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ラヴェリータの域に迫ってほしい良血馬ディプロムソング

  • 2014年02月12日(水) 12時00分
ウインゴスペル(牡 栗東・西園正都 父Pivotal、母Choir Mistress)
 全兄ChoristはプリティポリーS(愛G1・芝10f)、ゴールデンダフォディルS(愛G3・芝10f)、ブランドフォードS(愛G3・芝10f)の勝ち馬。父Pivotalは英・愛オークスを連覇したSariskaを出しているものの、自身がスプリンターだったように産駒は基本的に短い距離に向いており、過去にSaoire(愛1000ギニー)、Falco(仏2000ギニー)などを出している。Choristは母の父が英チャンピオンスプリンターのChief Singerながら、母Choir Mistressが持つNeckar 5×5などのドイツ血統の影響か、案外距離の融通性があり芝2000mがベストだった。本馬はChoristの12歳下の全弟。父が18歳時、母が21歳時の産駒という点は気になるが、G1馬の全弟なので期待したい。

ウンプテンプ(牡 美浦・田中剛 父メイショウサムソン、母バズローリング)
 父メイショウサムソンは皐月賞(GI)、ダービー(GI)、天皇賞・春(GI)、天皇賞・秋(GI)など6つの重賞を制した名馬。現在2世代がデビューし、トーセンアルニカ(13年エリザベス女王杯-GI・4着)、サムソンズプライド(13年プリンシパルS-OP)などを出している。この2頭にソムニアシチーを加えたメイショウサムソン産駒の本賞金獲得順上位3頭は、いずれもエルコンドルパサー牝馬から誕生している。メイショウサムソンの2代父と、エルコンドルパサーの母の父はいずれもSadler's Wellsなので、前述の3頭はいずれもSadler's Wells 3×4というクロスを持つ。本馬は3代母が名牝バレークイーン(フサイチコンコルド、アンライバルドなどの母)で、その父がSadler's Wells。したがってSadler's Wells 3×4を持っている。父の成功パターンであるクロスを持っているので楽しめそうだ。

タガノバラード(牝 栗東・松田博資 父ブライアンズタイム、母タガノチャーリーズ)
 母タガノチャーリーズはフェアリーS(GIII)3着馬だが、本質的にはダート向きで、不良馬場のアクアラインS(準OP・中山ダ1200m)を勝った際は、1分09秒7という破格の時計で後続を寄せ付けず圧勝した。繁殖牝馬としても成功しており、本馬の半兄タガノジンガロ(父キングカメハメハ)はアンタレスS(G3)4着、マーチS(G3)5着。半兄タガノロックオン(父ロックオブジブラルタル)はジャパンダートダービー(JpnI)3着。半姉タガノクリスエス(父シンボリクリスエス)はアンタレスS(GIII)6着、半兄タガノブリガデイロ(父シンボリクリスエス)は兵庫ゴールドトロフィー(JpnIII)4着など、外れなく走っている。父がブライアンズタイムに替わった本馬は兄姉と同じくダート向きで底力十分。重賞級に育ちそうだ。

ツクバサクラコ(牝 美浦・戸田博文 父ステイゴールド、母ウェディングハニー)
 母ウェディングハニーは現役時代、府中牝馬S(GIII)3着などの成績がある。本馬はウェディングフジコ(父フジキセキ/10年中山牝馬S-GIII・2着、10年TCK女王盃-JpnIII・2着)の4分の3妹で、「ステイゴールド×トニービン」という組み合わせはバウンシーチューン(11年フローラS-GII)と同じ。トウショウボーイが入るので芝1800m前後でスピードを活かすタイプとなりそうだ。

ディプロムソング(牡 栗東・矢作芳人 父Unbridled's Song、母Diplomat Lady)
 母Diplomat Ladyは現役時代、ハリウッドスターレットS(米G1・ダ8.5f)など2つの重賞を制した。父Unbridled's SongはFappiano系で、現役時代にブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)、フロリダダービー(米G1)と2つのG1を勝った。種牡馬としてはUnbridled Elaine(01年ブリーダーズCディスタフ)など多くのG1馬を送り出し、日本ではラヴェリータ(09年関東オークス-JpnIIなど重賞7勝)、アグネスソニック(02年NHKマイルC-GI・2着)が活躍している。アメリカ血統ながら芝・ダート兼用で日本の馬場への適性も高い。本馬はFappiano≒Surgery 3×4、Royal Mink≒What a Pleasure 5×4という相似な血のクロスが生じ、母方のポテンシャルも高いので期待十分。マイル以下のダートがベストで、1000〜1400mなら芝でもやれるはず。ラヴェリータの域に迫ってほしい良血馬だ。

ラガービックヒーロ(牡 栗東・大久保龍志 父ゴールドアリュール、母フジタカローズ)
 名馬エスポワールシチーと同じ「ゴールドアリュール×ブライアンズタイム」の組み合わせ。母フジタカローズのFlower Bowl≒Abernant≒チャイナロック 4×5・4は力強く、まさにパワーと底力に恵まれた王道のダート血統だ。ゴールドアリュールの代表産駒は、上記の相似な血のクロスのエッセンスであるHyperionとSon-in-Lawの組み合わせから成る血との間に大物を誕生させる傾向があり、本馬はその条件を満たしている。ダート1800mがベストで成長力にも期待できる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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