◆東京スプリント展望
(4月2日 大井 サラ4歳以上 別定 JpnIII 1200m)
「東京スプリント」は、平成21年交流GIII昇格(前身・東京シティ盃)、今年実質第6回目を迎える。平穏な年、波乱の年、両極端の傾向だが、勝ち時計など総じて速く(1分10秒台がボーダーライン)、同舞台、同条件秋の「東京盃=GII」と比較しても、レベルはまったく見劣らない。
さて今年の焦点。円熟の短距離王セイクリムズンに新勢力がどう迫るか。フジノウェーブが去り、ラブミーチャンが去り、ニュースターがそろそろほしい。JRAからはノーザンリバー、地方からはセイントメモリー、ジェネラルグラント。セイクリムズンを含めこの4頭、マイルまでこなすだけに、5月船橋「かしわ記念=GI」へ向けても重要な一戦といえるだろう。
(1)…小波乱。1人気=3、1、2、1、2着、2人気=5、2、5、11、4着、3人気=2、8、4、7、1着。1人気は強いものの、その対抗格が頼りない。馬券(馬連)的には◎-△あたりが妙味になるか。
(2)…地方馬脈あり。JRA4勝、2着3、3着2と優勢は論を待たない。ただし地方側も昨年ラブミーチャン優勝、一昨年フジノウェーブ2着とノーチャンスではない。大井適性がやはりポイント。
(3)…熟年馬。最も目立つのは6歳=3勝だが、21年7歳馬の1~3着独占など、高齢馬(おおむねリピーター)が意外なほど活躍する。4歳馬優勝は22年スーニだけで、2~3着も例がない。
(4)…差し優勢。連対10頭の内訳は、先行=2、差し=6、追込=2。逃げ馬=4、4、4、3、14着は短距離ダートのイメージに相反する。直前「黒船賞」勝ち馬はやはり強く、過去5年3頭出走して1、1、2着。
※データ推奨馬
◎セイクリムズン…このレース前2年1、2着。前走高知「黒船賞」完勝だから8歳馬でも衰えはない。岩田騎手とのコンビ[7331]。実績(交流G7勝)に比して、別定57キロはきわめて有利。
☆ ☆
◎ノーザンリバー 56蛯名
○セイクリムズン 57岩田
▲セイントメモリー 56本橋
△ジェネラルグラント 56石崎駿
△セレスハント 56福永
△ティアップワイルド 56石橋脩
△パドトロワ 56和田竜
アイディンパワー 56的場文
ナイキマドリード 57川島
ハードデイズナイト 54山崎誠
ノーザンリバーに期待する。デビューから一貫大事に使われ、今季いよいよ本格化した6歳馬。特長はアグネスタキオンらしい瞬発力と競馬センスで、ダートとして初タイトルとなった昨暮れ「カペラS」も、道中好位でスムーズに折り合い、あと1ハロン、GOサインが出るやあっという間に突き抜けた。馬群にひるまない精神力、落ちつきが印象的。この気性なら初コース大井1200mも何ら減点にならないだろう。前述通り同馬の場合、純粋なスプリンターとは一線を画すイメージ。ここをいい形でクリアできれば、今後の交流G路線、さまざまな選択肢がみえてくる。
セイクリムズンの実績、貫録についてはもう多言を要すまい。幅と厚みのあるレースぶり、窮地に陥り、そこから必ず巻き返す芯の強さ。かつてのノボジャックによく似たタイプか。57キロなら新星を再び押さえ切って不思議ない。
地方側では、金沢JBC以来久々でもセイントメモリーがやはり筆頭。昨秋「オーバルスプリント」勝ちはタイセイレジェンドに2馬身差だから評価でき、大井1200mも過去4勝、11秒0の時計がある。前走「フジノウェーブ記念」で進境地を開いたジェネラルグラントは、今回改めて試金石。忙しい1400mを自然流の先行でこなしたあたりスピード型は実証したが、1200m交流Gとなると道中の流れが大きく違う。
セレスハント、ティアップワイルドはこの路線安定株だが、対セイクリムズンを思った場合、展開はどうあれ、逆転の新鮮味と決め手に欠ける。それならむしろパドトロワ。手探りの初ダートだが、昨夏函館GIII(芝1200m)勝ちなど能力自体は相当高い。スウェプトオーヴァーボード×フジキセキ、地方向きの血統背景。当日人気薄…の条件付きで穴に推す。
◆桜花賞回顧
(3月27日 浦和 サラ3歳牝馬 定量54キロ 地方競馬交流 南関東SI 1600m重)
△(1)シャークファング 1分42秒8
○(2)ブルーセレブ 2
▲(3)テイクユアチョイス 1/2
△(4)クライリング 首
△(5)イエスアイキャン 2.1/2
…………
(8)コマンドゥールキイ
△(9)タントタント
◎ ノットオーソリティ 競走除外
発走直前、不動の中心とみられた(単1.3倍)ノットオーソリティが競走除外。何やら拍子抜けのクラシック開幕になってしまった。右後肢ハ行。ゲート裏でラチを蹴り負傷と発表された。「テンションが高かったから、もっと(自分が)注意するべきだった」(石崎駿騎手)。当日のパドック13キロ減、ぎりぎりに仕上げた印象で、あるいは精神面などあまりよくなかったかもしれない。いずれにせよ現3歳牝馬=力関係は、今回再スタートに近い位置まで引き戻された。
とはいえ勝者シャークファングのレース内容自体、けっして悪くなかったとも思う。内め(3番枠)から自然流の先行。クライリング、テイクユアチョイス、追走組にプレッシャーをかけられながら直線もう一度加速した(上がり38秒4)。
「悔いのない競馬をしようと思った。状態が素晴らしかったし、向正面から3コーナーでうまく息を入れてくれた。成長しています」(矢野騎手)。確かに脚さばきなど、前走ユングフラウ賞(2着)より格段にスムーズで、当日6キロ増の馬体にも幅と厚みを増した印象があった。父パイロはテスタマッタと同父系。まさしくダート1600mベストだろう。秋吉和美調教師は重賞初制覇、矢野貴之騎手は南関東所属となってからは重賞初制覇。秋吉師は「嬉しさと驚きが半々ですね。ただこうなれば次は東京プリンセス賞(4月24日・大井1800m)。何より馬が力をつけた」とコメントした。
ブルーセレブも立派な2着。実質3馬身ほどの出遅れで、先行有利の馬場を思うと大外から直線一気、上がり37秒9は敗れて強しの言葉が当たる。残る2冠、プリンセス賞→関東オークスでどんなパフォーマンスを見せてくれるか。距離延長自体は減点もないだろう。3着テイクユアチョイス、4着クライリングも、ともに初コースをケレン味ない積極策で、手応え、収穫をつかんだレースと納得できる。5着イエスアイキャンは追込み得意の山田信Jらしいレースぶりで、今後も展開しだいになるか。コマンドゥールキイは左回りに課題残し。タントタントはユングフラウ賞除外でやはりリズムが狂っている。