◆武器はスピードの持続力
デビュー戦(1800m)が6馬身、2戦目のエリカ賞(2000m)が5馬身。いずれも鮮やかな逃げ切り勝ちを収めたバンドワゴンが、いよいよ重賞のきさらぎ賞に挑戦する。
これがディープインパクト産駒なら驚かないが、バンドワゴンはホワイトマズル産駒。しかも母ピラミマはアメリカ産馬で、母系にもサンデーサイレンスが入っていない。
ホワイトマズル産駒の重賞勝ち馬は、アサクサキングス(菊花賞)、シャドウゲイト(シンガポール航空国際C)に代表されるように、母の父にサンデーサイレンスを従えているものが多い。ダートで活躍中のニホンピロアワーズも、母の父に後継種牡馬のアドマイヤベガが入っている。
ただ、初期の代表産駒にはスマイルトゥモロー(オークス、母の父サウスアトランティック)、イングランディーレ(天皇賞・春、母の父リアルシャダイ)がいる。サンデーサイレンスの援護射撃がなくても、大物を出す種牡馬であることは確かだ。
ホワイトマズル産駒に共通するのはスピードの持続力。切れる脚は持たないが、スタミナ、持久力、パワーに優れ、短中距離であろうと長距離であろうと、ハイペースで先行して実にしぶとい。その特長がバンドワゴンにもよく出ている。
むろん、ホワイトマズル産駒は冬場の荒れて時計のかかる馬場や、雨でぬかるんだ馬場が得意。バンドワゴンに道悪の経験はないが、雨は味方になるだろう。ディープインパクト産駒のような切れの鋭い馬と、春の高速馬場でどう戦うか。まだ不安は残るが、楽しみな逸材であることだけは間違いない。
一方、ディープインパクト産駒もきさらぎ賞に4頭登録してきた。このうちトーセンスターダムは、バンドワゴンと同じくデビュー戦(1800m)、オープン特別の京都2歳S(2000m)を2連勝中である。
着差はクビ、アタマと僅差だが、京都2歳Sはレコードに0秒1差の優秀なタイム。終いの切れ味が身上だけに、バンドワゴンの手強い相手となりそうだ。先のクラシックを占う上でも、今週のきさらぎ賞はしかと見届けておきたい。