◆報知グランプリカップ展望
(2月12日 船橋 サラ4歳以上 別定 南関東SIII 1800m)
「報知グランプリカップ」は、今年第50回の節目を迎える。現在グレードこそ南関東SIIIにすぎないが、記者イメージは船橋競馬“真冬の大一番”であり、実際、ロッキータイガー(昭和60年)、コンサートボーイ(平成8年)、ナイキアディライト(同18年)など、今でいうGI級がその強さを存分に示してきた。つけ加えればこのレース、過去(平成10年まで)オールカマーで行なわれ、アラブ系の強豪が大活躍(コスモノーブル、トチノミネフジなど)した伝説的ヒストリーも残っている。いずれにせよ個人的思い入れというならけっこう深い。少なくとも“船橋SII級”の重みは毎年感じる。
ただそうした“格”を考えると、近年南関東番組(レースの置き方)は正直不可解としか言葉がない。4歳以上・別定戦。金盃=2000m、グランプリC=1800m。ほぼ同じカテゴリーの重賞を2週続けて施行するナンセンス。オープン級の連闘はごく普通の場合無理があり、ただでさえ層の薄い(質の面で)南関東A1級が主力分散、レース自体レベルダウンは最初からみえている。オーナー、トレーナー、ジョッキーには、それぞれ利害と立場があり、どこを使うか、その選択はうんぬんできない。だから決定責任はやはり4場主催者だろう。以前も書いたこと。まず重賞施行日を優先し、それに合わせて開催日割を決めていくべき。弱者救済的な賞金山分け…ファンにそう思われたら救いがない。
(1)…波乱含み。1番人気[3-3-2-2]は合格点だが、2番人気[0-3-2-5]の不振を、3番人気[2-2-0-6]、4番人気[2-1-1-6]が補う形で、堅い傾向ともいい難い。昨年は7→1人気の決着で馬単4590円。
(2)…船橋優勢。船橋=7勝、2着4と大きくリード。以下川崎=2勝、2着2、3着2、大井=1勝、2着2、3着1。ただ南関東生え抜きの優勝は18年ナイキアディライト以来途絶えており、目下4年連続転入(JRA)馬が勝っている。
(3)…熟年馬。昨年9歳スターシップ優勝など、例年高齢馬が活躍する。最もアベレージがいいのは7歳=3勝、2着2、3着2。以下、6歳=2勝、2着4、5歳=2勝、2着3。牝馬は出走頭数が少ないが、17年ジーナフォンテン優勝。
(4)…末脚勝負。逃げ=2、先行=4、差し=13、追込=1。ペースは落ち着いても、好位~中団からの差しが主流。船橋1800mは基本的に展開より力優先ということか。ジョッキーでは過去10年5度の騎乗で2勝をあげた張田京騎手。
※データ推奨馬
◎ゴールドバシリスク…JRA5勝、現在船橋・佐藤賢二厩舎所属の7歳馬。前走準重賞「千葉テレビ盃=1700m」圧勝で、地力と地方適性を実証した。JRA時は短距離志向(1200m~1400m)だが、父パゴの血統背景からは1800mも問題ない。好位から機をみて動けるレース巧者。的場文Jは20年ブルーローレンスで優勝。
☆ ☆ ☆
◎サミットストーン 54吉原
○ゴールドバシリスク 56的場文
▲インサイドザパーク 56左海
△プレファシオ 56森
△タマモクリエイト 56見沢
△トーセンルーチェ 56張田京
△サトノデートナ 54川島
オメガインベガス 51戸崎
ジェネラルノブレス 54真島
スマートジョーカー 56御神本
ケイアイヘルメス 54石崎駿
サミットストーンに期待する。JRA4勝、転じた金沢7勝。昨秋統一時「白山大賞典」「JBCクラシック」でも、それぞれ5・6着と善戦した。前走南関東転入初戦(多摩川オープン=川崎1600m)はスタート直後、隣枠馬と接触する大きな不利。外々を果敢に追い上げ5着なら合格点の発進といえるだろう。いったんトップスピードに入っていい脚を長く使う大型馬(550キロ超)。父ロージズインメイの背景からも本質1800m~2000m向きと判断したい。別定54キロ(A2格ゆえ)も、能力比較からはきわめて有利。勝負どころで一気の捲りをイメージした。
