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新年度取材本格化(須田鷹雄)

  • 2014年04月01日(火) 18時00分


◆「事情推察系」のPOG馬選び

 POG取材もいよいよ始まり、今週から産地馬体検査までがピークとなる。私は育成牧場原稿の担当ではないのだが、一部の撮影にはカメラマンとともにお邪魔している。先日は社台ファームの撮影に行ってきた。

 その日の撮影対象はクラブ馬だけだったのだが、今年の目玉商品であるアッシュゴールド(母オリエンタルアート)もその中に入っていた。昨秋に見たときにはこの血統らしからぬ大人しさで逆に心配になってしまったりしたのだが、乗り込まれた結果かこの血統らしい気性が見え隠れしはじめて、皆さんのイメージ通りになってきたのではないかと思う。

 ただ同馬はどこの団体でもドラ1重複必至の馬。なにかちょうどいい穴馬はいないものかと思っていたら、関西の牡馬で1頭好きな馬を見つけた。たぶんおすすめ10頭に入れると思うが、それがどの馬かは赤本のお楽しみということで……。

 さて、今回は情報というよりクラブ馬の取捨についてである。馬の仕上がりについては情報が流れやすいが、そもそもその馬がどの程度の潜在能力を持っているかは分かりづらい。4〜5月段階に育成牧場で出すレベルの時計はいまやどんな馬でも出すので、それはヒントにならない。

 個人的には、直近の情報は「無事かどうか、元気かどうか」に留めて、逆に当歳〜1歳時を想像してみたほうが早いのではないかと最近考えている。

 例えば、誰の目にも明らかな良血馬がいるとしよう。その馬が一流ではない厩舎(一応言葉を選んでます)に入厩予定だとしたら、馬そのものの評価に限界があったということである。ただ、逆は真ならずで、血統が凄くて一流厩舎ならすべてOKかというとそうではない。ゆかりの血統もあれば、「この血統はやはりこのレベルの厩舎でないと」というケースもあるからだ。一流血統+一流厩舎は活躍するためのひとつの条件にはなりうるが、十分条件まではならない、とでも言えばいいだろうか。

 ドラフト人気とのバランスを考えると、「へえ、この血統の馬がこんないい厩舎入るんだ」という馬を中位で狙うのも面白いかもしれない。ブラックタイプがさほどでなくても、それだけ馬のデキが評価されていたとも考えられるからだ。

 一方で、一流厩舎以外は狙えないかというとそんなこともない。下手にブラックタイプが派手すぎるよりも、「太文字は少ないけど配合が良い」といったケースに面白い成功例が生じうる。またクラブによってはマル外などの追加募集馬が、牧場期待の若手調教師に振り向けられることもあるので、そういった馬も穴で狙いうる。

 こういった「事情推察系」の選び方は10年前に流行ったようなやり方であり新鮮味がないかもしれないが、最近は「直近情報系」の選び方ばかりが流行っているので、一周してこっちのほうが早いという状況になっているような気がする。自分で各クラブの社長になったつもりで、馬の割り振り+値付けをしてみるとけっこう面白い。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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