能な亜脱臼にとどまり、その手術は成功した。
奇跡的な回復を果たし、美浦から栗東に移動したメルシーエイタイム、担当助手とのドキュメント 賢いメルシーエイタイムは、人びとの懸命な治療を理解し、痛みに耐えながらおとなしくしていたと伝えられる。治療に携わった人びとは素晴らしい。そういうメルシーエイタイムを手がけここまで10年近くも競走馬時代を共にしてきた厩舎人も、再三再四どころか、数え切れないほどの休養期間に携わった人びとも、もちろんオーナーも、みんな素晴らしい。さらに発見されたという剥離骨折は、ふつうは亜脱臼に比べたら軽傷にも近いことの方が多い。全面的な回復を祈りたい。
◆距離不安なし、エアソミュールが中心 土曜日の「白富士S」には、なんと20ヶ月ぶりになる5歳
ワールドエース(父ディープインパクト)と、同じくぴったり20ヶ月ぶりになる7歳
ペルーサ(父ゼンノロブロイ)がそろって出走してきた。ワールドエースは1番人気で4着にとどまった2012年のダービー以来であり、休養は屈腱炎のため。一方、いつのまにか7歳になっているペルーサは、この長い休養期間中に2回ものど鳴りの手術をしたという。ペルーサは3歳秋、出遅れながら、ブエナビスタの天皇賞(秋)で2着突っ込んだ馬である。
ワールドエースはもちろん、7歳の春になったとはいえまだ15戦しただけのペルーサも、ともに完全復活なれば、キズナや、エピファネイアと対決して不思議ない大器である。
ましてワールドエースには武豊騎手が乗ってきた。あっさりがあって少しも驚けないが、入念に乗り込んできたとはいえ、とにかく無事に戦列復帰し、再び大きな展望を描きたい再起戦であり、いきなり大きな負担のかかるようなレースはしにくい。
それでも勝ち負けしてしまうなら、ますます期待はふくらみ、たちまちこのあとの主要レースでも好走必至となる。心配することがなくなってから改めて期待したい。
ここは、順調な
エアソミュール(父ジャングルポケット)が中心。4歳の昨年、オープン特別を3勝もしている。オープン特別には1800m戦が多いからその3勝はすべて1800mだが、距離に不安があるわけではない。2200mで2連勝した記録もある。
たまたま2000mは【0-0-0-6】ではあるが、1分59秒1の鳴尾記念0秒2差もあれば、1分58秒7(休み明けの1000万)好走もあるからまず心配なし。馬名から想像できるように母エアラグーン(その父サンデーサイレンス)は、皐月賞と菊花賞を勝ち、ダービーは惜しくも2着だったエアシャカールの1つ下の全妹。スロー向きの自在性に優れ、速い脚が長続きする。
ワールドエースと、ペルーサは十分に怖いが押さえに回ってもらい、絶好調と思える
レインスティック、こちらも急に動きが良くなった松山康久=後藤浩輝コンビの
モンテエン、先行馬ペースに乗れそうな
サムソンズプライド、
アロマカフェに流す。