【3歳】
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サトノフラクタル(牡 栗東・池江泰寿 父Galileo、母It Must Be Magic)
母は不出走馬だが、その全兄The LeopardはジェネラスS(米G3・芝8f)の勝ち馬。2代母Moon Safariは本邦輸入種牡馬スキャンの全妹、3代母Videoは名種牡馬Caerleonの全妹、という良血ファミリーに属している。父Galileoはヨーロッパを代表する大種牡馬で、歴史的名馬Frankelを筆頭に多数のG1ホースを送り出し、08、10〜13年と計5回英愛サイアーランキングのトップに立っている。ただ、日本の軽い馬場にフィットしなかったSadler's Wellsの息子なので、やや重苦しいところがあり、わが国ではいまだに重賞勝ち馬は出ていない。それだけに、スピード豊かなMr.Prospector 4×3というクロスは歓迎。また、過去にCaerleonを抱えたGalileo産駒は、日本で2頭走ってキャプテンキッドが3勝、レッドシャンクスが2勝と悪くない成績を挙げている。前述のとおり本馬の3代母はCaerleonの全妹だ。「Galileo×Storm Cat×Mr.Prospector」の組み合わせはMisty for Me(11年愛1000ギニー-G1など4つのG1を制覇)と同じ。配合的にはいいところがあるのではないかと思われる。芝向きの中距離タイプだろう。
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ダノンファイヤー(牡 栗東・佐々木晶三 父ディープインパクト、母リキオリンピア)
母リキオリンピアは東海公営で走った下級条件馬だが、2代母Opera QueenのきょうだいにはHatoof(92年英1000ギニー-G1、92年英チャンピオンS-G1)、Irish Prize(01年シューメーカーマイル-米G1)といった活躍馬がいる良血。「ディープインパクト×エンドスウィープ」はトーセンスターダムと同じで、父の最もポピュラーな成功パターンのひとつであるLyphardクロスを4×4で持っている。母の父がエンドスウィープと軽いだけにPleasant ColonyやLe Fabuleuxといった重厚な血がサポートするのも好ましい。半兄タケルハヤテ(父オペラハウス)は現3勝馬。母の繁殖牝馬としての能力は悪くない。芝向きの中距離タイプだろう。
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プラチナブロンド(牝 美浦・大竹正博 父ジャングルポケット、母モンローブロンド)
現1600万下のビキニブロンド(父キングカメハメハ)の半妹。母モンローブロンドはファンタジーS(GIII)2着馬で、そのきょうだいにランフォルセ(12年ダイオライト記念-JpnIIなど重賞4勝)、ノーザンリバー(11年アーリントンC-GIII、13年カペラS-GIII)、ノットアローン(08年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)などがいる。また、長女アコースティクスはダービー馬ロジユニヴァースの母となった。活力のあるファミリーなので今後まだまだ一流馬を送り出せるだろう。本馬はトニービン2×4、Nureyev 3×4という大胆なクロスを持っている。Nureyevクロスを持つジャングルポケット産駒は身体が硬くなるのかダート向きに出る傾向がある。ただ、本馬の半姉ビキニブロンドは、キングカメハメハ産駒のダート馬が出るパターンであるMr.Prospectorクロスを持っていながら芝向きに出た。母モンローブロンドが持つHalo 3×4という柔らかなクロスのおかげかもしれない。本馬も芝向きに出る可能性は高いと思われる。距離はマイル以下が良さそうだ。
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ヘルツフロイント(牡 美浦・古賀慎明 父ハーツクライ、母ライラッククイーン)
母ライラッククイーンはビウィッチS(米G3・芝2400m)を勝ったほか、独オークス(G1・芝2200m)で2着と健闘した。日本で繁殖牝馬となり、これまでに送り出した2頭(ライラックパンチ、ヒラボクラッキー)は中央で勝ち星を挙げていないが、本馬はなかなかの好配合馬なので期待できる。2代母の父Fabulous Dancerは父ハーツクライと相性がよく、過去にJRAで出走したこの配合馬5頭のうち4頭が勝ち上がり、そのなかにはギュスターヴクライ(12年阪神大賞典-GII)、カポーティスター(13年日経新春杯-GII)が含まれる。芝の中長距離で本領を発揮するだろう。ただ、完成は遅そうなので、本格化するのは古馬になってからだと思われる。
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モズソフィ(牝 栗東・鮫島一歩 父マンハッタンカフェ、母ペルファヴォーレ)
サチノスイーティー(父カリスタグローリ/06年アイビスサマーダッシュ)、ナニハトモアレ(父ブラックホーク/10年マーチS-GIII・2着、10年アンタレスS-GIII・2着)、ビューティーモズ(父ネオユニヴァース/1600万下)を送り出した母ペルファヴォーレはなかなかの繁殖牝馬だ。ペルファヴォーレの配合は、父がアフリートで2代母の父がイエローゴッド。桜花賞馬プリモディーネと同じ構造だ。アフリートの母の父Venetian Jesterとイエローゴッドの父Red Godが相似な血(Venetian Jester≒Red God 3×4)であることが配合上のキーポイントだろう。「マンハッタンカフェ×アフリート」はハンソデバンド(10年共同通信杯-GIII)と同じで、本馬の母方に入るNumbered Accountは、ハンソデバンドの3代母プレイメイトの全姉なので、両者の配合構成はよく似ている。芝・ダート兼用のマイラーだろう。