坂口師が“ジンクス”気にするほど期待が大きいデンコウハシャ/吉田竜作マル秘週報
◆美浦では「緑ゼッケン」がすでに10まで到達、栗東では先週末に初の緑ゼッケン馬が誕生
美浦では「緑ゼッケン」がすでに10まで到達。つまり10頭の2歳馬が競走馬登録を完了したのに対し、栗東では先週末に初の緑ゼッケン馬が誕生した。
岩元キュウ舎の母ボストンメリー(牝=父ヴィクトリー)、村山キュウ舎の母アーバンクイーン(牝=父パイロ)と母ペニーブラック(牡=父キングカメハメハ)の3頭だ。
その一方で「ゼッケン1って、あまり走った前例がないらしいんだよね。だから1番は避けたい」と語っていたのが坂口調教師。「デンコウハシャ」で馬名登録される予定の母レガシーウィンド(牝=父バゴ)は念願かなって(?)ゼッケン1を避けられたことになる。
もちろんゼッケン1となった前出の母ボストンメリーにはジンクスを覆す活躍を見せてほしいが、この手のことまで気になるのはデンコウハシャにかける期待が大きいからこそなのだろう。
「ホントいい馬だよ。昨年の北海道サマーセールでオーナーに“800万円までならいきましょう”って頼んで、結果的に思ったよりも安い値段(税込み588万円)で落札できた。いい買い物って言えるくらい走ってくれるといいよね」と坂口調教師。
当コラムを長く読んでいただいている方ならおわかりだろうが、2歳馬1頭ではなかなか調教が進められないもの。年長馬がいくらリードしたところで、体力面や精神面の差、人間にはわからない序列などがあって、うまくいかないことが多いのだ。そのため「2歳馬同士で調教していく」のが慣例になっている。
もちろん坂口調教師もそのあたりは心得ており「近いうちにもう1頭連れてくるよ。ウチにいたタンゴノセックの半妹にあたる母タガノブルードレス(父メイショウボーラー)。これも女の子なのに480キロくらいあって、いい体をしてるんだよね」。坂口キュウ舎ではこの2頭が、お互いを頼りにしながらゲート試験、そしてデビューに向けて調整されていくことになる。
サラブレッドの世界も今がまさに入学シーズン。不安と期待に胸を膨らませる若駒たちを応援すると同時に、来るべきPOGドラフトにも備えてほしい。
2歳馬の話を先取ってしまったが、3歳馬はまさにクラシック本番目前。先週の毎日杯が終わったことで皐月賞の出走メンバーもほぼ固まった。その毎日杯は皐月賞ではなく、NHKマイルCを目指す組(1着マイネルフロスト、2着エイシンブルズアイ)が賞金を加算。一方でダービー出走を視野に入れているステファノス(3着)、ラングレー(4着)、アズマシャトル(5着)あたりは賞金加算に失敗。今後は厳しいローテーションを強いられそう。いずれもキラリと光る素質を秘める馬たちだけにダービーには何とか間に合ってほしいものだが…。いずれにせよ、牡馬戦線は例年にない混戦となりそうだ。
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