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いよいよ決戦

  • 2003年10月27日(月) 13時43分
 少し早いが、アップ日の関係で11月3日大井「JBC」の検討をさせていただく。第3回目の今年は、前2年と比較にならないほど顔ぶれが充実した。指定トライアル4レースの結果が、ほぼ完璧にリンクしたこと。“クラシック”出走メンバーが、おおむね中3週の東京「JCダート」をめざし、ステップが理想的に組まれたこと。ちなみに10月26日現在、クラシックの補欠第1位はビワシンセイキ、第2位ビッグウルフ。この事実だけとっても、ハイレベル、層の厚さがうかがいしれる。ごく公平、客観的には、JRA出走枠が1レース8頭(現在5頭)あって妥当なバランスと思えるが、まあしかし、今後JRA=地方、力関係が微妙に変わる可能性もゼロではない。ファンの夢、期待を最重点に置いて、ひとまず検討課題だろうか。全国規模のダートの祭典・・・少なくとも、その名に恥じない屋台骨は築かれつつある。

 JBCクラシック出走予定馬(サラ3歳上 別定 統一G1 2000m)
 
 ◎ネームヴァリュー(55・石崎隆)
 ○アドマイヤドン(57・安藤勝)
 ▲イングランディーレ(57・デムーロ)
 △コアレスハンター(57・内田博)
 △スターキングマン(57・ぺリエ)
 △マキバスナイパー(57・左海)
 △ユートピア(55・武豊)
  カネツフルーヴ(57・松永幹)

 ネームヴァリュー◎は、けっして身びいきの予想ではないと思う。春の帝王賞は今思い出しても衝撃的な強さだった。来るなら来い、正攻法の逃げを打ち、最後の最後まで脚勢が鈍っていない。大本命ゴールドアリュール惨敗、結果恵まれたともいわれたが、記者のイメージではアリュールがまともでも見事な一騎打ちになっていた。当時の印象。少しわかりづらい表現だが、「余裕」と「余力」は違う、そんな感じか。余裕は目に見えやすいが、余力とは見えにくい。事実としては同じ持ったままの楽勝でも、はたしてその馬が競り合いになってどれだけ伸びたかということ。ネームヴァリューには、その“余力”が感じられた。昨秋地方トレード以来、およそ休みらしい休みもとらず重賞6勝。何よりタフで健康。あるいはそれは牝馬ゆえかもしれない。タイプも雰囲気も少し違うが、ロジータ、ホクトベガ、この馬はすでにそんな聖域に達している。

 アドマイヤドンは前走南部杯でG1・3勝目。馬なりのまま後続を4馬身ちぎってゴールだから、その能力はダート盟主にふさわしい。改めて冷静にふり返れば、昨秋盛岡・JBCクラシックもプリエミネンスを問題にせず、続くJCダートもゴールドアリュールをレース内容で完全に凌いでいた。あとは一種特異とされる大井コースへのフィーリング、対応力だけだろう。ここをあっさりクリアすれば、JCダートはもちろん、究極目標のドバイ遠征にもメドが立つ。

 イングランディーレは前走金沢・白山大賞典圧勝、今回NAR短期免許を得たM・デムーロ騎手でここに臨む。その話題性はともかく、前々走北海道ブリーダーズGC勝ちも含め、とにかく中〜長距離向きのパワーに注目できる。大井コアレスハンターも旬を迎えた晩成型で脚質に幅が出たが、南部杯、アドマイヤドンとの比較で勝つまではどうか。こちらは「JBCマイル」があれば、本当はよかった。ユートピアはあくまで素軽いスピード型で、2000mは少し苦しいとみる。スターキングマンは左回りベターのぶん気持ち減点。それなら高齢に目をつぶってマキバサイレントの底力という手がある。

       ☆       ☆       ☆

 JBCスプリント出走予定馬(サラ3歳上 別定 統一G1 1190m)

 ◎ハタノアドニス(57・内田博)
 ○エスプリシーズ(57・森下)
 ▲スターリングローズ(57・福永)
 △サウスヴィグラス(57・柴田善)
 △マイネルセレクト(57・大西)
 △ナイキアディライト(55・石崎隆)
 △ノボトゥルー(57・武豊)
   ノボジャック(57・蛯名)

 ハタノアドニスは、TR東京盃を素晴らしい強さで勝った。使い慣れない言葉をあえて使わせていただけば、瞠目(どうもく)というやつか。1190m1分10秒6自身タイレコード、サウスヴィグラスに4馬身差はもちろん凄いが、道中好位で折り合い、直線差したレースぶりに目を見張る思いがあった。逃げ一手、そのわりにダッシュ力平凡でどこかふっ切れなかったアドニスを、ここまでレベルアップさせた高橋三郎調教師と同スタッフ。何よりそこに敬服する。再びホームコースの同条件。堂々たる主役と考えていいだろう。

 サウスヴィグラスは良化を見込んでも、アドニスと再びコース適性の差が出てきそうだ。昨年の覇者スターリングローズは春に船橋・かしわ記念も勝ち、一流のスピードを証明したが、大井初コースとなるとやはりミステリーゾーン。馬券的には、東京盃を痛恨の出遅れで3着、しかし短距離適性をアピールしたエスプリシーズ、地元ラインを本線に買ってみたい。ノボ2頭で食い込みがあれば、最後もつれて豊トゥルー。ナイキアディライトは、ここでひとつ感触をつかみ、暮れの東京大賞典に全力投球と聞いた。それでも天才型の快速ランナー。実戦に行って見せ場以上の可能性がある。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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