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早くも2歳馬が馬名登録、新種牡馬ヴァーミリアン産駒オルフィーク

  • 2014年02月19日(水) 12時00分
【2歳】
オルフィーク(牝 美浦・小桧山悟 父ヴァーミリアン、母バディ)
 父ヴァーミリアンは今年の新種牡馬。現役時代にダートGIを8勝した希代の名馬で、兄弟にソリタリーキング(ダート重賞3勝)、サカラート(ダート重賞4勝)、キングスエンブレム(シリウスS-GIII)といった活躍馬がいる良血。母はダイワメジャーと同血なので、種牡馬としておもしろいところがあるのではないか。配合によって芝向き、ダート向きとタイプが分かれるはずだが、本馬は母の父がパワー型のワイルドラッシュ(トランセンドの父)なのでダート向きに出るだろう。Mr.Prospector 4×4でスピードを確保しているので堅実に走りそうだ。

スノセイ(牡 美浦・和田正道 父プリサイスエンド、母ショウリノホホエミ)
 父プリサイスエンドはエンドスウィープを経てフォーティナイナーにさかのぼる系統で、ダート向きの優れた資質を伝えて種牡馬として成功している。活躍の場は地方競馬が中心だが、中央のダートでもグロリアスノア(10年根岸S-GIII、10年武蔵野S-GIII)が重賞戦線で活躍した。配合的にはMr.ProspectorとNijinskyを併せ持つ繁殖牝馬と相性抜群。前出のグロリアスノアを筆頭に、ショウリダバンザイ(浦和桜花賞、ロジータ記念、道営記念)、スプラッシュエンド(OP)、ロラパルーザ(OP)、タケショウカヅチ(準OP)といった同産駒のトップクラスは、ことごとくこのパターンから誕生している。本馬の2代母の父ジェイドロバリーは「Mr.Prospector×Nijinsky」なのでこのパターンを踏襲している。期待の持てる配合だ。

【3歳】
アネラノヘア(牝 美浦・栗田徹 父ゴールドアリュール、母マイバレンタイン)
 4分の3兄ワイルドスナイパー(父バブルガムフェロー)は函館記念(GIII)3着馬。もう1頭の4分の3兄テラノファントム(父フジキセキ)は弥生賞5着馬。本馬の父ゴールドアリュールはエスポワールシチーやスマートファルコンの父であるように、基本的にはダート向きの種牡馬だが、フーラブライド、タケミカヅチ、トウカイパラダイス、トップカミングといった芝向きの産駒も出している。本馬の配合は「ゴールドアリュール×トニービン×ノーザンテースト」。この組み合わせは芝連対率23%、ダート連対率24%という成績で、ゴールドアリュール産駒全体の成績(芝14%、ダート19%)を大きく上回っている。2頭の4分の3兄が芝重賞で活躍しているので本馬にも期待したい。

エビスカンナ(牝 美浦・松山将樹 父スズカマンボ、母アラサナコンカロ)
 父スズカマンボは現役時代に天皇賞・春(GI)を制覇したサンデー系種牡馬。ややスピードが足りずスタミナに特長があるため、当初はダートの中長距離に活路を見い出していたが、3年目の産駒メイショウマンボがオークス(GI)、秋華賞(GI)、エリザベス女王杯(GI)を制覇し、最優秀3歳牝馬に選出された。同馬は2代母の父がジェイドロバリーで、スプリングマンボ≒ジェイドロバリー2×3が配合的な核心だった。本馬は「スズカマンボ×ジェイドロバリー」という組み合わせなのでスプリングマンボ≒ジェイドロバリー2×2。メイショウマンボと配合構成がよく似ている。母アラサナコンカロはコンタクト(02年京都金杯-GIII・5着、02年ダービー卿CT-GIII・5着)の全妹なので、本馬は芝向きのマイラー〜中距離タイプだろう。

コウヨウハート(牝 美浦・古賀慎明 父ディープスカイ、母アサヒライジング)
 母アサヒライジングは現役時代にクイーンS(GIII)を勝ったほか、アメリカンオークス(米G1)、秋華賞(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)で2着、オークス(GI)3着という成績を残した。2代母アサヒマーキュリーは「ミナガワマンナ×ボンモー×タマナー」という組み合わせで、ほとんど稀有といっていいほどのアウトサイダー血統。本馬は「ディープスカイ×ロイヤルタッチ」というサンデー系同士の配合なのでサンデーサイレンス3×3という強いクロスを持っているが、前述のとおり2代母アサヒマーキュリーが異系色の強い血統構成であるため、ちょうどバランスが取れている。父ディープスカイは日本ダービー(GI)、NHKマイルC(GI)など4つの重賞を制した名馬。種牡馬としては鈍重さが目に付くものの、一風変わったこのような配合で走る可能性もあるのではないか。

サザンライツ(牡 美浦・池上昌弘 父サクラバクシンオー、母サザンフェアリー)
 未勝利戦から芝1200m戦を4連勝してOP入りを果たしたダノンフェアリーの全弟。父サクラバクシンオーはNijinskyを含んだ繁殖牝馬と相性がよく、この配合からショウナンカンプ(高松宮記念-GIなど重賞3勝)、シーイズトウショウ(セントウルS-GIIなど重賞5勝)、メジロマイヤー(きさらぎ賞-GIIIなど重賞2勝)、ブルーショットガン(06年阪急杯-GIII)など多数の活躍馬が出ている。本馬はこのパターン。2代母フェアリーダンサーはSadler's Wellsの4分の3同血なので底力がある。全兄ダノンフェアリーに迫る活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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