重賞3勝(金盃連覇など)トーセンルーチェ、東京ダービー馬インサイドザパーク、実績上位組の近況がひと息で、相手選びは迷わされる。データ面でほぼ満点がつくゴールドバシリスク、切れ味鋭い中距離型プレファシオ(JRA通じ1700m~1800m6勝)あたりが、今回馬券上の狙い目と考えた。以下、一気に逃げてサトノデートナ、逆に前崩れの混戦でタマモクリエイト。戸崎J起用オメガインベガスも軽量51キロで脈ありだが、同馬の目立つ実績は昨夏「関東オークス」2着(アムールポエジーに5馬身差)だけ。人気になっては妙味が薄い。ハナ切りたいジェネラルノブレスはこの顔ぶれで展開がどうか。スマートジョーカー、ケイアイヘルメスには1F距離が長い。
◆金盃回顧
(2月5日 大井 サラ4歳以上 別定 南関東SII 2000m良)
▲(1)フォーティファイド 2分06秒8
△(2)ツクバチャーム 2
◎(3)アウトジェネラル 鼻
△(4)ツルオカオウジ 1
(5)タマモクリエイト 3
………………
△(7)スターシップ
(9)クラーベセクレタ
△(11)パワーストラグル
○(12)トラバージョ
単800円 馬複6900円 馬単16400円 3連複4960円 3連単48170円
フォーティファイドが豪快に逆転した。平均ペース(1000m通過63秒1)で逃げたスターシップをツルオカオウジが捲る展開。フォーティファイドは前半後方待機から4コーナー6番手まで追い上げ、直線大外に持ち出した。一瞬の切れというより、トップスピードに入っていい脚を長く使う。「年齢(明け9歳)はともかく、今が一番いい状態。スムーズに折り合えたし、最後伸びてくれる確信があった」(戸崎圭太騎手)。同JはJRAに移籍しておよそ1年。しかししばしば南関東の“切り札”として登場し、現実に期待通りの結果を出す。「これからも地方競馬をよろしくお願いします」。そうインタビューを締めくくった。腕達者なことはもちろん、何より彼は好漢である。
フォーティファイドは、フォーティナイナー×ファストフレンド(アイネスフウジン)の9歳牡馬。母は言わずもがな、帝王賞、東京大賞典などダート重賞9勝、一時代を築いた名牝で、同時に中~長距離志向、本質晩成型だったとふり返る。デキのよさと2000m適性が見事に噛み合った今回勝利。「思った以上に強かった。若い馬を相手に2馬身差だから胸が張れる。鞍上も100%の騎乗でした」(藤田輝信調教師)。優先出走権を獲得した3月19日船橋「ダイオライト記念=2400m」。馬自身左回りもこなす(東京・川崎で良績)だけに、おそらくGoサインが出ると思う。結果論ながらパドックの同馬には、年齢相応の重厚さ(落ち着き)、はつらつとした活気を同時に感じた。
ツクバチャーム2着。こちらも高齢(8歳)だが、一連休み休みしか使えない体質の弱さがあり、今回重賞初挑戦の健闘だから潜在能力は十分示した。3着アウトジェネラルはスタートひと息。予測した3~4番手より厳しい位置取りになり、直線追ってからもジリジリとしか伸びなかった。不満残し。“期待値”に“現実”が追いついてこないうらみが正直ある。4着ツルオカオウジは正攻法。元より少し詰めが甘く、今回完全燃焼とみればもう昇り目はイメージしづらい。スターシップは内枠(2番)をもらい、逆に乗りづらい競馬だったか。末脚不発パワーストラグル、好位からジリ貧トラバージョは、状態と展開がどうだったか。次走改めて正念場というしかない。